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三家の日々  作者: びけ
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謝罪と所信表明と2度目の

今回はギャグなしです

パートリーダー会議の翌日、俺は担任の元借金取り、村山先生ことソンサンに頼み込んで6限目のホームルームの時間をもらっていた。

ぶっちゃけ謝罪会見と所信表明の為だ。ソンサンも現状をよく思っていないらしく、『漢見せてこい!』とヤクザスマイルで快く時間を提供してくれた。


「今日は三家から話があるらしい。来い三家。」


名前を呼ばれて教卓に立つ。変な汗出てきた。なんかおなか痛いわぁ…。よし行くか。まずはインパクトだ。話を聞く体制を作る。


「俺には好きな人がいます」

教室が騒めいた。え?誰?マジで?などなど…指笛吹いてるやつもいる。



「…とそれは置いといて」「「置いとくんかーい!!」」

教室全体からツッコミを受けるが無視。話を続けよう。


「まず、セクハラについて一言。本当にすみませんでした。俺の指揮が至らないばかりにスカートめくりを想起させる不格好な形になってしまったことを謝罪します。」

クラスメイト全員が半笑いだ。これでいい。


「そしてスカート捲りが誤解だという前提で話を聞いてほしい。俺は、ポリスメンを呼ばれるような変態ではない。繰り返す。俺は変態ではない。」

うるせえぞ変態!などなど温かいヤジが飛ぶ。


「温かいヤジをありがとう!さて、ここからが本気の本題だ。」

言いながら俺は教卓を横に退け正座した。


「俺は本気で最優秀指揮者賞を狙ってる。知ってる人も多いと思うけどすっと、1年の時から狙ってきた」


ここからのひとことは万感の思いを込めて言う。


「勝たせてくれ。ひとりじゃ勝てないんだ。今年が最後の合唱なんだ。今年こそ…勝たせてくれ。指揮者ひとりじゃ合唱できないんだ。…頼む。勝てるなら変態でもいい。犯罪者でもいい。俺のわがままに付き合ってくれ。」


俺は泣きながら土下座した。みんなの目にはみっともなく映るだろう。情けなく映るだろう。それでも伝えずにはいられない。


「憧れてる先輩がいるんだ。3年連続で最優秀指揮者賞を取った先輩が。もう手は届かない事はわかってる。だけどせめて、影を踏みたいんだ。頼む…手伝ってくれ」


パチパチパチ…静まり返る教室に1人分の拍手が聞こえた。太助だ。

「ミケの本気は伝わった。勝ちに行こう…クラスみんなで。もともと勝ちに行く気だったからミケに指揮者を譲ったんだ。噂で心配になってたけどミケの気持ちを知れてよかった。先生、HRの残り時間合唱の練習に使ってもいいですか?ミケ、いけるよね?」


「とーぜん」

涙をぬぐいながら立ち上がると俺は言った。


太助は呼吸をするようにクラスの統率を取って見せた。勉強も、運動もできる。信頼も厚い。


俺が勝てる要素は賞への執着だけだった。今度は悔しさで涙が出そうになる。俺より太助をパートナーにと願っていた雪音の気持ちがわかるようで悔しかった。太助を中心に固まっていくクラスを見て、情けなさと孤独を感じた。


泣き落としが効いたのか太助のリーダーシップのおかげか、翌日から俺の噂はされなくなった。女子からの風当たりも弱くなり、一部を除いてほぼ全員がまじめに合唱に取り組むようになっていた。


俺は引き続きクラスのおふざけ担当ではあったものの、合唱に関して本気なことが伝わった為か練習中に普段の行いについて言及するクラスメイトはいなくなった。


いい事しかないはずなのに、卑屈な劣等感ばかり感じていた。


ふと聞こえてきた雪音の

「やっぱり太助に指揮代わってもらった方がいいんじゃない?」

という一言がいつまでも頭の中に残った。


心が、疼く

書いてて心が痛むうううう

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