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三家の日々  作者: びけ
2/14

試合に勝って勝負に負けた気がするんだ

 初夏、ある日のHRの事だ。あと数か月で文化祭が催される時期。俺は黒板に書かれた文字に焦燥を隠せずにいた。


指揮者 吉岡太助 志乃水三毛 伴奏者 松森雪音◎


 勝てねぇ。ぜってェ勝てねぇ。指揮者の座を巡ってここまで多数決勝ち抜いたのはいい。しかし最後の審査もクラス内多数決ってどういうことだよ。イケメン文武両道の爽やかボーイと人気勝負だぁ?無理ゲーもほどほどにしろや!伴奏者の座が決まった松森にっこにこじゃねぇか。お前が太助好きなの知ってんだぞ!。


 指揮者と伴奏者は2人で1人。そう言われるほどこれから先行動を共にすることが増える。これがきっかけで付き合うこともあったりなかったりする。太助を性的な目で見ている(と思われる)松森がウッキウキなのもそれが原因だ。畜生サルが。


焦燥しながら、もうだめかと不貞腐れていた時だ。真っすぐで力強い声が俺の耳に届いた。

「先生!俺、辞退します」

おいおい何事だよ。太助ちゃん何言ってんの?俺的においしいけど何言ってんの?

「俺たちにとってこれが最後の合唱コンです。絶対に勝ちたい。だから指揮者経験のあるのミケに託して勝率を少しでも上げたいんです。」

 

 沸きあがる教室…なにこれイケメンすぎじゃないですか?勝ちを譲られたのに色濃く残る敗北感…こいつ聖人か。俺も応えよう。

「託された。最優秀になる俺が指揮を継ぐ。絶対に勝とう」

更に教室は沸いた。熱い展開といえば熱い展開だけど…正直肩が重くて適わんなこれ。


 沸きあがる教室を横目に底冷えするような殺気を向けてくるクラスメイトが1人。『私は絶対認めない』聞こえはしなかったが松森の唇がそう動いたのを俺は見逃さなかった。


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