第15話
短いですが、切りが悪いのでここまでで投下。
「わぁ、とっても素敵よ!チセ!」
予想通り、テディはとても喜んでくれた。
「何だか、恥ずかしいわ。変じゃないかしら?」
「いいえ。思った以上よ!とても可愛いわ!」
モーリスも、少し赤くなりながら
「…悪くない。」って目を細めてくれるのを見てホッとする。
「そう?」
改めて自分の姿を見下ろしていると。
「じゃあ、これを渡せば完璧ね。」
って、テディが部屋に取りに行って、何かを差し出してくれる。
それは、長いリボンがついたバレエシューズだった。
「ハイヒールにしようか迷ったんだけどね。きっと貴方にはこっちのほうが似合うと思って。」
って。
ドレスだけでも申し訳ないのに。
どうしてそこまで良くしてくれるの?
何だか涙が出そうになってきて…。
「テディ…。モーリス。私、全然恩返しも出来てないのに。」
そう言ったら、テディは私の手を取って言ってくれた。
「貴方は、もう私たちの妹みたいなものだもの。貴方の笑顔が見たくて、私たちが勝手にやっているのだから気にしないの。泣いてほしいわけじゃないわ」って。
だから、私は涙を堪えて、何て言おうかあれこれ考えたんだけど。
「ありがとう。」
結局、出てきたのは、その一言だけだった。
(あぁ、そういえば。これも最初にテディに教えてもらったことだったわ。)
この、言い表せない感情のすべてを詰め込んで。
ドレスだけじゃない。シューズだけじゃない。
…私の家族になってくれて、ありがとう、だ。
この気持ち、伝わるかな?
お願い。私は伝える力が欲しいよ…。
なんて、泣き笑いしてられたのは、
「じゃあ私も着替えてくるわね。」と部屋に戻ったテディが再び現れるまでだった。
あれ?
テディのドレス、私と…全然違う?




