ミケと雪音と学もキレる日
久々に始めたPSO2にはまって更新が遅れ気味です。ストレスフリーでヒーローやってます。
放課後、各パートリーダーと伴奏者、指揮者の打ち合わせという名目で俺たちは集まっていた。
黒板に議題をでかでかと書くと、集まった面々を見渡して一呼吸置き、俺は口を開いた。
「ハイ注目~今日の議題は『どうしたらみんな仲良く合唱できるでしょう』です。意見がある奴は手ぇ挙げろー。ないやつもとりあえず手ぇあげろー」
「はいー!はいはいはいー!」
「よし却下」
「なんでそんな意地悪するの~!」
なぜか一緒にいる矢吹が率先して手を挙げている。ちなみに俺は数学の宿題を珍しく提出している。
断じて徴収じゃない。
「そもそもお前呼んでねぇし。なんでいるのか謎だし。」
「ひどいよー!ちゃんと考えたのに~!」
なおも矢吹は食い下がる。
「よしわかった。とりあえず言ってみろ」
「まじめにやらない子は私と握手を『ハイ次ー』」
「なんで!?」
「暴力でなんとかしようって発想がもう文明人の発想じゃねぇよ。利き腕の粉砕から平和は生まれねぇんだよハイ次」
矢吹の意見を食い気味に流すと恨みがましい目で見られた。俺は悪くない。
するとそのやりとりを氷点下のごとく冷めた目で見ていた雪音が口を開いた。
「そもそも、あなたは何か案があるの?まずはミジンコみたいな脳みそしかないあなたの案を披露するのが礼儀じゃないの?」
「言ってることは正論だけど言い方考えてくれるかなぁ!?今日の議題見て!『仲良く』ね!仲良く!」
「悪いけどミジンコの飼育は専門外なの。あなたのご機嫌取りに来てるんじゃないのよ」
「もういいや。お前はそういうやつだったよな。俺が悪かったよ…」
「話す前から理解して。だから気が利かないってみんなに言われるのよ」
「初耳なんですけどそれ。夢、俺そんなこと思われてんの?」
「だいじょぶだよ~ミケは苦労人な自由人って言われてるよ~」
「フォロー中途半端だわ!やるならもっと持ち上げんかい!」
「最近は松森さんの罵倒にめげないで頑張ってるから女子の評価は高いよ!一部にはマゾ犬っぽいって滅茶苦茶不評だけどね!がーんば!」
「うーわマゾ犬って…ガチでへこむやつじゃん。お前のせいで大変なことになってるよ俺のスクールライフ。責任取ってよ雪音」
「嫌よ。それより…フフッ…マゾ犬…あなたにお似合いね。ミジンコから進化できてよかったじゃない」
なにわろてんねん。返せよ俺のノーマルなスクールライフ!
マゾ犬がツボに入ったのか、楽しそうに笑う雪音を横目にひとりどんよりしていると学から声が上がった。
「ひとついいか。クラスがまとまりにくい原因の一つにお前らが仲良くしないからっていうのもあるんじゃないか?クラスを牽引する代表2人が仲たがいしてたらまとまるものもまとまらないだろう」
「確かにそれはあるよね、松森さん派とミケ派で割れてるもん」
学の意見に池谷が同調する。
「最近はミケ支持する人多いけどやっぱりカリスマがある太助君に指揮を任せた方が上手くいくって思ってる人も多いんだよね。そういう人は松森さんを強く支持してるよ」
まとめるように学が口を開く
「つまり、お前ら仲良くしろって事だ。お互いちゃんと認め合って話してみたらどうだ?」
「オイオイオイ無茶言うんじゃねぇよ!既にマゾ犬なんて噂が流れるほど下手にで出てこの現状だぞ?このサディスト相手にミジンコになるまでへりくだれってのか!?」
「私だって頭が悪くてブサイクな犬を飼う趣味はないんだけど?コレが私と対等なんてギャグで言ってるの?」
「ハァ?天より高くつけあがりやがったなクソビッチが!表でろや!今日こそ白黒つけんぞ」
「はぁ…これだから沸点の低い犬は嫌いなの。逆立ちしても太助君に及ばないって調教しなきゃそんなことも理解できない?」
「だからそれをどうにかしろって言ってるんだよ」
「「だってコイツが」」
「いい加減にしろ!!!」
普段はおとなしい学の一喝に俺も雪音も勢いがそがれた。
「明日は土曜日だったな。みんな予定はあるか?」
唐突に全員の予定を確認しだした学に困惑しつつも皆予定がないことを伝えた。
「よし、ならこのメンツで遊びに行くぞ。ミケと雪音は欠席と喧嘩は不許可だ」
鬼の形相でそう伝えた学に俺たちは返す言葉もなく頷いた。
雪音と喧嘩も言い争いもしない一日が、俺には想像もできなかった。