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ホムンクルスの箱庭  作者: 日向みずき
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ホムンクルスの箱庭 第4話 第4章『箱庭の子供たち』 ⑥

ノインさん、メタ発言が多いです( ノД`)…

「よし行くぞ!今週のびっくりドッキリロボー!メカじゃないぞ、ぽちっとな!!」


 ノインの掛け声と共に、アルケンガーのおなかの部分がパカッと開いて長い梯子が出てくる。


「ツヴァイ、いったい何が出てくるのかな?」


「な、なんだろう・・・僕もちょっと気になるよ。」


 全員が何が出てくるのだろうとわくわくしながら待っていると、その上を何かが降りてきた。

 それはキャタピラのついた小さなタンクに、ティラノサウルスの上半身がついたメカだった。


「これはタンクザウルスだ!口から放たれる噛みつき砲は強力だぞ!!」


「かっこよすぎる!!」


 ノインの説明通りティラノサウルスの口には砲台がついており、アインは大喜びしている。


「普通に噛みつくんじゃだめなの~?」


「は・・・し、しまったああああ!」


 フィーアの質問に一度派手なポーズで頭を抱えて上半身をのけぞらせたノインだったが、すぐに立ち直ってびしっとポーズを決める。


「い、いや、そうではない!ただ噛みつくだけでは面白くないではないか!

 噛みつく砲台など他で見られるものではあるまい!?」


「普通に砲台でよかったじゃない・・・なんで恐竜とくっつけちゃったのよ?」


「分かっていないなソフィ!

 無駄な物ほど研究者としての心がくすぐられるというもの!

 意味のない物ほど美しい!」


 ようは趣味で造った産物らしい。


「行くわよ犬!私を肩に乗せなさい!!」


「おーう!任せたよドライ!」


「わかってる・・・まあ、おじちゃん相手にはいらないと思うけどね。」


 例の敵の悪意をアインに向けるという約束は、あくまでも敵がアインを狙わない場合だ。

 アインをライバル視しているノインにはそんなことをしなくても十分だろう。

 ドライを肩に乗せると、アインはいつものように刀を構えた。


「本当に危険そうな攻撃が来たら、僕が打ち消すから安心して。」


「あう・・・ツヴァイ、無理しないでね?」


「平気さ。」


 にこっと笑うツヴァイをフィーアは心配そうに見つめる。


「フィーア、援護するから先にあの小さいのから片付けて!」


「うん!わかった!」


 ソフィの掛け声にフィーアが呪文を唱え始めた。


「ちなみにタンクザウルスは坂を上から下に下りることは出来るが、上ったり、平坦な場所の移動はできない!

 なにしろ攻撃力に全てを注ぎ込んでいるからな!」


「戦車なのに移動できないわけ!?何のためのキャタピラなの・・・」


「教えてくれてありがとう~!」


 ご丁寧に説明してくれるノインにお礼を言ってから、フィーアは範囲化した氷魔法をアルケンガーとその周りにいるタンクザウルスに放った。

 途端に、周りにいた今週のびっくりドッキリロボは凍りついて機能停止する。


「ああー!今週のびっくりドッキリロボが予定通りに破壊されてしまったー!?

 しかしこっちは予想外だ!私も冷たいっ!痛い!」


 予定通りタンクザウルスを倒したらしいフィーアの氷魔法はアルケンガーの足元を凍りつかせ、氷のつぶてがノインに当たる。


「ぐぬぅ、やりおる!」


 ノインがフィーアに気を取られているうちに、アハトが動いた。

 懐からいつも通りグレネードを取り出し、華麗なフォームでアルケンガーに投げつける。


「見よこの回避力!・・・しまったあ!足元が凍っていて滑った!?

 ぬう!バランサーに異常が発生したか!氷きつい氷きつい!!」


 あと一歩のところでアハトのグレネードを回避できなかったアルケンガーが、爆発に巻き込まれる。


「く、ばかめアハト!この装甲が見えないのか、この程度では沈まんわー!」


「もう1発いくぞ。」


「手伝うわ!」


 2発目はさらに華麗なフォームでグレネードを投げつけると、ソフィがそのグレネードを風に乗せてちょうどいい位置に流す。


「俺のグレネードが、おまえの装甲を破れないとでも思ったのか?」


 アハトがにやり、と笑ってノインに言ってみせた。


「く・・・連続グレネードだと!?

 私が与えた体で生き残ったんだから少しは遠慮しろ!!」


「ああ、おまえには感謝しているぞ。俺を8番目の実験体として選んでくれなければ、俺はあのとき死んでいたはずだったんだからな。」


 数年前、アルスマグナの実験施設でアハトがグレネードと共に爆発した後、瀕死のアハトに機械の体を与えたのは他でもないこのノインだった。


「くそうくそう!でも少しかっこいい・・・おのれ!だが今度は私の番なんだからな!」


 ノインはくるっと方向を変えると、アインの方に向き直った。


「ふはははは!行くぞアイン、最初の一撃は貴様からじゃないと形がな!」


「こい!耐えてみせる・・・!」


「私は攻撃力をチャージする!そして男の夢のパイルバンカー!」


「負けない!」


「その自信を打ち砕いて見せるぞ!これが防げるかアイン!

 この程度が防げなければヌルと戦うなど100年早いぞー!」


「僕はこの苦難を乗り越えてみせる!」


 アインは勢いよく打ち出された巨大な鉄の槍を受け止めたかと思うと、そのまま横に受け流した。

 はじかれた槍はそのまま地面に突き刺さる。


「なんだと!?私のパイルバンカーが!」


 その隙をついてドライが命令した。


「行くわよ犬!特攻!ごー!」


「おーう!」


 肩に乗ったドライがアルケンガーを指さすと、アインが刀を構える。

 その刀にドライが悪意を付与した。

 そのまま大きく振りかぶると、アインはアルケンガーに向かって刀を振り下ろす。

 アインの纏う金色の炎とドライの能力が合わさって、それはまるで光と闇が融合したかのように見えた。


「光と闇が融合して最強に見えるだと・・・!?大した力だな。だが、その攻撃はよけてみせる!!」


 ノインがアルケンガーを動かそうとした時だ。

 身体を支えている爪の関節にソフィの投げたナイフが刺さった。


「残念、この場のヒーローはあなたじゃなくてアインよ。」


「しまったあ!ヒーロー属性か!ぐうぅ!回避に失敗した。

 やるな主人公補正!」


 アインの返す刀がさらにアルケンガーを捕えるが、まだ倒れる気配はない。


「ちいっ!なんという丈夫さだ・・・!」


「まだだ!この程度で勝てると思うなよ!

 巨大ロボは強いんだ!装甲と言えば男の子の夢なんだからな!!」


「か・・・かっこいい、さすがはノイン!我がライバル!」


 2人が話している隙に、ソフィは次の攻撃を予想して少し離れてから呪文を唱え始めた。


「いくぞ!私のターン!!

 私的えねるぎーあたーっく!喰らえ!フォトンキャノーン!

 ちなみに、射程から離れるとはやるなソフィ!」


「なぎ払うのはわかっていたからね。」


「だがアイン、残りのメンバーを守れるか!?世界を七日間で焼き尽くしたビーム!!」


「だから、そのネーミングセンスはどうなの・・・」


 そんなことを言っている間にも、アルケンガーの口にビームの光が集まって行く。


「アハト、フィーア、ツヴァイ!覚悟しろ!!」


「ツヴァイはだめー!」


「フィーア、前に出ちゃだめだ!!」


「む、病人はあまり撃っては行かんな・・・」


 ツヴァイの前にフィーアが飛び出し、ノインが思わずためらっている隙にアハトが動いた。


「隙だらけだっ!!」


「なに!?」


 いつのまにかアルケンガーの死角に移動したアハトは、光の集まっている口の部分に向かってグレネードを投げつける。

 グレネードは竜のあごの部分に当たり狙いがそれてビームが空に打ち出された。


「くうっ!砲台の角度が!!」


 ビームは空を突き抜け、雲を横なぎに切り裂いた。


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