AとEのクトゥルフ編 Ⅷ
イレギュラーさんは誰が倒すんでしょうねぇ…?
そんな感じのクトゥルフ編7話です。
ほら、変態だぞ?
喜べ!
イレギュラー。
異質なモノ。
特異性の有るモノ。
そして、予想外のモノ。
ソレは、この全てを満たしていた。
「うーわぁ…なんかパワーアップしてない?」
『アアアアアアアア!』
「何言ってんのかわかんねぇよ?」
なんかパワーアップしたっぽい闇アリスさん。
やめてよ…せっかく勝ったと思ったのに。
まあやるしかないけどね?
腰を低くして構える。
「さってっと…んじゃ、いっちょ行きますかッ!」
主任の力を借りて強化…狂化闇アリスを討伐したいと思います。
頑張るぞい。
いや狂化闇アリスってなんか違う気がするな。
深淵のアリスなんてどうだ。
略称はDアリス。
いいねぇ…。
こんなことしているが実際には冷や汗が凄い。
するんじゃなかったか。
Dアリスは今までと同じようにこちらに特攻してくる。
まあパワーアップ系の強化直後は基本的に振り回されるしな。
恐らく隙は多いだろう。
そして獲物ちょっと待て!そうだ!レイピア溶けたんじゃん!
攻撃手段が皆無!
咄嗟に周囲を索敵し、鉈が落ちているのを発見する。
これでオッケーだな。
Dアリスは両手に大剣を顕現させ、切りかかってくる。
片手剣ではなく、両手で使う獲物である。
それを片手で、しかも2対振り回す。
その上、その剣捌きには迷いもなく、技量すらもない。
しかし、その豪腕に物を言わせて周囲を切り裂く。
それは切ると言うよりも、砕くと言う方が合っていた。
さあ。
既に詰んだな。
このほぼ確定で即死な状況をどうしろと?
画家だぞ?
画家だぞ!
画家…。
そういえばお絵描きスキルで囮作る技能あったよね?
よし。
Dアリスの血液を使わせてもらおう。
どうせ弾かれるけどね、鉈を投げつける。
当たればいいね。
当たったら痛そうだけど。
鉈をスナップ効かせてDアリスに放る。
食らえ!
しかしDアリスは目の前だった。
思わず悲鳴を出す。
いやぁびっくりするゥ!
「っひゃあ!?」
『!?』
そのまま後ろに飛び退く。
Dアリスは一瞬怯んだが、すぐに体勢を立て直し、剣を振りかぶる。
あ、死んだわ。
その瞬間。
刹那。
Dアリスの大剣は、掻き消えていた。
ザクッ。
少し離れた地点に剣が刺さる。
誰かが刺したかのように。
超高速で、誰かがDアリスの手から奪ったように。
思わず目を瞑っていたが、来るであろう斬撃は来ない。
目を開くと。
「…おせぇわ、変態め」
「遅くなったね。でももう大丈夫だよ」
頼もしく、安心感のあり、そして最も信じてはいけない変人がいた。
「私が、来たよ」
その名は七菜。
至高の変態である。
七菜さんが合流した。
なんかめっちゃ安心感ある。
安心したらいけないんだろうけど。
なんだか肌が艶々している。
色気はあるけど中身が変態なのでトキメキなどしません。
で、変態してくるとか言ってたよな?
アリスに何かしたんだよな?
えぇ?
おいこらぁ?
「ふぅ…。アリスちゃんはたっぷり愛でてあげたからね!これからはアリスさんだよ!」
「お前まさかそういうことしたのか?」
もしかしたらこの変態は…。
「髪とかをくんくんしてきた」
「後は?」
「二の腕をぷにっと」
「後は?」
「ふっ…くらはぎを…ペロッと」
「後は?」
「お…お耳をピチャッと」
「処刑するわ」
「アイエエエエ!」
色々やらかしてるなコイツ。
処刑決定な。
「まあDアリス倒したら刑を軽くしてやらんこともないかもしれないことはほんの少し可能性はない」
「どっち!?」
「考えるだけ」
七菜さんはニヤリと笑う。
「拒否!」
…ほう。
そういえば忘れていたな。
コイツはどうしようもない変態さんだからな。
罰は増える方が良いんだよな。
「じゃあ、ご褒美を考えてあげよう」
七菜さんは素晴らしい笑顔で答える。
「んほぉ!」
答えてねぇわ。
万人に理解してもらえる言葉で話せ。
七菜さんは大剣を地面に刺し、僕の方を見る。
そして手を軽く握り、包丁でも使うかのように振る。
…なるほど?
分からん。
とりあえずさっき投げようとしてた鉈を渡す。
七菜さんはにっこりと笑い、僕の手を握る。
やめんか変態。
にっこりじゃなくてニタニタだったわ。
手を素早く引いて、七菜さんから距離を取る。
変態するのはダメです。
別の人にしてください。
…ところでアリス達は…うん、後にするか。
見てはいけない気がする。
七菜さんは鉈を構え、Dアリスに向く。
Dアリスは突然現れた七菜さんを警戒して、間合いを開けている。
良いな、これで七菜さんが変態できる。
期待してないけど。
<七菜side>
ふぅ。
彼がDアリスと命名したそのイレギュラーに私は鉈を向ける。
ちゃんと製作者としての処理をしなくちゃ、ね。
そのためにさっきまで変態してたし。
Dアリスが向かってくる。
更に両手に刀を顕現させ、素早く走るDアリス。
私なんかよりも何倍も速く。
ううん。
いつもの私なんかよりも何倍も速く。
「職業が変態で、本当に良かったかもしれないね」
Dアリスを上回る速さで接近し、刀を奪う。
よし、大丈夫だね。
さらにDアリスの首筋をれろんっと舐める。
彼女は怯えたような目をしながらこちらから飛び退く。
ふぅむ…。
イチゴの味ィ…!
そんなのしないけど。
ただ、味わうのは余裕だけ。
「私の速さは156です。さぁ、かかってきなさい。仔猫ちゃん?いや、子ウサギかな?」
職業の変態が異常な程に役立ったわ。
ありがたや変態。
ビバ変態。
七菜「お前に足りないモノはァ!」
七菜「時間ネタ妄想変態デザインやる気持続力!」
七菜「そぉしてなぁぁぁぁあああああああによりもぉぉぉぉおおおおおお!」
七菜「速さが足りないッ!」