いつぞやの勝者は集う
「ねぇお腹空かない?」
そう言ったのは夏美だった。サークルの話をちゃんと細かいところを決めたり、各自課題をしているうちに、それなりに時間が経っていた。確かにスマホを見ると18時を回っている。
「確かに。今日、秋人どうする飯食って帰る?」
「そうするわ。親に連絡一本入れたちから、ちょっと外で電話してくる」
言いながら秋人は、靴を引っ掛けながら外に出た。話し声がするので家族と話しているのだろう。俺は夏美の方を向き、
「夏美はどうする?帰るか?」
「私は学生寮だから、1人暮らしみたいなものだし、私もここで食べてから帰ろうかな。」
大学には、女子限定だが学生寮があると聞いたことがある。利用している人は多くはないものの、夏美はそのうちの1人なのだろう。
「秋人とよく夜ご飯一緒に食べてるんだろうけど普段は何食べてるの?」
大学の近くにはいろんな店がある。もちろんスーパーもあるがファミレスやチェーン店、ラーメン、ナン、海鮮丼、飲み屋etc......など。最寄り駅周辺には、住宅街が多いからか学生向けの店には困らない。
「俺1人の時はカップ麺とかコンビニ飯とかが多いかな。あいつと飯食う時は近くの店よく行ってる」
「生活習慣がもう終わってるわ……」
夏美はこめかみに手を当てながら心底呆れた声で言った。しょうがないだろ男子校出身には掃除がギリギリなんだから。
すると、秋人が電話を終えたのか玄関の方から戻ってきた。
「おまたせ。問題ないわ」
「問題?」
「今日帰らないことに対する親への精神的ダメージ」
軽口を叩きながら部屋に戻ってきている。え?今日うち泊まっていくの?家主の俺の許可は?
「で、飯どうする?」
「今ちょうどその話してたとこ。冬馬の食生活が終わってるって」
「それは本当にその通りだと俺も思う。」
夏美は腕を組んで一度だけ深くうなずいた。2人とも好き勝手にいい好きじゃない?
「自炊できない、コンビニ多用、カップ麺常習犯。役満ね」
「なんでそんな麻雀みたいに言うんだよ」
とはいえ反論できないのが悔しい。
俺が黙ったのを見て、秋人がにやっと笑う。
「じゃあ今日は外でちゃんとしたもん食おうぜ。近くでいいだろ」
「賛成。それじゃいこっか」
俺は上着に手を伸ばした。ラーメン食いたかったな……
駅の近くまで出ると、部活やサークル帰りの学生で辺りは賑わっており、笑い声や話し声があちこちから聞こえてくる。
その中に飲み屋の呼び込みも混じっているせいか、普段よりも道が少し狭く感じられた。人の波に押されながら歩いていると、大学の近くに住んでいるという実感が、今さらになって湧いてくる。
夏美と秋人は夜飯をなににするか話し合っている。俺は特に希望もないので、口を挟まず見ていた。秋人は人が多いことにうんざりしている様子で、露骨に顔をしかめながら、
「もう飲み屋とかでよくね?めんどくさい」
「まだ未成年でしょ??ダメよ。私もまだ19だもん。」
彼女はまるで子供を宥めるような口調だった。夏美はなかなかのしっかりしている。俺と秋人とは正反対と言っていい。……というか未成年で酒飲むことを守ってる人ってほんとにいるのだろうか。俺?守ってるわけないでしょうに。
どうやら細かく決めるのも面倒になったのか駅前にある近くの店を適当に夏美が選んだ。
「ここにするけど。いい?」
こちらを振り向き、俺たちに確認する。
「異議なしだ。入ろうぜ」
「右に同じだ」
合意を得られたことに満足したのか、彼女は先立って店に入っていった。俺と秋人はその後に続く。
店のドアが閉まる。
その向こう側に、今までとは少し違う日常が待っている気がした。
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