ホムンクルスの箱庭 第3話 第6章『地下施設への潜入』 ③
今日は初めて予約投稿をしてみました(*´ω`*)
ちゃんと投稿出来てるといいんですが(。>д<)
「監視映像に関しては、ツヴァイと相談して同じ映像をリピートさせることにしたわ。」
操作がひと段落着いたところで、制御盤を操作しながらソフィが皆に伝えた。
「それならよほど気を付けて見なければ、しばらくの間はごまかせるだろうからね。
あとは警報システムの破壊と、ゴーレムも動かせればいい搖動になるんだけど。」
誰も映っていない状態の映像を数秒間のクールで流し続ければ、多少違和感があっても誤魔化せるはずだ。
ツヴァイもその隣で制御盤に触れて、いつの間にか情報を呼び出していた。
目の前のスクリーンに警報システムに関する情報が一斉に流れ始める。
「ツヴァイ、あなた制御盤をいじれるの?」
「ソフィのを見て、見様見真似だけどね。」
「さすがね・・・私だってこれが出来るようになるまでは、かなりかかったっていうのに。」
「いや、ソフィほどのことは出来ないよ。何しろ僕がこれに触るのは初めてだからね。
だから手伝ってもらえると助かるよ。」
初めてで必要な情報を即座に呼び出すことが出来ること自体、ソフィからすれば驚きなのだが。
コンピューターと呼ばれる機械内にある情報は、それごとに特殊なコードがついている。
それを読み解いて入力しなければ、必要な情報を得ることは出来ない。
コードを読み解けるようになるまでに、ソフィはそれこそ数年を要した。
そのことを考えると、やはりツヴァイは天才と呼ばれる部類の人種なのだ。
2人で警報システムに介入していくらかいじった後、ツヴァイはゴーレムの作動システムを開く。
それから、ソフィは今度はこの施設のロックセキュリティに関する項目を読み解き始めた。
「ふむ、ここは俺たちの出番はなさそうだな。」
「だ、だね・・・僕にも何をやっているのかさっぱりわからないよ。」
「ソフィもツヴァイもすごいね~!」
ものすごい量の情報がモニターを流れていき、残された3人は後ろでそれを感心したように眺めている。
しばらくすると・・・
「これでいいかな?ソフィ。」
「そうね、始めましょうか。」
ソフィが頷いてツヴァイがパネルに触れると同時に、下の階から悲鳴が聞こえてきた。
「うわあああ!?キメラどもがポッドから出てきたぞ!」
「なんだと!く、大丈夫だ。こんな時のためにゴーレムが作動して・・・!
うわああ!なんでこっちを攻撃するんだぁ!?」
「よし、それじゃあ行こうか。」
にこっと笑うとツヴァイはそうちゃんを抱いたフィーアの手を引いて部屋を抜け出す。
それに続いてアイン、アハト、ソフィも駆けだした。
下の階ではキメラとゴーレムが暴れ回り阿鼻叫喚といった様子だ。
こちらに気付かれる心配はないだろう。
一気に駆け抜けて扉まであと少し、そう思った時だった。
「グルルル・・・」
いつの間に上がってきたのか、下の階にいた合成獣の1匹が、5人の前に立ちふさがる。
「ちっ!メタルビーストか・・・!」
それは、機械の身体をした巨大な獣の形の合成獣だった。
「ここは僕に任せて4人は先に行くんだ!」
アハトとアインが戦闘態勢になって前に出ようとした時だ。
「待って、私がお話ししてみるから。」
「へ・・・!?危ないわよフィーア!」
ソフィが止めようと手を伸ばすと、ツヴァイがそれを制止した。
「大丈夫、フィーアのことを信じて。」
機械と融合させられた巨大な犬のような生物に向かって、フィーアは手を伸ばす。
「お願い、私たちを通して。」
フィーアに向かってくんくんと鼻を鳴らすと、先ほどまで唸っていたはずのメタルビーストはおとなしく扉の前を開ける。
「え・・・?ちょ、ちょっとどうなってるの?」
「いいから、兄さん、アハト、ソフィ、先に扉に入って。」
ツヴァイに促されて、3人は慌ててA棟につながる大きな扉に入った。
「フィーア、もう大丈夫だよ。ありがとう。」
「うん。」
ツヴァイの手を取ってフィーアも扉の中に入る。
「ありがとう。」
去り際にフィーアがそう言うと、メタルビーストのしっぽが嬉しそうに左右に揺れる。
扉が閉まるのを見守ってから、メタルビーストはその前に陣取るように座った。
「どうしてあのキメラは、フィーアの言うことを聞いたの?」
A棟を目指している途中でソフィが尋ねた。
「知ってると思うけど、フィーアは相手の心に干渉する力を持ってるんだよ。」
「あ、ああ・・・確かに聞いたことはあるわね。」
実際に目の当たりにする機会というのが今までなかったので、ソフィは少し驚いたようにしながらも納得したように頷く。
「うん・・・でも、あんまり得意じゃないの。」
「フィーアは優しすぎるから。
相手の心に干渉しすぎると、自分にも影響が出ちゃうからね。」
ツヴァイが髪を撫でると、しょんぼりとしていたフィーアが嬉しそうに笑った。
「ふふん、それだったら私の方が得意なんだからね!
あんなやつらなんて、私の一言でばしばし操れちゃうんだから。」
そうちゃんからはドライの得意げな声が聞こえてくる。
「そうだな、そういうのは今のところドライの方が得意だ。」
それに関してはツヴァイも異存はないらしく肯定した。
「私の悪意にかかれば、どんなやつだっていちころよ!」
「ああ、なるほど悪意(笑)か。」
「だからあんた、悪意の後にニヤって笑うのやめなさいよね!
なんかむかつくんだけど!!」
「ほらほら、あんまり騒ぐと見つかっちゃうわよ。」
アハトの一言にドライがきーっとなりながら言うと、いつものようにソフィがたしなめて、マップを再確認する。
「さっきの情報によると、この建物は地下4層まであるみたい。」
「4層か・・・僕たちが目指すのも4層なのかい?」
「いいえ、私たちが目指すのは3層になりそうよ。
そこにA棟の大規模な実験施設があるの。
もし今夜、実験がおこなわれるとしたら、その場所になると思うわ。」
マップを指さしながらソフィが言うと、隣から覗きこんでいたアハトがボソっと言った。
「4層か・・・そこに行けば、あるいは。」
「4層になにかあるの?」
「いや、独り言だから気にしないでくれ。」
「気になるんだけど・・・まあいいわ、とりあえず急ぎましょう。」
この街に来てからというもの、アハトの様子がおかしいことにはソフィも気づいていた。
今のアハトの呟きは気になったのだが、答える気はなさそうだ。
それよりも、今の自分たちにはしなくてはならないことがある。
そう自分に言い聞かせ、ソフィは皆と共に先を急いだ。




