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しかし、せっかく連れてきてもらっても、佐久間は始終不機嫌そうな顔をして、会場の隅に座っていた。
綾子達が話しかけても『いつ終わるんだ?』『もう帰っていいか?』『こんな下らない宴会に突き合わされて、いい迷惑だ』という返事が返っててくるだけで、取り付く島もなかった。
契約を取るどころの状態ではない。
佐久間とて男だ。
こういう華やかな所に連れ出して、ちょっと色気をちらつかせれば、簡単に落ちるだろうと考えた綾子の目論見は見事に外れた。
そこで、綾子は最後の手段に出る。
色気に興味を示さない佐久間も、食い気には興味があったみたいだ。
出された料理を、ガツガツと食らっている。
そんな佐久間に、綾子はワインを進めた。
佐久間は何も言わずに受け取り、それを一気に飲み干したのだ。中に薬が入っていることを知らずに……




