第17話:未来への転送と、法則の崩壊の予兆
儀式の停止と法の執行
千年前の『天空の石塔』。刹那の『時空の絶対固定』により、『原始の管理者』の時間支配の儀式は停止した。
「馬鹿な……起源の魔力が、未来の異物の力に敗れるだと!」
老人は、石盤から手を離し、儀式の失敗に怒りを滲ませた。
その隙を見逃さなかったのは、『法』の執行者、神崎零司だった。
「九条刹那の『時間固定』は、法の執行のための隙を与えた!」
零司は、即座に『原始の管理者』と協会の『時間潜行部隊』に向けて、空間魔術を収束させた。
「――『広域空間封鎖』!」
零司の魔力は、千年前の空間を絶対的に固定し、創設者と協会部隊をその場に閉じ込めた。零司の『法』は、過去の秩序の破壊者を、未来への影響を考慮せずに拘束した。
「零司!その空間固定は、この時代の法則を乱す!すぐに解除しろ!」
刹那は、零司の強引な法の執行が、時間軸の安定性を損なうことを理解し、警告した。
「黙れ、刹那!秩序は回復した!協会の脅威は去った!次は、君の断罪だ!」
零司は、刹那の警告を拒絶し、刹那とリナに向けて、『空間断裂』の魔力を収束させ始めた。
未来への強制転送
刹那は、零司の空間魔術に対抗しつつ、この千年前の時代から緊急脱出する必要があった。零司の空間魔術がこの時代に長く留まれば、彼らの『現在』が不安定になる。
「リナ!僕の『時間法則』と君の『時空の扉』を、零司の魔力に逆行させる!未来の座標へ、強制転送するぞ!」
リナは、零司の『空間封鎖』が完全になる前に、『時空の扉』を開いた。
「――『時間跳躍・逆行誘導』!」
刹那は、『一秒の破片』から得た固定魔力を、零司の空間魔術の発動座標に叩き込み、空間固定を一瞬だけ破綻させた。その隙に、リナの『時空の扉』は、「千年前の現在」から「彼らの現代」へと向かう、強烈な時間の奔流を発生させた。
刹那とリナは、零司の空間断裂を紙一重でかわし、時間の奔流の中へと飛び込んだ。
零司は、刹那の時間魔術の恐ろしさを再認識した。彼は、千年の時空を超えて、自分の魔術を『逆行』させたのだ。
「九条刹那……!君の『法則』は、本当に『法』の絶対性を否定する!」
零司は、過去に協会の創設者と協会部隊を空間封鎖で閉じ込めたまま、自らも現代へ帰還するための『時空の扉』を、急いで構築し始めた。
法則の崩壊の予兆
刹那とリナは、強烈な時間の奔流の中を、『時空の扉』に守られながら進んでいた。
「刹那!零司が千年前の時代に残した『広域空間封鎖』の魔力が、『時間軸の傷』となって、私たちを追ってきています!」
リナは、魔導具の警告表示を見て、焦りの表情を浮かべた。
零司の過去での強引な法の執行は、未来(彼らの現在)の時間軸に、予測不能な歪みをもたらし始めていた。
ドクン、ドクン……!
刹那の身体が、時間軸の歪みによって激しく揺さぶられた。
「これは……!僕の『時間法則』が、『安定した現在』を特定できない!僕らの『現在』が、零司の過去での行動によって、『定義不能な状態』になりかけている!」
刹那のクールな表情が、極度の緊張に変わった。彼の『時間法則の守護』の使命が、最悪の形で裏切られようとしていた。
リナは、自身の『時空の扉』を安定させようと、必死に魔力を注ぎ込んだ。
「協会は、この『法則の崩壊』こそを狙っています!零司の『空間固定』と、私たちの『時間跳躍』の残滓が、時空を不安定化させている!」
崩壊した現在への帰還
数秒後、二人が現代の東京、風見の廃墟研究施設に『時空の扉』から帰還した。
しかし、研究施設の様子は、彼らが旅立つ前と異なっていた。
風見が構築していたはずの『空間安定化』の結界が完全に消失しており、周囲の空間は激しい歪みに満たされている。そして、冴子の姿がない。
「馬鹿な……!この空間の歪みは、零司の過去での空間固定が、未来の法則を破壊した証拠だ!」
その時、刹那の『時間法則のノイズ』が、極めて異質な魔力の痕跡を感知した。それは、協会の『起源の魔力』と、零司の『空間魔術』が混ざり合った、『調和しない魔力』だった。
そして、床に、冴子が身に着けていたペンダントが、空間的な切断痕と共に残されていた。
「冴子さんが……拉致された?」
リナは、驚愕に言葉を失った。
刹那は、ペンダントを拾い上げた。彼の瞳は、かつての復讐の冷たさとは違う、『法則の崩壊』と『大切な人の危機』に直面した、静かな怒りを湛えていた。
「零司……。君の『法』は、秩序ではなく、最悪の混沌を生み出した。次は、僕の法則で、君の『法』を裁く」
過去の介入により、未来の法則は崩壊した。刹那の新たな戦いは、「協会の追跡」だけでなく、「零司の行動の修正」と「師の救出」という、さらに複雑な局面に突入する。
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