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蒼天のアルカンシエル  作者: 長山久竜@第30回電撃大賞受賞
▼Chapter?? -Episode of a certain girl-
8/124

連れ去られた少女 1




 四年ほど前。何処か、遠い場所。






 その少女は、廊下を歩いていた。


 石で出来た硬い床は、少女の歩みに合わせて小気味のいい音を奏でる。


 しかし、少女はその音に対して何の感想も抱かない。


 無関心。無気力。


 それが、少女の現状であった。


 彼女には、大切にしていた弟がいた。

 しかし彼は、自分が過ごしていた家の倒壊に巻き込まれてしまったのだ。

 安否など、考えるまでも無い。


 自分を連れ去り、弟を殺した組織、シュマン。

 彼女は酷なことに、自分が憎むべき相手であるシュマンで働かされていた。


 彼女には、特別な力があったから。


 神術。


 特殊な色の瞳を持つ者のみが扱える、特異な力。

 それが、少女にも宿っていた。


 その力に目をつけられ、シュマンに連れてこられた事を、少女は知っている。


 それならばと、全ての元凶であるこの眼を何度潰そうとしたことか。


 少女は、もはやまともな思考が出来なくなるほど心身ともに衰弱していた。


 彼女の全てであった、弟との生活。

 それを失ってからというもの、彼女は日に日に弱っていった。食べ物もほとんど喉を通らず、水だけで一日を終える日もあった。


 絶望。


 彼女の精神状態を一言でいうなら、これに尽きるだろう。

 弟の仇の下で働かなくてはならない状況も、彼女の感情に、より影を落としていた。


 もはや、シュマンは彼女に仕事を与えていなかった。与えられるわけが無かった。



 虚ろな眼をして、心ここに在らずな彼女に仕事などできるはずも無い。



 今日もまた、少女はあてもなく建物を彷徨う。


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