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いつぞやの勝者は始まる

短めです。ごめんなさい!

 先生が去ったあと、教室には微妙なざわめきだけが残った。視線がやけにこちらに集まっている。


 やっぱり、面倒なことになったかもしれない。


 俺は夏美の方を見るとてへっと笑っている。


 ……可愛いな、おい。


 でもそんなことは言ってられない。


 俺は居心地が悪くなったので、1人で早々に教室を去った。


 教室から出て帰ろうとしていると、後ろから足音が2つ聞こえた。


 誰がくるかはわかっている、振り向かず、歩くスピードを落とした。開口一番


 「なんで急に帰ったのよ」

 「それな。どしたの。腹痛いんか」


 秋人は俺を心配しているのか不安そうな顔で見てくる。夏美はなぜな少し不機嫌だ。


 え、なんで不機嫌なのん……?


 「あんな気まずい状況で残れるわけないだろ……」


 俺が言い返すと、夏美は一瞬言葉に詰まる。


 「もしかしたら相談してくれる人がいるかもしれないでしょ」

 「たかが16人しかいないゼミに都合よくいないでしょ……」


 半ば呆れながら返した。


 夏美と秋人は小さい声でぽつりと


 「それもそうね……」

 「たしかに……」


 あんたらも思ってたんですね。


 短い沈黙だった。


 なにも言葉を発することもなくこれからどうしようという空気だけが静かに漂っている。


 互いの顔を(うかが)っていると、不意にドアが開いた。こちらに近づいてくる足音がひとつ。


 「あなたたちが相談委員会っていうのをやってるの?」


 聞きなれない声だった。思わず顔をあげる。


 そう言ったのは……誰だ?同じゼミだというのにわからない。


 彼女は肩まで伸びた淡いミルクティー色の髪。

 柔らかく巻かれた毛先が揺れる。


 俺が言葉に詰まっていると秋人が助け舟を出してくれた。


 「そうだね。そこにいる柊冬馬がサークル長でやってるよ」


 完全に説明モードに入ってる。そんで俺に話ぶん投げたなこいつ。


 「サークル長の柊冬馬です。えーと君の名前は……?」

 「同じゼミなんだけどね一応……」


 淡々と言われた。これ地味に刺さりますねぇ……


 最近人を呆れさせてばっかな気がするが気のせいということにしよう。


 「椿野春香(つばきのはるか)さん。覚えてないのか冬馬」

 「まあ俺副ゼミ長だしね」

 「尚更覚えておきなさい」


 2人に同時にたしなめられる形になった。


 そのとき、椿野さんが小さく咳払いをした。


 「続けていいですか?話」


 淡々と物事を進めるさっきからずっと表情がほとんど変わっていない。……ちょっと怖いですね


 「話をする前に場所を変えましょうか」

 「立ち話もあれだしな」


 夏美がさらりと提案した。俺も賛成だ。人の話を立って聞くのも悪いことではないけど、立ちっぱなしって疲れるからね。


 「どこ行くんだ?空き教室か?」

 「そんなの1つに決まってるでしょう」


 夏美は意味ありげに笑った。



 そして大学を出て向かっている先はーー俺の家だ。


 前には椿野さんと夏美が仲良さげに話している。どちらかというと、話しているというより夏美が頑張って会話をつなげているというのが正しいけど。


 俺と秋人も彼女たちの後ろ3歩ほど離れて並んで歩いている。


 5月だというのに肌寒い。そのせいか空気が、やけに澄んでいる。


 ぽつりぽつりと他愛ない会話をしながら歩く。不意に秋人が口を開いた。


 「俺がゼミの授業の初回で、椿野さんのこと話したろ?覚えてない?」

 「はぁ?んなことあったか?」


 はて、そうだっただろうか。人の名前以外の記憶以外は自信がある。


 「あー、言ってたわ。あそこの子が可愛――」


 そこまで言いかけて、秋人が肘で俺の脇腹を小突いた。


 「聞こえるから。黙れ」


 前を歩く二人の背中が、わずかに近く感じる。


 相談内容は、一体なんだろう。そこまで切羽詰まっているようには見えない。


 相談委員会、第一号。


 記念すべき、なのか。

 それとも、面倒の始まりか。

いかがだったでしょうか?? 

『こいつおもろいぞ』『続き読みてえ』などの感想が

出てきたら作者としては本当に嬉しいです。

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