ホムンクルスの箱庭 第3話 第6章『地下施設への潜入』 ②
今日はスマホ投稿なので、おかしなところがあればご指摘ください(。>д<)
アハトの案内で階段を上ったり下りたりしながらしばらく進むと、やがて実験施設の中二階に出た。
中二階の床は実験場の上を3分の1ほど覆っており、そこから実験場の真上を通って中央に一本渡り廊下がかっている。
こっそりと下を覗いてみると、ポッドの中には様々な形をした生物が入っている。
ここはどうやら合成獣の実験施設のようだ。
実験を行っているのか、整備をしているのかはわからないが、研究員たちの姿も見えた。
「どうやら、本館に入れたようだな。」
「みたいね・・・それじゃあ、これからどう動こうかしら?」
「そうだな、見た感じだと一番近い扉はあれだね。」
ツヴァイが指さしたのは、奥に見える中二階側寄りの扉だった。
壁に沿って移動すれば、確かに下に気づかれずに移動することも可能そうだ。
「そうね、あそこから行ってみるのが良いかもしれないわね。」
このまま中二階をうろついていれば、いつかは見つかってしまう、一度どこかに入って体勢を立て直したいところだ。
「ちょっと待って!
ここは監視装置があるかもしれないから、そうちゃんの中に入って、誰か一人が移動するのが良いと思うんだ。」
「それもそうね・・・じゃあ私が皆を運ぶわ。
私なら、身体が小さいからあまり目立たないだろうし。」
アインの提案によりそうちゃんの中に4人が入ると、ソフィはそれを抱いて扉の前まで移動しようとする。
「ソフィ、ここはどこぞのヒーローのように飛ぶのが良いと思うぞ!」
「え・・・嫌よ。かっこ悪い。」
「何言ってるんだ。ほふく前進だと思えばいい!」
「・・・そ、そうね。」
フードを被ったソフィは、アハトの言う通り渋々とどこぞのヒーローのように、ぬいぐるみを抱いていない方の腕を前に出してローブの端をはためかせながら低空飛行した。
「ね、ねえ・・・これ、手を前に出す意味ってある?」
「もちろんだソフィ!かっこいいよ!!」
「そ、そう・・・」
アインのキラキラした声が聞こえてきて、なんとなく期待を裏切れないソフィは仕方なく最後までそのポーズを保った。
その状態で横目に改めて下の階を確認すると、部屋の四隅には何らかの装置と共にゴーレムが設置されているのが見える。
おそらくは、異常があれば動き出すようになっているのだろう。
「出来るなら、下の階にはばれないように移動したいものね。」
下の部屋にも扉がいくつも設置されており、運が悪ければ目的の場所に行くにはその一つを通らなければならないかもしれない。
そんなことを考えながら移動していると、ようやく扉の前に辿りついた。
扉にはプレートがかかっており『機器室A』と書かれている。
「ここは、私の得意分野ね。」
鍵がかかっているのを確認してくすっと笑ったソフィは、ヘアピンを外して鍵を開けるとさっと中に入って扉を閉めた。
幸い中には人はおらず、それほど大きくはない部屋の中には様々な機械装置が設置され、真ん中には制御盤のような物がある。
「さて、と・・・ここは私の腕の見せどころじゃないかしら。」
ぬいぐるみを近くに置いて腕まくりすると、ソフィはさっそく制御盤に触れて操作をする。
「ふう・・・この部屋の監視装置は止めたから、とりあえずみんな出てきても大丈夫よ。」
ソフィの言葉に、とりあえずアイン、ツヴァイ、フィーア、アハトの4人が出てくる。
ドライとグレイには、安全を確認するまでは中で待機していてもらえるようにお願いしてきた。
「なんか機械がたくさんあるね!」
「あ、兄さん、うかつに触ると警報機が鳴るから気を付けて!」
「おうふ!」
興味本位で危機に触れようとしたアインを止めてから、ツヴァイもさっそくそれらについて調べ始めた。
少しの間、制御盤や装置に触れてからツヴァイはソフィに話しかける。
「なんとなくだけど分かった。僕も手伝うよ、ソフィ。とりあえず他の監視映像から何とかしていこう。」
各施設には異常を知らせる警報装置の他に、映像を確認するための機械がある。
そこに映ってしまえば、こちらの行動は筒抜けになってしまうだろう。
「それならツヴァイ、こういうのはどうかしら?」
ソフィが何かの映像を見せると、ツヴァイはすぐに納得したように頷く。
「なるほど・・・うん、良いと思うよ。」
「そうか・・・俺にはさっぱりわからんな!」
「いいから、あんたは自分のグレネードが逃げないようにしっかり監視してて・・・」
アハトがまた何か起こさないように釘をさしてから、ソフィは制御盤をいじって巨大なマップを表示した。
「中二階からつながっている渡り廊下の先にある扉が、A棟施設につながっているみたい。
ただ、実験場の真上を通らなければならないから、何かで気を引いておかないと見つかるわね。」
自分たちがいるのはアハトが言っていたとおり、2つある棟のうちのB棟らしい。
そしてA棟に移動するためには、実験場の真上を一本だけ通っている渡り廊下を渡って、向かい側の扉をくぐる必要がある。
ここはいわば両棟の中継地点に当たる場所のようだ。
下を通らなければならないよりはマシだが、やはり危険であることは変わらない。
「こっちは私とアハトがいた施設で、おそらくあいつらがいるのは向こうのA棟だと思うわ。」
大規模な実験は主にA棟で行われる。
これだけ大きな施設ともなると踏み込んだことのない場所も多数あるのだが、ここもその一つだろう。
少なくとも、ソフィにはこの場所は見覚えがなかった。
「ふむ・・・だとすればここで合成獣どもを暴れさせて、気を引いている間に移動するしかないな。」
「なるほど、じゃあ、私がやってみるわね。」
気持ちを落ち着かせるように軽く息を吐いてから、ソフィはコンピューターにハッキングしてここの合成獣に関する情報を確認し始める。
ハッキングは単純に情報を引き出すのとは違い、緻密な作業と機械との絶妙な駆け引きを必要とする。
少しでも間違えれば警報機が作動し、たちどころに捕まってしまうだろう。
まあ、そんなミスは絶対にしないけどね・・・。
この程度のことが出来ないならば、ソフィは当の昔にこの世から姿を消していただろう。
必要な情報を引き出し、もう一度ロックをかけ直すところまで出来なければ工作員としては失敗作だ。
自分にそう言い聞かせながら、ソフィは今まで得た技術を生かすために制御盤を操作し続けた。




