第15話:千年前の風景と、原始の「時」を操る者
千年の跳躍
地下水路に開いた『時空の扉』は、激しい時間逆行の魔力を放っていた。刹那とリナは、その奔流に身を投じ、一瞬にして千年の時間を遡った。
強烈なGと、時間の概念が崩壊するような感覚の後、二人が降り立ったのは、現代の東京とはかけ離れた、緑豊かで原始的な風景だった。
空気が濃密な魔力で満たされており、建物は少なく、石造りの簡素な構造物が点在している。ここが、「第一魔法時代」、すなわち『時の協会』の創設者が「絶対支配者」となるための儀式を執り行う、『分岐点』の場所だった。
「成功です、刹那。私たちは、協会の『時間潜行部隊』が来る、数時間前に到達しました」
リナは、魔力の消耗で息を切らせながら、周囲の魔力変動を注意深く監視した。
「この魔力の濃さ……まるで、『起源の魔力』が空気中に満ちているようだ」
刹那の『時間法則のノイズ』が、周囲の時間の流れに強く反応する。この時代の『時間法則』は、現代よりも純粋であり、彼の魔術の制御が、現代よりも容易になっている感覚があった。
協会創設の地
リナは、『一秒の破片』から読み取った座標と、周囲の地形を照合した。
「協会の創設の儀式は、この先の『天空の石塔』で行われます。そこは、時間と空間の法則が最も交わりやすい、古代の魔力集中点です」
二人が石塔へ向かう途中、現代では完全に失われた、強力な魔術文明の痕跡を発見した。
「この時代の魔術師は、『時間』を、『空間』と同じように『力の源』として扱っていた」
刹那は、千年前の魔術痕跡に触れることで、『時間魔術』が、いかに純粋な法則であったかを肌で感じた。そして、彼の『時間法則の守護』の使命感が、より強固なものとなった。
「僕たちの目的は、協会の『時間潜行部隊』を阻止し、『創設者』が絶対支配者となる『儀式』を、『無力化』することだ」
原始の「時」を操る者
石塔の麓に近づくと、一人の老人が、巨大な石盤の前で、静かに座っているのを発見した。老人の周囲には、時空の歪みが常に発生しており、その魔力は、リナの時空魔術、シドの座標術、調律者の調律術、全ての『時空の技術』の根源となっているように見えた。
「あれが……『時の協会』の創設者、『原始の管理者』です」
リナは、恐れと尊敬が入り混じった声で囁いた。
老人は、刹那とリナが『時空の扉』から来たことを、すでに察知しているようだった。彼は、立ち上がることなく、静かに声をかけた。
「ようこそ、『未来の異物』よ。そして、『法則の裏切り者』よ」
老人の声は、時空を振動させ、刹那の脳内に直接響いた。
「お前が、『時の協会』の創設者か」
刹那は、クールな表情を崩さず、老人に『一秒の破片』を向けた。
「ふむ。私の『時間の断片』を、『未来の異物』が持っているとは、皮肉なものだ。私は、ただ、『時間』を、『悪意ある空間の法則』から守ろうとしているだけだ」
老人は、刹那の『時間法則の守護』の理念を、『悪意ある空間の法則』と同一視していた。これは、彼の目的が、時間軸の純粋性の維持であり、空間や現実の法則を軽視していることを示していた。
儀式の開始と、協会の潜行
老人が静かに石盤に手を触れると、石塔全体が金色の光を放ち始めた。
「残念ながら、君たちの『現在』の『時間の法則』は、ここで修正される。私の『絶対的な時間支配』の儀式が、始まったのだ」
石塔の頂上から、千年の時間を遡ってきた起源の魔力が、『時間軸のアンカー』として、地面へと注ぎ込まれ始めた。
その瞬間、天空に、現代の協会の時空魔術特有の激しい歪みが観測された。
「来た!協会の『時間潜行部隊』です!」
リナは、すぐに魔導具を起動させた。
「刹那!私が『時間法則のノイズ』で、協会の『潜行座標』を狂わせます!あなたは、『時空の絶対固定』で、老人の儀式を止めろ!」
刹那は、『時間法則のノ異物』として、『原始の管理者』が絶対支配者となる儀式の中心へと、『時間跳躍』を開始した。彼の背後からは、零司率いる『対時間潜行部隊』の、空間魔術の予兆が、千年の時を超えて、この時代にまで届き始めていた。
『過去』で、『現在』と『未来』の運命を決する、三つ巴の戦いが幕を開ける。
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