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【時間跳躍の守護者】魔法庁の「影」を狩るクールな少年と、時空を超える相棒のクロニクル  作者: ねこあし


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第8話:空間の安定点と、孤独な理論家

廃墟への帰還

 九条刹那とリナは、リナの『時空の扉』を使い、瞬時に東京郊外の廃墟研究施設へと移動した。ここは、かつて刹那が師の霧島冴子と合流し、風見から空間理論を学んだ、物語の重要な「空間の安定点」だ。


 廃墟の地下、風見の隠れ家がある深部へと向かう通路は、以前よりも魔力の歪みが少なく、空間的に安定しているように感じられた。これは、風見が零司の追跡を警戒し、常に『空間の安定化』を行っている証拠だった。


「冴子さん、風見さんは、無事だろうか……」


 刹那は、静かに魔力を探った。彼の『時間法則のノイズ』は、空間の魔力変動を遮断し、自身の存在を隠蔽し続けている。


「あなたの『時間跳躍』の痕跡は、極めて微細でしたが、冴子には届いたはずです」 リナは、周囲の空間の安定性に驚きを隠せないようだった。


「この安定性は、零司の『空間断裂』を無効化するために、風見が二年かけて維持してきたものだ。協会の『時空の切断』に対抗するには、この理論が必要になる」


師弟の再会

 廃墟の奥、風見の隠れ家の扉を叩くと、疲弊しきった様子の風見が、警戒心に満ちた目で扉を開けた。彼の目には、二年間孤独に空間を監視し続けた、深い隈が刻まれている。


「刹那……!本当に君なのか。あの時の『時間干渉波』は、君の合図だったか!」


 風見は、刹那の無事を確認すると、安堵の表情を見せた。だが、彼の隣に立つ、見慣れない少女に気づき、すぐに警戒の瞳を向けた。


「その少女は……時空の魔術師の魔力だ。零司の追跡を潜り抜けたのか」


「彼女はリナ。元『時の協会』の管理者で、僕の共闘者です。彼女は、協会の目的と、その追跡方法を知っている」


 刹那は、簡潔に状況を説明し、リナを紹介した。


 リナは、風見に恭しく頭を下げた。


「風見先生。あなたの『空間理論』は、零司の『法』に対抗できる唯一の鍵でした。今、その理論を、『時空の法則』を操る協会に対抗するために、私に教えていただきたい」


 その時、隠れ家の奥から、霧島冴子が現れた。彼女は、刹那の姿を見て、一瞬だけ目を見開いたが、すぐにいつもの落ち着いた表情に戻った。


「刹那。連絡は受け取ったわ。本当に、あなたの周りは、休まる暇がないのね」


 冴子は、優しく微笑みながらも、厳しい視線でリナを観察した。


「冴子さん。零司は、協会の存在を把握した。そして、協会は、風見さんの『空間安定化理論』を狙っている。僕の『時間法則のノイズ』だけでは、彼らに対抗できない」


風見の警鐘

 風見は、刹那から『一秒の破片』を受け取り、それを分析装置にかける。


「これは……『過去の分岐点』を切り取った、危険なものだ。協会の目的は、やはり歴史の改変。そして、君の『時間魔術』を、その改変のための起動力として利用することだ」


 風見は、ホログラムで、自身の『空間安定化理論』の構造図を表示させた。


「私の理論は、空間に『絶対的な基準点』を設けることで、空間の歪みを打ち消す。これは、零司の『空間断裂』の予測を狂わせるためのものだ」


「シドの『時空切断』は、この安定点そのものを『時間軸ごと』引き剥がそうとしました」


 リナが、自身の経験を共有した。


「その通りだ。『時空』の魔術は、『空間』だけの防御では防げない。だが、逆に言えば、君の『時間法則』と、私の『空間法則』が、『安定した一点』で連携すれば、『時空』そのものの動きを『無力化』できる」


 風見は、刹那の瞳を見て、「時間と空間の法則」を組み合わせた、新たな理論の構築を提案した。


「君の『時間収束』と、私の『空間安定』を組み合わせた、『時空の絶対固定クロノ・アストラル・ロック』。これが、協会の『時空改変』に対抗する、唯一の『法の壁』となる」


新たな訓練の始まり

 冴子は、刹那の『時間法則』と、風見の『空間法則』の連携に、危険性を感じていた。


「刹那、それは危険すぎるわ。時間と空間の法則を同時に操れば、君自身の魔力回路が、次元の矛盾に耐えられない可能性がある」


「大丈夫だ、冴子さん。僕には、『法則の守護』という目的がある。そして、この『法則』を、悪意の手に渡すわけにはいかない」


 刹那の瞳には、かつての復讐の炎ではなく、世界の秩序を守るための、より冷たい決意が宿っていた。


「リナ。君の『時空の扉』の座標を、僕の『時間法則のノイズ』と完全に同期させろ。僕らは、この『空間の安定点』で、『時空の絶対固定』を習得する」


「了解しました、守護者」


「時間」の管理者と、「時空」の管理者が、「空間」の理論家の指導のもと、「時空の法則」そのものに対抗するための、新たな訓練を開始した。彼らの前には、零司の『法』が届かない、『法則』の最深部を巡る戦いが待っていた。

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