3/37
3
「あなたミステリーマニアでしょ。ドラマの犯人は、いつも当ててるじゃない。帰ってきて犯人を捕まえてよ」
『あのなあ……分かった。それじゃあ、僕の友達に、探偵社に勤めている奴がいる。そいつに頼んでみる』
「あ! 待って」
電話は一方的に切られる。しばし間、綾子は切れた携帯を握りしめたまま立ちすくんでいた。
胸の奥から悔しさが込み上げてくる。
この一週間というもの、自分がどんなに不安な思いで過ごしたか夫はまるで理解してくれない。
すがる思いで電話をかけたというのに。
ピピ!
手に持っていた携帯から、メールの着信音が鳴った。
ディスプレーに、発信者の番号が表示される。
それは、この一週間お馴染みとなった番号であった。
中を読みたくはない。
しかし、綾子は読まずにはいられなかった。 恐る恐るメールを開く。
ディスプレーには、いつもより少し長い文面でこう書かれていた。
〈俺の金返せ! 今木〉
「今木……!!」
それは綾子の旧姓であった。




