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【時間跳躍の守護者】魔法庁の「影」を狩るクールな少年と、時空を超える相棒のクロニクル  作者: ねこあし


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第10話:法の選択と、最初の共同戦線

法と法則の天秤

 廃墟研究施設の地下ラボ。神崎零司は、リナが表示した『時の協会』の緊急警告(協会員『調律者』の侵入)と、目の前の九条刹那の存在の間で、究極の選択を迫られていた。


「零司。君の『法』の優先順位は、『僕の拘束』か、それとも『世界の危機』か。選べ」


 刹那の問いは、冷徹で、感情を一切含まない事実の提示だった。


 零司は、一瞬、目を閉じた。彼の心の中で、『法』の条文が高速で巡る。


(私的な感情は、刹那の拘束を求める。だが、協会の標的である『起源の魔力貯蔵庫』は、魔法庁の中枢技術が詰まった場所だ。その技術が協会の手に渡れば、『法と秩序』そのものが根底から覆される)


 零司は、目を開いた。彼の瞳は、かつての私的な怒りを捨て、公的な使命に基づいた冷徹な決断を映していた。


「……私の『法』は、『より大きな危機』の排除を優先する」


 零司は、監査チームの隊員たちに、即座に指示を出した。


「全隊、聞け!九条刹那の拘束を保留する!目標を、『起源の魔力貯蔵庫』に侵入した『時の協会』の刺客に切り替える!直ちに転移準備!」


 零司の選択は、刹那の『法則の守護』を、結果として『法の道具』として利用することとなった。


「刹那。君の言葉を、一時的に信用する。ただし、君たちの行動は、私の『時間監視網』の下にある。もし裏切れば、その場に存在する全ての次元を、『空間断裂』で焼き尽くす」


「それで構わない。リナ、目標座標へ『時空の扉』を開け」


奇妙な共同戦線

 刹那、リナ、そして零司率いる監査チームは、リナの『時空の扉』を通じて、瞬時に魔法庁本部地下深くにある『起源の魔力貯蔵庫』へと転移した。


 貯蔵庫は、厳重な空間固定結界で守られていたが、既に内部の結界の一部が、異質な魔力によって破られている。


 貯蔵庫の中央には、協会の刺客、コードネーム『調律者チューナー』が立っていた。彼は、細身の体躯で、銀色の杖を持ち、貯蔵庫の魔力制御盤を操作していた。


「やあ、これは驚きだ。裏切り者のリナ。そして、時間停止の異物。さらには、法の番人まで。豪華な集まりだ」


 調律者は、静かな口調ながら、周囲全てを見下すような傲慢さを滲ませていた。


 零司は、監査チームに指示を出した。


「貯蔵庫の制御盤を最優先で防衛せよ!奴の目的は、起源の魔力の流出だ!」


「零司。奴の魔術は、『時間』を『音階スケール』として扱う『調律術』だ。空間を固定するだけでは、時間の流れを操作される」


 刹那は、零司に警告した。


「分かっている!君の『時間法則』で、奴の『調律』を乱せ!」


 ここに、『法』の番人、『時間法則』の守護者、『時空』の管理者が集い、『時の協会』の刺客と対峙するという、前代未聞の共同戦線が敷かれた。


調律者の攻撃

 調律者は、刹那と零司の連携を侮蔑するように笑った。


雑音ノイズ同士が手を組んだところで、『絶対的な時間』の調律は止められない」


 調律者は銀の杖を振り上げた。


「――『時間音階・下降クロノ・スケール・ダウン』!」


 彼の魔術が発動すると、貯蔵庫全体の『時間の流れ』が、徐々に遅くなり始めた。それは、刹那の『時間遅延』とは異なる、世界全体の時間を均一に『低音域』へと調律する、広域魔術だった。


 零司と監査チームの動きが、目に見えて鈍くなる。魔力の収束速度も低下し、彼らの空間固定の魔術展開が間に合わない。


「くそっ!このままでは、結界が間に合わない!」


 零司は、歯噛みした。


「刹那!調律者の『音階』を、僕の『時間収束』で打ち破る!」


 刹那は、風見との特訓で完成させたばかりの『時空の絶対固定』の片鱗を、調律者の魔術に応用した。


「――『時間収束クロノ・コンヴァージ』!」


 刹那の『時間法則のノイズ』が、『一秒の破片』の固定魔力を伴い、調律者の『下降音階』に対して、『絶対的な現在のリズム』を叩き込んだ。


 キィン――!


 貯蔵庫内部の時間が、一瞬で正常な流れを取り戻した。調律者の広域魔術は、刹那の『法則の守護』によって、完全に打ち消されたのだ。


法則の衝撃

 調律者は、自身の魔術が、たった一人の時間魔術師によって打ち破られたことに、驚愕を露わにした。


「馬鹿な……私の『調律』が、完璧な『時間収束』で打ち消された!?この魔力は、『起源の魔力』に匹敵する安定性……お前が、『時間法則の特異点』か!」


「僕は、法則の守護者だ。君たちの悪意ある調律は、ここで終わる」


 刹那は、クールな表情のまま、『空間干渉増幅器』を構えた。


 零司は、刹那の『時間収束』の圧倒的な力に、改めて戦慄していた。彼の『法』では、決して定義も計測もできない、絶対的な力。


「監査チーム!隙を突け!九条刹那と、連携を取る!」


 零司は、刹那を『法で裁くべき敵』ではなく、『眼前の脅威を排除するための戦力』として認め、生まれて初めて、裏切り者との連携を選んだ。


 刹那と零司、二人の「秩序の番人」による、時間と空間の法則を融合させた、最初で最後の共同戦線が、今、始まる。

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