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「ですが、本当は息子は保険には入りたくはなかったんですよ。息子は人付き合いが苦手で、結婚なんてしたくないと言ってました」
たしかに、そんな事を言っていた。『結婚なんかしないのに、なんで保険なんか入る必要がある』と言って綾子の勧誘を、頑強に拒んでいたのである。
しかし、その時の綾子にとっては、相手の事情など、どうでもよかったのである。
そんな事よりも、その月の内に契約を一つでも取れないと、給料を一気に減らされてしまう状況にある綾子にとっては、どんな汚い手を使ってでも、契約を取りたかったのだ。
「ところがある晩、保険会社の主催するパーティに息子は連れ出されたのです。行きたくなかったのに、上司や先輩に無理やり連れていかれたんですよ」
あの時、綾子は佐久間を合コンに誘い出して、色仕掛けで契約を取ろうとしたが『興味ない』と言って断られていた。
そこで、佐久間の上司や先輩に『可愛い女の子を紹介するから』と言って、佐久間を連れて来てもらったのだ。




