表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

いつぞやの勝者は噂される

遅くなりました!ごめんなさい!

 秋人と合流し、食堂で昼ごはんを食べることになった。昼休みの食堂は人で溢れている。テーブルはほぼ満席だ。


 普段は秋人と外で食べることも多いが、続けると財布が悲鳴を上げる。だから今日は大人しく学食だ。


 すると開口一番秋人が


 「お前らなんか噂になってんな」

 「……お耳が早いようで。」

 「なんのこと?」


 夏美はすっとぼけながら口元だけで笑っている。確信犯のくせに、本当にタチが悪い。さっきの授業と変わらず、目線が痛い。噂は広がっている。


 「俺は平穏な日常を望むと言うのに……」

 「私といることってそんなに騒がしいんだ」


 彼女は悪びれもせずに言う。誰のせいでこうなってるかわかってんですかね本当に。


 食事中の話題は終始噂のことだった。夏美はずっとコロコロ笑っていて、俺の平穏は静かに、しかし確実に遠のいたことがわかった。


 ご飯のほとんどを食べ終え、ひと息ついたところで話はまた元に戻った。


 「俺と秋人で普段過ごしてたから静かだったんだよ」

 「2人の時はなにしてたの?」

 「ゲームとか雑談とかだな。なあ秋人」


 振られた、秋人の方を見ると少し罰が悪そうな顔だ。あーそうか。大変でしたね。


 夏美は秋人の方を見て、面白そうに目を細める。そして猫撫でた声をだし、可愛く言った。


 「秋人。教えてほしいな、私」

「いつか教えるから一旦勘弁して! 夏美! 無理!」


 完全に掌の上だ。かわいそうだなぁ(他人事)。


 どうにか猛攻を耐えきった秋人は、魂が抜けたみたいな顔をしていた。


 


 午後のゼミが始まった。見慣れた教室、見慣れた光景。ただひとつ違うのは、左隣に夏美がいることだ。その周りには当然のように友達が集まっている。


いつもは俺と秋人の2人なんですけどね。浮いてる訳じゃないと思う……多分


 右隣では一応ゼミ長の秋人が、相変わらず静かに寝息を立てている。


 昼前に寝たせいか、今はまったく眠くない。仕方なくスマホでゲームを始めた。


 すると、左から視線を感じる。顔を上げると夏美がにこにこしながらこちらを見ていた。そして口パクで、


 (ちゃんと授業きく)


 と伝えてくる。


 流石にこのまま無視するわかにもいかなかったのでスマホを横画面にしていたのをやめた。すると満足そうに先生の授業をまた聞き始めている。


 やることもないので、彼女の横顔を眺めていた。こういうのを美人と言うのだと思った。本当に。同じ学部の人らが噂するのもわかる。俺みたいに基本ぼっちか秋人と過ごしてるやつでも伝わってくるくらいだ。


 彼女の方をずっと見ていると、視線に気づいたらしい。夏美が不思議そうにこちらを見る。そして口パクで、


 (どうしたの)


 と。


 「いや、綺麗だと思って」

 「……!?と、と、冬馬あんた何言って……!?」


 思いのほか大きな声が教室に響いた。みるみるうちに彼女の顔が赤くなっていく。


 教室が少しざわつく。右隣では、秋人が目をこすりながら状況を探っていた。


 「どうしたの榎本さん!?急に立ち上がって大声出して。大丈夫?」

 「い、いえ先生。なんでもないです。大丈夫です」

 「そう?でも顔赤いわよ。体調悪かったら保健センター行きなさないね」


 あれ俺今とんでもないこと言ったな?ま、まあ大丈夫だよね……そう思っておこう。


 授業が終わった。皆また片付けをしている。隣の秋人は終わったことに気づいておらず寝ている。終わった途端に夏美が耳に口を近づけ、


 「さっきのどういうこと?急にびっくりしたじゃん」

 「思ってたことを口にしただけ。いやだったらごめん。謝る」

 「いやってわけじゃないんだけど……」


 最後の方はなんと言ってるか聞き取れなかった。


 「どしたのさっきは大声出して」

 「うわ、びっくりした起きたのかよお前」


 秋人はいつの間にやら起きていたらしく。会話に入ってきた。


 「なんでもないわよ。秋人」

 「いや、そんなはずないだろ」

 「そうね。教えてほしかったら秋人のことも教えてくれたらいいよ」


 多分食堂で飯食ってたことの話だろう。秋人の方が少し劣勢になり、躊躇(たじろ)ぐ。


 「やっぱなしだ。夏美いい関係にしよう」

 「いい判断よ。秋人」


 なんか戦争でもしてたんですか?仲良くやってよかっためでたしめでたし。


 パンパン


  何事だろう。ゼミの親睦会は先月やったばかりだし、珍しく課題でも出すのか――そんなことを考えていた。


 すると先生が思い出したように手を叩いた。


 「あ、そうそう。言い忘れてたわ」


 教室が静まる。


 「柊くんが相談委員会っていうのを立ち上げました。メンバーは柊くんと柊くんの両隣の3人。私が顧問ね。なにか困ったことがあれば、まずは柊くんに相談するように」


 ざわ、と小さなどよめきが起きる。


 「じゃ、今日はここまで。お疲れさま」


  ん? 顧問の話なんて聞いてないぞ。

 というか、うちのゼミの先生だったのか!?


 秋人を見ると、無言で首を横に振る。どうやらあいつも知らなかったらしい。……となると、犯人は一人だ。


 「あれ。言ってなかったっけ」


 しれっと言うな。


 「言ってねぇよ……」


 俺が睨むと、夏美は小さく肩をすくめる。


 「和泉(いずみ)先生ね。ちゃんと覚えておきなさい、サークル長さん」


 どこか呆れたような口調だ。

 ……気のせい、ということにしておこう。


 ……これ、また明日から変な噂が増えるやつじゃないか?


 教室のあちこちから視線を感じる。

 「相談委員会ってなに?」「柊ってあいつだよな?」そんなひそひそ声が、もう聞こえている気がした。


 俺たちの相談委員会は、ほんの少しだけ大学内に存在を知られることになった。


 そして同時に誰かの悩みが、現実として持ち込まれる可能性も。

どうなっていくのでしょうか

いかがだったでしょうか?? 

『こいつおもろいぞ』『続き読みてえ』などの感想が

出てきたら作者としては本当に嬉しいです。

下の評価欄是非!是非!お願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ