26/37
26
「気が付くと息子は、ホテルの一室でベッドに寝かされていました。そして横には、保険屋の女が寝ていたのです」
実際には、そこで何かがあったわけではない。
薬で眠らせた後、同僚の外交員達に手伝ってもらい、佐久間をホテルの部屋に運びこんだのだ。
そして佐久間をベッドで寝かせておき、佐久間が目を覚ます寸前に、綾子が布団に潜り込み、いかにも行為の後のように、佐久間に思わせたのだ。
佐久間は酔った勢いでトンでもない事をしてしまった勘違いし、綾子に詫びた。
もちろん、佐久間の負い目を利用して契約を取ったことは言うまでない。
さらに、その一月ほど後には妊娠したと言って佐久間を脅し、年金の契約まで取っていた。
ただ、その後で佐久間は『責任を取って結婚する』と言い出したため、綾子はそれを断るのにかなり苦労したが……




