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綾子はハンドバックから、顧客リストを取り出した。さ行の客を捜す。
あった。
『佐久間敬一郎。相模化工勤務』
……相模化工? 奥村と同じ会社?……
八年前に契約を取った客だが、どんな男か思い出せない。
「あなた……」再び、受話器に向かって話しかけた。「探偵さんがうちに来たのはいつの事?」
『二十分程前だが…』
「そうじゃなくて、今日初めて来たの?」
『そうだが』
……じゃあ、あの男はいったい誰? 犯人と同じ名前のあの男は……?
震える手で電話を切り、綾子は車から降りた。
このまま、車を出して家に逃げ帰りたい気分だが、あいにく綾子は運転ができない。
恐怖を押し殺しつつ、綾子は佐久間の入っていった玄関に向かった
「なに……これ?」
表札には奥村ではなく、佐久間と書かれていた。




