第四十三話
「取りあえず今度いつ休みになるかわからないけど、休みが取れたら彼女さんと出かけてみたら?」
「どこへ?」
「どこでもいいと思うよ。まあでもここらへんは城塞があるから何もないし、京都まで出るしかないんじゃない?」
「京都か」
「うん、食べ物美味しいし。どこ行っても観光地だし」
「水野、彼女の年って聞いていいものか?」
「聞いていいよ。聞きなよ。未成年者じゃないよね?」
「多分」
「多分じゃないでしょ。ちゃんと聞きなよ。それこそ淫行で逮捕されちゃうよ。まあもみ消してくれるだろうけど」
「そうなのか?」
「殺人以外は解雇されないらしいよ。金かかってるしね俺達」
「なんて聞くんだ?」
「いくつ?って」
「そんな聞き方でいいのか?」
「じゃあ、誕生日教えてって言ったら?」
「誕生日」
「うん、まあ年聞くのって難しいかな。保険証見せてっていうのもあれだしね、俺年下の子と付き合ったことないからあんまり年齢のこと考えたことなかったから、改めて言われてみるとどう聞くんだろうね?」
「ああ」
「彼女さんは働いてるの?」
「ああ」
「じゃあ学生ではないよね?」
「平日の昼から働いているから違うと思う」
「まあそうだろうね、じゃあ未成年者じゃなさそうかな」
「ああ」
午前中店で見たことは一度もないからシフトはいつも昼からなんだろう。
それに背は小さいが子供の顔じゃない。
「まあ、何処に行くかは大した問題じゃないよ。二人で楽しく過ごせたらそれでいいんだし」
「楽しい」
「好きな子と一緒なら何処だって楽しいでしょ?」
「そうか」
「そうだよ、その子見れるだけで有り難いんでしょ?」
「ああ」
「じゃあ、そういうことでしょ。悩まなくていいんじゃない?」
「悩む」
「真面目だね」
「こういうの真面目って言うのか?」
「うん、真面目だと思うよ」
「年以外に聞くことあるか?」
「別にないんじゃない。話したかったら自分から話すだろうし。逆に言うと何が聞きたいの?」
「わからない」
「じゃあ、何も聞かなくていいと思うよ。働いてるところは知ってるんでしょ?」
「ああ」
「付き合っていくうちに色々知っていくから、焦らなくていいよ」
「そんなものか?」
「うん」
笹森さんに聞きたいことを考える。
年齢とか、家族構成とか、今までどういう生活だったのか。
聞きたいような気もするけど、聞かなくていいとも思う。
それよりも、少し聞いてみたいのは。
どうして俺なんかを好きになってくれたのだろう。
それだ。




