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#2

 話は変わって、先日の夜のこと。


 仕事帰りにいつものレンタルショップへぶらっと立ち寄った僕は、駐車場の定位置に車を停めた。


 降りてスタスタ歩き出すと、足元に何やらピンク色の物体が落っこちていることに気がつく。


 もしや、と思って拾い上げてみると、その物体は、猫の顔を模した、可愛らしい見た目のポシェットだった。


 僕は驚愕して、意味もなく辺りをキョロキョロと見回した。なにせ、ハンドルを握りながら、今日こそは誰かの落とし物を拾う側になれたら良いのになぁ、なんて、ぼんやりと考えていた矢先の出来事だったからだ。 


 財布を落としたことに気がついて、祈るような気持ちで今頃お店に取って返している女の子(と、多分その親御さん)は、安堵のため息を漏らすに違いない。


 ようやくこの僕にも、受け取った優しさのバトンを誰かに手渡すことのできる、千載一遇の機会が巡ってきたのだ。

 

 お店の人にポシェットを届けに行く間、マスクの下でニヤつきを抑えられなかったのはいうまでもない。


 その日は柄にもなく身体がだるくて、やけに気分が落ち込み気味だったのだけれど、家に帰る頃にはものの見事に寛解。スッキリとした気分で就寝することができた。

 

 我がことながら、実に単純なものである。


 閑話休題。ここからは完全に蛇足だが、このエッセーを書いたことに、今さらながらちょっぴり後悔している自分がいないでもない。


 自分が行った善行を他人にひけらかすような手合いはロクな大人にならないと、十代の頃、母親に散々言い聞かせられていたからだ。


 これからは、当たり前のように、影で粛々と徳を積むことのできる人間になりたいなぁ。そして、せめて人に迷惑をかけない程度までには、往年の妄想癖を治したいなぁ。


 そう切に願う、暖かな秋の夜長なのだった。


ー完ー

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