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だって、好き



離してください。



そう訴えれば先輩はすんなりと、私を拘束する両手を解いた。

制服の前を正して見上げると間近で見ても欠点一つない綺麗な顔がある。


間違いなく、久瀬飛鳥先輩だ。




「………………」



「………………」



「……あ、う……ちょっとごめっ…ストップ!!」



「え?」




ずっと見ていたら何故か右手で顔を隠した久瀬先輩が、突拍子もなくそんな事を言う。


手、大きいな。

指も長くて爪の形も整ってる。


細部まで完璧な人って、多分この人みたいな人間の事を指すんだろうと目を瞬く。



……何か蟹歩きしてるけど。




「あの」



「待って、待って、ちょっと待って俺今一生分の勇気使ったから。溜まるまで待って!お願いっ」



「はぁ……」



「うぅっ……どうしようもうめっちゃ可愛いっ。あーやだやっぱ無理俺帰るっ!」



「ええっ……」




いえいえ先輩、どうしようはこっちの台詞です。

と言うか顔を背けたまま蟹歩きで離れていく彼は誰?



そして私はどうすればいいの。



そう思った、次の瞬間。




「くぉら飛鳥!お前なぁ、ここまで来たんなら男らしく腹を括りやがれっ!腑抜けてんじゃねぇぞ!」



「!?」




いきなり、ホントいきなり真後ろから低い怒号(渇?)が飛んできて、大袈裟に肩が跳ねた。

ああ驚いた。


急に大きな声を出されると心臓が止まりそうになるから止めてほしい。




「……?」




一体誰だろうと振り向けば、両腕を組み仁王立ちしてる男の人が顰めっ面を全面に押し出し久瀬先輩を睨んでいた。

黒髪で短髪の………分かりやすく言うならまさに日本男児、みたいな人。


空手部とかの主将をしてそうな強面の雰囲気に、少しだけ気持ちが竦む。



この人も有名な人だ。



名前は芹崎泉里(せりざき せんり)

久瀬先輩と同じ2年4組で、ここの副トップ。

大抵の不良は彼の睨み一つで腰を抜かすと言われている程、渋くて厳つい顔立ちをしてる。


噂に違わず迫力が物凄い。

任侠ドラマとかに出ても通用すると思います。

普通に。




「あうっ、せ、泉里ちゃんっ…!……だってだって俺無理だもん!やっぱ無し今の無し!聞かなかった事にして!あっ、でもやっぱり駄目それは悲しいからせめてハイかイエスで答えて円ちゃんお願いしますっ」



「アホか!あーもうっ、お前って奴は何でこう…………ったく、なっさけねぇ!それとちゃん付けすんなって言ってんだろうがシバくぞこの野郎っ!」




忙しなく、小動物並にアタフタしてる久瀬先輩にまたもや鋭い渇を飛ばした芹崎先輩。

そのままズンズンと久瀬先輩に近付いていき、蟹歩きで必死に逃走してるその襟首を掴みこっちに引き摺ってくる。

何て乱暴な。




「おい、お前」



「……はい何でしょう」



「ボランティア精神で良いからコイツと付き合ってやってくれ。てか付き合え、な?」



「………………」




あれ、おかしい。


一人増えて益々意味が分からなくなってきた。



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