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【時間跳躍の守護者】魔法庁の「影」を狩るクールな少年と、時空を超える相棒のクロニクル  作者: ねこあし


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第2話:一秒の逃亡劇と、時空を超える相棒の誕生

ゼロ距離の緊迫

 東京湾岸部の高層ビル屋上。九条刹那の背後には、神崎零司の『空間断裂ディメンション・スライス』の魔力の予兆が迫り、目の前には、時空の管理者・リナが、「未来の安全な場所」への招待を提案していた。


「時空の扉を、僕にだけ開く?信用できるのか」


  刹那は、ブリーフケースの隣に置かれた、リナの砂時計型の魔導具を一瞥しながら問うた。


 リナの青い瞳は、極度の緊張の中でも冷静だった。


「信用、ですか。あなたは、私の脱出座標を『時間干渉』で固定し、私の行動を封じている。私には、あなたを騙す時間も、力もありません」


 刹那は、零司の魔力の接近速度から、残された時間が約三秒しかないことを計算した。


「分かった。ただし、連れて行くのは僕一人だ。君が盗んだ『一秒の破片』は、ここで回収する」


 刹那は、リナの了承を待たず、ブリーフケース内のガラスの破片を、『時間再構築クロノ・リヴァイヴ』の魔力で覆い、自身の懐に移動させた。


「待ってください!それは協会の資産です!」


  リナが声を上げた瞬間、刹那は彼女の背中に、『時間遅延クロノ・ディレイ』を放った。リナの動きが一瞬だけ遅れる。


「回収は、交渉の後の話だ」


 刹那は、彼女の時空転移を妨害しないよう、自身に向けた『時間干渉』を解除した。


 リナは、刹那の目的が「破片」ではなく、「情報」にあることを理解し、表情を悔しさに歪ませた。


「座標を開きます!時間はありません!」


 リナは、砂時計型の魔導具を起動させた。彼女の周囲の空間が、夜空の星雲のように青く歪み始める。その歪みは、通常の空間魔術とは違い、時間の概念を伴っている。


「――『時空のタイム・ゲート』」


追跡者とのすれ違い

 零司の『空間断裂』が、ビルの屋上に到達した。


 ズオンッ!


 強烈な魔力の刃が屋上を切り裂く。同時に、零司が率いる監査チームが、屋上になだれ込んだ。


 零司は、切り裂かれた金庫、倒れた警備隊、そして青い魔力の残滓を確認し、顔を曇らせた。


「空間魔術ではない……時空の残留魔力だ。そして、九条刹那の『時間干渉』の痕跡もある!」


 彼は、刹那が現場にいたことを確信したが、その姿はない。唯一残されたのは、リナだった。


 リナは、時空の扉を閉じる直前、零司に鋭い視線を投げかけた。


「あなたの『法』は、存在しないはずの場所まで裁けますか?」


 その言葉を最後に、リナと、彼女の背後に立っていた刹那の『存在の影』は、夜空の歪みと共に完全に消滅した。


 零司は、何も掴めなかったことに、自らの「法」の限界を突きつけられた。


「逃がしたか……九条刹那。そして、新たな秩序の破壊者。全隊、この『時空の魔術師』に関するあらゆる情報を収集しろ!『時の協会』の影が、再び動き出した!」


時空の狭間

 刹那が意識を取り戻した時、彼は奇妙な空間に立っていた。そこは、色彩も形も曖昧な、霧のかかった無限の回廊のような場所だ。足元には、無数の歯車が静かに回り、カチカチという時間のリズムを刻んでいる。


「ここは……」


「ここは『時空の狭間タイム・アビス』。二つの時間軸の間に存在する、概念の休憩所です」


  リナが、少し離れた場所で、魔導具を調整しながら言った。


 リナは、刹那の前に歩み寄り、冷たい視線で問うた。


「なぜ、私を追うのですか?あなたは、新生魔法庁の人間ではない。なぜ、協会の『一秒の破片』を盗むのですか?」


 刹那は、懐から取り出したガラスの破片を、リナに示した。その破片は、光を反射するたびに、わずかに過去の風景を映し出している。


「この破片は、単なる魔導具ではない。これは、『時間』そのものの断片だ。この破片が、僕の感知した『時間のノイズ』の原因だ」


 刹那は、『時間再構築』の能力で、破片から読み取った情報をリナに伝えた。


「君がこの破片を回収したことで、東京の一部地域の『過去の一秒』が消失した。その一秒が、世界の『流れ』に与える影響は計り知れない。僕は、世界の法則が乱れるのを、見過ごせない」


 リナは、刹那の能力と、その『法則』への執着に、警戒から好奇へと感情を変化させた。


「あなたは、『時間法則の守護者』ですか。それとも、単なる復讐者ですか」


「僕は、復讐を終えた。今は、『法則』の維持者だ。君たちの『時の協会』の目的は、その法則を破壊することにある」


新たな提案と相棒の誕生

 リナは、静かに砂時計の魔導具を置いた。


「協会の目的は、『起源の魔力』の収集です。その魔力は、あなたの『時間停止』、そして私が行う『時空転移』の、根源に関わっている。この破片は、その起源の魔力を高めるための、鍵の一つです」


 リナは、刹那に予想外の提案をした。


「私たちは、あなたを追跡者と見なします。ですが、あなたの『時間干渉』は、零司の空間魔術だけでなく、私の時空の扉をも完全に無効化する。……協会の追跡から逃れるには、あなたの協力が必要だ」


 彼女は、刹那の手にある破片を指差した。


「あなたが、その破片の『管理者』になってください。私は、協会から離脱した者です。共通の敵は、『時の協会』。あなたの『時間法則の守護』と、私の『時空の扉』があれば、協会の計画を阻止できる」


 孤独な『法則の守護者』と、『時空の管理者』。二つの異なる能力が、共通の敵によって結びつけられようとしていた。


 刹那は、リナの真意を測りかねながらも、彼女の能力が、自身の『法則の維持』に不可欠であることを理解した。


「分かった。一時的な『共闘』だ。ただし、君が裏切れば、僕の『時間封鎖』の対象となる」


「当然です。……私の役目は、あなたの『時空の相棒』として、法則の外の道を示すことです」


 二人の新たな契約が、時空の狭間で結ばれた瞬間、リナの顔に、初めて微かな安堵の微笑みが浮かんだ。彼らの新しい戦いは、ここから始まる。

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