第18話:法則の断罪と、零司の絶望
崩壊した隠れ家での誓い
現代の東京、廃墟研究施設。零司の過去での強引な空間固定により、この場所の空間法則は破壊され、冴子の空間的な切断痕が残されたペンダントだけが、悲劇を物語っていた。
「冴子さんが残した、この切断痕……単なる空間断裂ではない。協会の起源の魔力と零司の魔力が、この場所で衝突した」
刹那は、冴子のペンダントを強く握りしめた。彼の『時間法則のノイズ』は、この場所で起きた出来事の『時間の残滓』を読み取ろうとしていた。
リナは、刹那のそばで魔導具の解析を続けた。
「この魔力痕跡は、協会の『時間導師』のものです。彼らは、零司が過去にいた数秒の隙を利用し、冴子を『時空の扉』で連れ去った」
「協会の目的は、冴子さん自身の魔術の才能か、それとも僕を誘き出すための人質か」
「おそらく後者です。彼らは、あなたの『時間法則の守護』を『支配』するために、あなたにとって最も大切な存在を奪いました。そして、零司の過去への介入が、その手助けをしてしまった」
刹那は、自身の『時間法則の守護』の使命が、『法』の執行者である零司の独善的な行動によって、裏切られたと感じた。
「リナ。君の『時空の扉』で、僕を零司の元へ連れて行け。協会の刺客を追う前に、『法則を乱した者』を、僕の法則で裁く」
零司への『法の断罪』
新生魔法庁本部、零司の専用ラボ。零司は、過去での空間固定の疲労と、協会の脅威が去っていないという事実に苛立ち、自らの『法』の正当性を再確認しようとしていた。
その時、ラボの空間に青い星雲のような『時空の扉』が開き、刹那とリナが現れた。
「九条刹那!なぜここに!」 零司は、即座に『空間断裂』の構えを取ったが、刹那の静かな怒りの表情に、一瞬動きを止めた。
「零司。君の『法』は、『秩序』を守ったか?」
「当然だ!協会の創設者と部隊を過去に封じ込め、未来への脅威を排除した。そして、君の『法則』を利用したことは、『法』のためだ!」
刹那は、冴子のペンダントを零司に突きつけた。
「君の『法』は、冴子さんを奪われた。君の強引な過去への介入が、この場所の空間法則を破壊し、協会の『潜行』を容易にした。君は、『法則の崩壊』を生み出した、『最悪の秩序の破壊者』だ」
刹那の怒りは、静かでありながら、世界の法則そのものの重みを伴っていた。
時間と空間の究極の衝突
零司は、刹那の言葉に一瞬たじろいだ。彼の『法』は、結果として冴子を危険に晒したことを否定できない。しかし、彼の『法』の信念は、刹那の『法則』の前に屈することを許さなかった。
「黙れ!君の『法則』こそ、『法』の支配を否定する最も危険な異物だ!ここで、『法』の名の下に、君の『法則』を断罪する!」
零司は、渾身の『広域空間断裂』を刹那に向けて放った。ラボの空間全体が、切断の魔力によって歪む。
刹那は、この攻撃を待っていた。彼は、『時空の絶対固定』で零司の『空間の法則』を、『時間法則』で完全に無効化しようとした。
「――『時間法則の絶対支配』!」
刹那の魔力が、零司の空間断裂を受け止め、それを『発動する前の時間軸』へと強引に逆行させた。零司の魔術は、彼の体内に逆流し、激しい苦痛が零司を襲った。
「ぐあっ……!私の魔術が、私自身を切り裂くだと!?」
零司の『空間の法則』は、刹那の『時間の法則』の前に、完全に敗北した。
零司の絶望と新たな協力者
刹那は、魔術によって崩れ落ちた零司の前に歩み寄り、冷徹に告げた。
「君の『法』は、僕の『法則』の前に、無力だ。君は、僕たちの『現在』を破壊した責任を負え」
その時、リナが、零司のラボに残されていた協会の新たな情報を読み取った。
「刹那!協会の次の標的が判明しました!彼らは、『時間導師』が残した情報に基づき、協会の本部がある『時間の孤島』へ向かっています。そこは、現代の協会の総本山です!」
「零司。冴子さんは、そこにいるのか」
零司は、魔力の逆流で満身創痍になりながらも、『法』の執行者としての最後の力を振り絞った。
「私の『法』では、『時間の孤島』の座標は特定できない。だが……法則が、そこを導くだろう」
零司は、絶望的な表情で、自らの『空間法則』の力を、刹那の『時間法則』に託すという、『法』に反する究極の判断を下した。
「行け、九条刹那。君の『法則』が、秩序を回復するなら、私は一時的に君の『法』となる。私の持つ『空間法則』の全情報を、君の『時空の絶対固定』の演算コアとして利用しろ。それが、混沌を生み出した私の唯一の贖罪だ」
『法』の追跡者、神崎零司は、自らの敗北と過ちを認め、『法則の守護者』に『法』の全てを託した。ここに、刹那は、『時間法則』と『空間法則』の両方を司る、真の『時空の守護者』へと覚醒する。彼の最終決戦の舞台は、協会の総本山へと移る。
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