第14話
ハルともっと話さなきゃ、って思った。
ジークとももっと話したい、って思った。
私は何をしてたんだろう、って思った。
そうして気付く。
(私、そういえば、ここにいつから居るんだろう?あれ、今日は何月何日かしら?)
そんな当たり前のようなことが、…分からないってことに。
だって、ここでは、日付なんて必要としない。
大切なのは今で。
「…そう、…だよね?」
何故か確認したくなって、窓辺で一人呟いてみても、…勿論、誰も答えてはくれなかったけれど。
代わりに「満月はすぐそこさ」って月の声が聞こえたような気がした。
迎えた秋祭り当日。
モーリスたちは、町の広場で今夜行われる儀式の準備に朝から出かけていて、私は小熊ちゃんたち二人とお留守番をしていた。
何でも、毎年、町の人総出での準備らしくて。
私も手伝いたかったんだけど、
「二人を見ててくれると助かるわ。」って言われてはそうする以外無くて、こうして家で二人と遊んでいたというわけだ。
そして、その二人もお昼寝に入ってしまうと、することがなくなり、少し早いけど私は今夜のドレスに着替えてみることにした。
実の所、私はドレスを着る…っていう経験をあまりしたことがない。
小さい頃に、ワンピースは来てた頃があったけど。
学校に入ってからは、子供用のローブが普段着で正装だったし…。
姿見の前に立って、自分の姿を眺める。
前回の時とおんなじように、ほとんど、テディと黒猫のミーシャさんの相談で出来たドレスなんだけど。
ワンピースの時とは違って、なんと言うか、だいぶ露出が多いドレスである。
(でも、町と村伝統の意匠だって言ってたし、多分皆もそうなんだよね…?)
そんな不安を除けば、実はとても気に入っている。色は真っ白だ。どうやら私のウサ耳に合わせて選んでくれたらしい。
袖は小さめのパフスリーブで、カシュクールになっている胸元にはレースがあしらわれている。
スカートは、中に仕込んだパニエのおかげでかなりふんわりとしたシルエットになってて、膝が丸見えな感じ。胸元とスカートの裾には金糸の刺繍が入っていて素敵だし、ウエストは大きな水色のリボンを後ろで結ぶ形になっている。
全体的にフワフワで柔らかい印象っていうのかな。
獣人さんたちは、女性でもコルセットなんて全く付けないようなの。
うん。
少し緊張するけど…。
この姿。自分では、悪くないかな、って思う。
ハルは何て言うかな?きっとハルのことだから、誉めてくれるよね。
ジークは…?
色々考えちゃってたけど、やっぱり楽しみだわ、なんて思ってたところで。
モーリスとテディが帰ってきたみたい!




