だって、好き
──キーンコーンカーンコーン
四時限目の終わりを告げるチャイムが鳴り、ガタガタを椅子を引く音があちこちから聞こえた。
一気に賑やかになる教室内。
さて、お昼の時間です。
鞄から弁当を取り出し包みを解く。
食べ終わったら図書室に直行、それが私の日課だ。
特に今は注目が凄いのでね。
早く食べて安全圏に逃げよう。
(頂きます)
手を合わせて箸を取る。
しかし弁当の蓋を開けようとしたら、普段呼ばれる事のない私の名前が呼ばれた。
「七瀬円って子居る?」
声の発信源は教室の入り口から。
高い音、女の人だとすぐに分かる。
果てしなく感じる嫌な予感。
チラリと顔を上げて見れば、入り口前に三人の女子生徒が立っていた。
ちょっとギャルっぽい見た目の彼女達は頻りに中をキョロキョロしてる。
多分2年か3年だ。
ここは気付かないフリをしよう。
私は空気、私は空気、私はくうk…
「あ、居た!あの子だよ、ほら窓側前から四番目の。私朝見たもん」
駄目だった。
空気作戦失敗。
足音が近付いてくる。
ああもうどうしてこう………今日は本当にとことんついてない。
神様に丑の刻参りって効くのかな。
…呪い返しされそうだからやめとこ。
「ねぇ、アンタ七瀬円?」
「………はい」
「よし捕獲!」
「?!」
尋ねられて素直に肯定すると、いきなり左右の腕を二人のギャルさんに掴まれ立たされた。
そして残りの一人が素早く私の弁当を包み直し片手に持つ。
「悪いけどさ、ちょっと顔、貸して」
「………はぁ」
最早強制の音色に否とは言えず、小さく頷く。
それからズルズル引き摺られ、教室の外へと問答無用に連れ出された。
リンチですね分かります。
またもや別の意味で注目を浴びる私。
そのまま2年の階である3階まで、両腕を掴まれたまま連行される。
もう、帰りたい。