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「あの、呪いが本当にあるとしたら、その女はどうなるのでしょう?」
「さあ。呪いにどんな効果があるのか、あたしは知りませんが、修験者の話では今日が呪いの成就する日だとか」
「どうなるんです? 呪いが成就すると」
「死にます。今夜中に」
本人を前にして老女は、さらっと言ってのけた。そして老女は無言で綾子を見つめる。
背筋にぞうっと悪寒が走った。
……まさか? この人はわたしが誰だか知ってて言ってるのでは……
「その女は……もう助からないのですか?」
「いいえ、一つだけ助かる方法があります」
老女は仏壇の方に目を向けた。
「どうするんです?」
すがるように綾子は言う。
老女は座ったまま振り返り仏壇を示した。
「手を会わせるんです」
「はっ?」
「息子に向かって、手を会わせて詫びるんです。そうすれば、その女は助かります」
「あの、それだけで、よろしいんですか?」
「ええ。あの女が死んでも、息子は帰って来ませんので。もっとも、あの女がそれを知ったところで、手を合わせに来るかどうかは分かりませんが……」
その後、しばらく老女は無言で綾子を見つめていた。




