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七菜との日々  作者: ニリとん
2章 AとEのクトゥルフ編 前編:A
13/52

AとEのクトゥルフ編 Ⅵ

アリスが出てくるとほのぼのしちゃうな。

まあアリスかわいいからね。

仕方ないね。


というわけで更新です。

どーぞー。

 




 アリスは、ヒトではなかった。

 人外のAPPから、まあ予想はできていたけど。


 それにしても…ねえ?

 …ねえ?


「趣味悪いね七菜さん。あ、SAN値チェック成功」

「まあ思いつきで作ったからね。気にしないでほしいんだよねぁああああああ失敗したああああああ!」


 七菜さんはSAN値チェック失敗のようで。

 やっとか。


「成功の時は1d4、失敗の時は2d6減らしてね」

「失敗の時の減りエグくない?」

「それだけアレだからね、仕方ないと思って?」

「そうだな」


 こちらがSAN値を減らしてる中、アリスはニコニコしながらこちらを見ている。

 可愛すぎか?

 なんならその可愛い子が何人もいるんだぞ?

 ただの…怪奇現象だな。

 うん。


 ちなみに、僕は3で七菜さんは2減った。

 最小値を引いていくゥ!

 腹立つな。

 SAN値は現在、僕が57で七菜さんが23か。

 この人最大値だったらSAN値12だったのか。

 綱渡りどころじゃねぇな。


 部屋を探索し終えたので次行こう。

 扉があったよな。

 押してみるか。

 とんっ、と。


 バタム。


 扉は倒れた。


「これってそういう奴?」

「仕様なので安心して?」

「うぃ」


 仕様でした。

 びっくりしたわ。

 ちなみにアリス…たちは、ぴく!ってした。

 可愛い。

 そのまま固まって不安そうな目でこちらを見る。

 ええい、なんでそんなに可愛いんだ。

 萌えさせて殺す気か?


 そのまま次の部屋に進もうとしたとき、七菜さんに止められる。

 振り返ると、七菜さんはベッドを指差す。


「ここ、まだ調べてないよね?」


 真剣な眼差しでこちらを見る七菜さん。

 いや、しかしな?

 お前がしたい展開は分かるんだよ。

 一応ではあるが、七菜さんに尋ねる。


「仮にもょぅι"ょが寝てたんだぞ?調べるのか?」

「私は調べるよ」


 真剣そのものである。

 まだボロを出さんか…。


「お一人でどうぞ。先に行くわ」

「待って、ょぅι"ょのかほりは嫌いなの?」

「だと思ったわ変態。帰れ」


 ほら見ろ。


「「「お手伝いするよー!」」」

「行っちゃダメだ!」


 変態がベッドで待ち構えてるぞ!

 逃げろアリス!




 先に次の部屋に入り、軽く見回してみる。

 さっきの部屋と同じような部屋だ。

 少し違いはあるが。

 違う点としては、扉がもう1つあることだ。

 兎の絵が描かれた扉で、この兎も吊られている。

 趣味悪いな。

 そして、だ。


 部屋の隅に、()()()()()()()()()が置いてあった。


 まだ部屋に入っただけだが、鉄の臭いがする。

 あと赤い汁が滲み出ている。

 確定でヤバいやつだろアレ?


 思わずではあるが、アリスの目を塞いだ。

 いくら人外でも、ヒトの姿をしている、ましてや少女にこんなものは見せられない。

 ぐぇっ、と乙女らしからぬ声…声?を出し、よろけるアリス。

 顔に当たっちゃったらしい。

 ごめんね?


「うぅ…お兄さんどうしたの?」

「見ちゃダメなやつがあった。見ちゃダメだぞ。約束だ」

「…うん。分かった」

「いい子だ、それでいい」


 分かってくれたようだ。

 ふぅ、これでひと安心


「「「「何あれー?トマトー?」」」」

「ああああああアリスいっぱいいるんじゃん!無理だわこれ!」

「トマトー?見せてー?」

「こらおま、や、ちょっと!」

「えーい!みんな突撃ー!」

「「「「「「「わーーー!」」」」」」」


 ああああああああああああ!




 アリスがとたとたと部屋に広がっていく。

 ょぅι"ょっぉぃ。

 はあ、と溜め息をつくと七菜さんと数人のアリスが部屋に入ってきた。

 ベッドを調べ終わったらしい。

 アリスたちはお手伝いである。

 お疲れ様アリス。

 そんで?


「結果は?」

「てれれてってれー、きゅーうーめーいーきーっとー」

「「「「てれれてってれー!」」」」

「なんですと!?」


 ベッドに救命キットがあるのかよ!

 謎だな!

 まあアリスが怪我したら怖いしな、お手柄だな。


「よくやったぞ七菜さん」

「いぇあ」

「「「いぇあ!」」」

「ぶい!」


 アリスもアリスで個性があるな。

 七菜さん真似してサムズアップする子とぶい!する子と。

 可愛いからいいや。


「ちなみに女の子のかほりはしませんでした」

「「「「くんくんしたー!」」」」

「何やっとん…。いやマジお前何してんの?」


 変態は変態だったわ。

 教育に悪い。

 しっしっ。




 さて、だ。

 七菜さんが合流したし、本格的に探索するか。

 分かる品としては例の袋以外無いけどね。

 でも何かあると怖いし、探索するか。

 よし、早速、


「「「「なんもなかったー!」」」」

「なんかあったー!」


 探索を終わろう!

 よーし帰るか!

 僕の出番無いのね!

 数の暴力ってこういうこと?

 なんだろう、効率がすごいわ。


 で、1人何か見つけたみたいだな。

 早速詳しく聞こう。


「どんなもの見つけたの?」

「カード落ちてる!」

「どこ?」

「真ん中!」

「真ん中!?」


 部屋の中央か。

 気づかんわ。

 アリスが色々と勢いすごかったし。

 ょぅι"ょっぉぃ。

 よくやったぞー。

 なでなでしてみる。

 よしよしー待て髪さらさらで心地いいんだが。

 アリスちゃんはえへへえへへ、って顔を綻ばせる。

 他のアリスが羨ましそうにしている。

 どうだ羨ましいかー。


「「「「うぅ…うぅ…」」」」

「にへへ…」

「「「うぅーーーー!」」」


 あぁもう可愛い。

 癒されていると、撫でてたアリスに手を引かれる。

 よし、現場に急行だー。

 アリスは部屋の真ん中で、床に指を指す。


「これこれ!」

「ほぉ…なんかのカードだな」


 アリスに連れられて床を見下ろす。

 確かにそこにはカードがあった。

 白いカードで、何か書いてある。


 どれどれ…。


『その子はアリス。可愛いでしょ?アリスを大切にしてあげてね!』


 アリスをペットみたいに扱っているんだな…。

 なるほど。


「そこのところはどうなの?製作者、さん?」

「…ん、それはトラップだね。ここからが、このシナリオの本編だ。覚悟するといいよ?」

「…へ?」


 予想の斜め上からの答えが返ってきた。

 一体どういうことか?

 毒か?

 思わずカードを取り落とす。

 すると、カードはくるくると回転しながら落ちていく。



 カードが()()を向いた。

 そこには、こう書かれていた。



『見タナ?』






 前の部屋から、何かが作動したかのような機械音が響く。

 カチッ、という音が。

 思わず後ろを見るが、そこにはあの、目の絵が描かれていた。

 それはまるで僕を見つめるようで。

 悪寒を感じた。


 七菜さんは呟く。


「さあ、始まる。アリスは、終わらないよ」

「何ッ!?お前、何したんだ!?」

「さっきのトラップ。具体的には、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だよ。最も、今回はちょっと違ったけどね」

「どういう、意味だ…?」


 七菜さんは、澄んだ目で遠くを見ながら言った。





「クトゥルフの経験者は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それを逆手にとったトラップだよ」




 目の絵が微かに揺らめく。

 その瞳から、ゴポリ、とドス黒い液体が出てくる。

 それは、気色の悪い液体。

 絵を作っている、血液のようなモノ。

 ゴポリ、ゴポリ、ゴポリ…。

 粘性の高いそれは、ねちゃり、ねちゃりと床に垂れ、汚れた泉を作る。

 一定量湧き出ると、液体の流出は止まる。


 …何なんだ、一体?

 でも、このあとは何も起きそうにないな。

 流石にこれだけだろ。


 そう思い、部屋の探索を再開しかけると、七菜さんが僕を止める。


「…どうした」

「まだ、まだだよ。まだ、完成なんてしちゃぁいない」

「…そうか?」

「ほら、アレ。あの液体。泡が出ているだろう?おかしいと思わないかい?」

「っ…それは、そうだな。確かに」

「ポコッ、ポコッ、って泡が出てるね。…つまり、液体は上に向かおうとしているんだよ」

「…う、え?」


 まるでマグマのように、泡を出すソレ。

 粘性が高いソレ。


 いや、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ()()()()()()


 次第に液体は中心へと集まり、1つの影を作る。

 泡はそのまま固定され、液体は上に昇る。

 1メートル程上昇すると、液体は竜巻のように回転を始める。

 ゆっくりと、ゆっくりと、しかしその勢いで液体は更に上に昇る。


 そして、ある高さで上昇は停止し、回転のみが続く。

 ぐちょり、ぐちょり。

 回転は次第に加速していき、1つの形を作り出す。

 それを見て、()()()は目を瞬かせる。


 回転が加速し、その遠心力で少しずつ凹凸ができる。

 それは少しヒトの姿に似ていた。

 少女、いや若い女性に。


 液体は一瞬回転を停止し、次の瞬間には周囲に飛び散っていた。

 中にいたソレを残して。



 長い金色の髪。

 いや、銀色の髪。

 美しい、透き通るような肌。

 しかし肌は日焼けでなく、血で濡れたように赤黒い。


 闇に堕ちたアリス(ダークサイド)が、錬成された。


『…フウオォアァァ…ヴォアアアウアイアアアアアアア!』


 獣の咆哮を響かせ、アリスは自身の存在を誇示する。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()、装備をする。


 それは敵意に溢れていた。

 生を謳歌するモノへと嫉妬、憤怒にまみれていた。



「言ったよ。アリスは、終わらないって。さあ、戦闘開始だ。『ALice Fallen Fighter』は、強いよ」


 堕ちた戦士(フォールンファイター)との戦いの火蓋は、彼女自身によって切られた。

アリスの色違い的な堕ちたアリス。

まーざっくり言えば、ヒトを捨てたアリス?

ざっくりし過ぎた上に変なところをざっくりした気がする。


あと七菜さんが空気。

もっと変態させてやらねば…(次回)。


七菜「忘れているようだな、私は職業が変態だからね?忘れるにゃよ?」

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