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「あなた……」
それは、今見たアルバムの中の猫とそっくりだった。
いや、それだけでない。一週間前に、出窓の向こうから綾子を見つめていた猫とそっくりである。
不意に、猫は部屋から出て行く。
「待って」
綾子は、猫を追って部屋を出る。
廊下の曲がり角で、猫はちょこんと待っていた。だが、綾子の姿を確認すると、猫は角を曲がって姿を消す。
綾子も猫を追って廊下の角を曲がった。
襖の前で待っていた猫は、綾子の姿を見ると前足で器用に襖を開けて、中へ入って行く。
綾子もその後を追い部屋に入ると、そこには大きな仏壇があった。
その横には、祭壇が設けられ、焼香台から煙が立ちのぼっている。
そこに祭られている写真を見て、綾子は愕然とした。
「そんな……馬鹿な!!」
そこに映っている写真の男は、昨日始めて会い、さっきまで車の中に一緒にいた佐久間とそっくりであった。




