表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

甘え過ぎてはいけません

「は?今更何言ってんだ。アーノ」


衝撃の事実に気付いたクリスティアーノに、呆れたと言わんばかりの一言がかかる。


彼女が目を向けた先に居るのは、実は朝から部屋に来ていた幼なじみのレオナルドだ。

面会に来たわりに会話はそこそこに済ませ、今はアーノから右にあたる壁に何かしらを刻んでいる。

レオナルドの言葉に、これまた朝からいてお茶を用意しているメイドのタリアが続いた。


「監禁というより、軟禁でしょうか。まだまだ甘いと思いますよ」


アーノにベッドから椅子へ移動するよう促しながら、にっこり笑う。


「甘いか?足枷だぞ」


レオナルドが作業の手は止めないまま、不思議そうに聞いた。


「本気でアーノ様を監禁しようと思うなら両手両足にすべきですわ。片足だけで何が拘束ですか。片腹痛いです。それ以上にお二人は未だ清い関係を維持したままですし」

「うわーへたれ」

「本当に!全くなんのための監禁ですか。一度、進言して」

「やめて」


流すに流せなかった最後の台詞をアーノが止めた。

椅子に座って、胸を張る。


「レオもタリアも何よ。いいじゃないの清い関係。爽やかで。問題は監禁よ。私は監禁だか軟禁だかをされてたわけ?」

「本気で気づいてなかったのか!」

「鈍いですわアーノ様」

「だって、いつもの癖が妙に長引いてるだけだと」

「癖?何ですかそれ?」


首をかしげるタリアに、レオナルドが困ったように答えた。


「あータリアは知らないか・・・。あいつ、疲れがたまるとアーノから離れなくなるんだ。というか、まだ続いてたのかあの悪癖。俺は子どもの時だけだと」

「いや時々ね、時々・・・」


わかりやすく目をそらしたアーノから、何らかを察するのは容易い。

タリアは愕然と頬に手を当てた。


「陛下に・・・!御年二十三歳の一国の王ともあろう方に甘え癖ですか・・・!」


そう、一国の王。

クリスティアーノを現在進行形で監禁している現在二十三歳の甘え癖のある男は、大陸の南にある大国シルケットを治める若き王、フィリップ・ルータ・シルケットだった。


あらためて言われると余りにいたたまれなくてアーノは椅子で身を縮める。


代わりに陛下に仕える騎士のレオナルドが手を止めて振り返り、タリアを諫めた。


「タリア!甘え癖っつー言い方は止めろ。威厳がなくなる」

「言い方を変えても甘え癖は甘え癖では・・・。それに女の子を監禁していらっしゃる時点でもう威厳も何も」

「う・・・・・・」


そしてあっさり負けた。

レオナルドも元々思っていたことらしく、明らかに分が悪い。


三人の周りに気まずい空気が漂った。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ