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ホムンクルスの箱庭  作者: 日向みずき
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ホムンクルスの箱庭 第4話 第7章『孤島の護り人』 ③

あと数話、ノイン戦が続きます(*´ω`*)

「さて、覚悟は良いかアイン。

 今回はおまえだけを狙うようなことはしてやらないぞ。

 君が家族を守りたいというのなら、私から家族を守りきって見せるといい。」


 ノインは片方のレーザーブレードを無造作に振ってから、その切っ先をアインに向けた。


「それができないというのならば、兄を取り戻そうなどという夢など見ないことだ。」


 アインが無言で頷いたのが、戦闘開始の合図となった。

 それと同時にフィーアはノインに手をかざすと、相手に精神干渉をしてその能力を読み取る。


「あの機竜には、今まで私たちが戦ったナンバーズの能力が使われているみたい。」


「それは本当かい?

 だとしたら、フェンフの斥力場とゼクスの相手の弱点を突く攻撃が厄介だね。

 それにどうやら・・・あの光の剣はズィーベンのビームを応用したものみたいだ。」


 以前の戦いで苦戦させられた斥力場と、どんな状況でも的確に相手を狙う能力は厄介だ。

 さらにツヴァイの言うとおり、ノインが両手に携えている光の剣がズィーベンのレーザーを圧縮したものだとすれば、その威力は計り知れない。


「私の力を読み取るとは大したものだなフィーア。だが、私の能力はそれだけではないぞ。」


 ノインの肩に当たる部分から、5つの小さな白い機体が射出された。

 両隣に空中待機したそれらは、球状の機体の半分を占める巨大なガラス玉が何かを探すように動いた後、こちらを捕える。


「まずい・・・!おまえら、俺の後ろに下がれ!!」


 それを見て何かを察したアハトは、叫ぶと同時に前に飛び出す。


「ほう、さすがだなアハト。

 そうだ、これはおまえのグレネードと同じようなもの。

 対象を決め、自らを巻き込んで自爆する能力、アハトだ。」


「ならば、動く前に俺がやる!!」


 アハトが懐から取り出したグレネードで、片側の3体目がけて攻撃を仕掛けた。

 2体は爆発に巻き込まれその場で爆破したが、もう1体がスッと爆発をかわしてこちらを捕えようとする。


「甘いわね!アハト一人じゃないのよ。」


 ソフィが風を操ってその軌道を阻害し、アハトのグレネードが逃げた1体を爆破したものの、もう片側の2体がすぐに動き出そうとする。


 すると・・・


「行きなさい!フェンリルっ!!」


 ドライがそちらを指さして命令すると同時に、空中から魔力で形成された巨大な氷の狼が召喚されそちら側の2体をその爪と牙で引き裂いた。

 空中でそれらが四散したのを確認すると、狼は空間に溶けるように消える。


「私だっているんだからね!アルバートおじちゃん!!」


「そうだな・・・君は昔から皆を守っていた。」


 ドライがびしっとノインを指さしながら言うと、どこか優しげな声が聞こえてくる。


「ナイスだドライ!」


「私に任せなさいっ!・・・って言いたいところだけど、正直アレを召喚するのしんどいのよね。

 悪いけど、すぐにはノインの攻撃をあんたに集中させられないから、そのつもりでいて。」


「了解!」


 ぜえぜえと肩で息をするドライを、最近の定位置である自分の左肩に乗せるとアインは刀を構えた。


「私が風を使って皆の行動をサポートするから、全力で攻撃して!」


 ノインに先に動かれるのはまずいと踏んだソフィが、風によって皆の動きをサポートする魔法を唱え全員にかける。


「わ、私も攻撃するから!」


 フィーアは魔法を唱えて氷の刃を形成すると、ノインに向かって放とうとする。


 だが・・・


「あ、あう・・・!」


 いつもよりも鋭さを失っているその攻撃はノインを捕えることができず、簡単にかわされてしまった。


「フィーア、君の攻撃にはまだ迷いが見える。残念ながらそれに当たるわけにはいかないな。」


 ノインの姿がぶれたように見えたかと思うと、そこには彼の姿はなく地面にむなしく氷が突き刺さる。


「フィーアは感情を表に出しやすい。そんなものはヌルには絶対に届かないぞ。」


「そ、それは・・・」


 ノインの指摘に、フィーアがしょんぼりとした表情を浮かべた。

 フィーアも分かっている、自身の心にまだ大きな迷いがあることを。

 この戦いの中で得られる物が何なのか、フィーアにはまだ分からないのだ。


「なんて早さだ・・・!」


 目で捕えるのもやっとの動きに、アインは驚きを隠せずにいた。

 いくらフィーアに迷いがあるとはいえ、魔法による攻撃をいとも簡単に避けるとは。


「だが、ここで怯むわけにはいかない!行くぞノイン!!うおおおっ!!」


 大きく刀を振りかぶったアインは、ノインの頭上高くに飛び上がりそのまま振り下ろす。


ガギィン!!


 確かな手ごたえと同時に、金属同士がぶつかり合う音がする。

 その刀は確実にノインを捕えていたはずだった。


 ところが・・・


「残念だったなアイン、それは残像だ。」


「ばかな・・・!?残像だと!!」


 「そうだな。イミテーションブラックとでも名付けておこうか。」


 アインの攻撃を避けたノインにすれ違いざまにそう告げられてから、何が起こったのかをアインもようやく理解する。

 今のはおそらく攻撃が当たる瞬間に、装甲の一部を剥離して囮に使ったのだ。


「アイン、そんなものでは覚悟が足りないぞ。それでは私のライバルには役不足だ。」


「く・・・!」


 黒い影が横をすり向け、慌ててアインが振り向いた時には目の前に光の剣が迫っていた。

 その刃は迷うことなく、アインの肩にいるドライを捕えようとする。


「ノイン発動・・・覚悟とはこういうものだ。」


 ノインと呼ばれたその能力がどんなものなのか確認する間もなく、光の刃がドライの身体を薙ごうとする。


「させるかあああっ!!」


 今、最も身近にいる家族を守れずして紅牙を救うことなどできない。

 ノインも、そしてアイン自身もそのことをよく分かっていた。

 斜めに振り上げた刀がその一撃を、ドライに当たる寸前で受け止める。


 だが・・・


「ぐ・・・っ!!」


 逸らそうとしたはずの攻撃は、アインの左腕をかすめ焼いた。


「アインっ!アイン・・・っ!しっかりなさい!私なんかを庇って何やってんのよあんた!?」


「大丈夫だドライ。君は僕が守るよ!!」


 一瞬よろけたものの、泣きそうになるドライにアインは笑って見せる。

 しかし、アインがハッと気付いた時にはノインはその場におらず、フィーアに刃を振り下ろそうとしているところだった。


「あ・・・っ!」


 フィーアにその攻撃を防ぐ手段はない。

 思わずぎゅっと目をつぶり縮こまったフィーアを光の刃が貫こうとしたが。


「そんなことはさせない!!」


 ツヴァイの創った時空の障壁が、刃の切っ先を消し去っていた。

 さらに次の瞬間には、ノインはアハトの後ろに唐突に現れる。


「死ねアハト!」


「なんだと!この認否人!」


「くたばれ!外道!」


 そのことは予想済みだったのか、アハトはグレネードでノインを牽制しその攻撃をかわす。

 攻撃を終えていつの間にか元の位置に戻ったノインは、全身が灼熱色に輝いていた。


アハトとノインさんは仲良しです(*´∀`)♪

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