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携帯が鳴ったのは、その直後である。
……ずいぶん早いわね。あら? 佐久間さんじゃないわ……
夫からだった。
『おまえ。今、どこにいるんだ?』
「どこって……」
『母さんから聞いたけど、おまえ洋介を殴ったんだって?』
「だから……それは……」
『不安なのは分かるが、息子に当たるのはよせよ。僕もなるべく早く仕事を終わらせてそっちに帰るから……ところで、さっき探偵社の人が家に行ったそうだが、留守なので引き返して来たぞ』
「え……?」
……何を言ってるのかしら?佐久間さんならここにいるのに……
『まあ、どっちにしろ要件は電話で済む事だから別にいいのだが。よかったよ、事件は解決した。もう変なメールで悩む事もなくなる』
「どういう事?」
『犯人が分かったんだよ。昔、君が保険の外交員をやってた時の客さ。保険会社とトラブルがあったらしく、それで最初の担当だった君に嫌がらせをしてたんだ』
……知ってるわよ。そんな事……
『警察の方でも、電話番号から相手を特定していたらしいんだが、電話の持ち主がすでに死んでいたので、捜査が止まっていたんだ』
「死んでいた?」
……どういう事? わたしはこれからそいつに会うと言うのに……




