表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

第4話ー不死

「不死?って魔法か?そんな魔法があるってことか?すごいな!!!

誰でもできるのか?やり方教えてくれよ!」


ノアが豆鉄砲をくらった鳩のような顔をして驚いていた。不死のことを肯定されることなんてなかったからだ。

「そんな事言われたの初めて....だけど魔法...じゃなくて。【祝福】」


「祝福?そういう能力ってことか?」


ノアが頷く

「そう..祝福は生まれたときからある能力。私の場合はそれが不死だった」

なぜかつらそうに話を続ける。

ノアは自分の肩を押さえたまま、ゆっくりと深呼吸をしてから言葉を続けた。


「……でも、私が不死だって知ったなら……普通は、離れていくものなんだけどね。」


その言葉に、ヤストは思わず眉をひそめる。


「え? なんで?」


ノアは少し目を伏せ、ぽつりぽつりと話し始めた。


「……この世界で【不死】の祝福は……珍しいだけじゃない。恐れられてる。」

「そう。もしも不死の人間が、国に反旗を翻したら。もしも暴れたら……誰にも止められない。だから、みんな……私を避ける。怖がる。」


ノアの視線はどこか遠くを見つめていた。


「市場でも……人混みが自然に空く。宿も断られる。仕事も……『不死か……それはちょっと……』って。別に、私が何かしたわけじゃないのに。」

ヤストは何も言えなかった。言葉が見つからなかったというよりも、そんな世界の理不尽さに、どう言葉をかけていいのか、わからなかった。


「だから……人と関わるの、苦手なんだ。……でも、君は……」


ノアは少しだけ、ほんの少しだけ微笑んだ。


「私のこと、最初から知らなかったのもあるんだろうけど……君は、怖がらなかった。」


「……そりゃあ、知らなかったからな。」


ヤストは肩をすくめて、苦笑いを浮かべる。


「でも……知った今も、俺は別に怖くないけど。」かわいいしな


その言葉に、ノアの真紅の瞳がわずかに見開かれる。

「……どうして?」


「だってさ、今までの話を聞いても……お前、別に誰かに危害を加えたわけじゃないだろ? むしろ助けてくれたじゃん。怖がる理由なんかない。」

ヤストは興奮気味に話を続ける。


「しかも不死ってとんでもない能力だろ?。どんな強敵相手にも負けないんだぜ?.......最強の能力だと思うけど。」ヤストはまるで、目の前の少女がヒーローであるかのように言う。


しかしノアは、小さく首を横に振った。

「……無敵、じゃないんだよ。不死は……死なないだけで、痛みはあるし、傷も負う。」


ノアは自分の服の肩口を指差した。そこには、先ほど刺された傷の名残が、まだ赤く残っている。

「回復はする。でも……切られれば痛いし、燃えれば苦しい。首を落とされたって……その瞬間は、怖いし、痛い。...........私はその痛みを受け入れることができなかった。」


ヤストは一瞬だけ真顔になった。

「……そっか。死なないだけ、か。」

少しだけ沈黙が流れる。


次の瞬間にはまた元の調子に戻って、ヤストはにっと笑った。

「それでも、やっぱすげえよ。不死なんて、誰も持ってない力だろ? ……俺なんか、何の祝福もないただの一般人だしな。」


ノアはじっとヤストを見つめた。

その顔には、ほんの少しだけ……いつもと違う、柔らかな色が差している。

「……君、本当に、変わってる。」


「よく言われる。」

ヤストは肩をすくめて、再びニカっと笑った。


「でも、変わってるのはそっちもだよ。普通は、不死の祝福って強力な能力だろ? でも、お前は別に何もしてない。」


ノアはその言葉に、ほんの少し、目を細めて笑った。

心の奥に、じんわりと、今まで感じたことのない暖かさが広がっていく。


「……ありがとう。」


「おう! それより……ほら、俺のスマホ! ちゃんと取り返したんだろ?」

ヤストがノアの手元を指差す。


「あ、うん。これ。」

ノアは、服の裾に挟んでいたスマホをヤストに手渡す。


「よし! 生きる希望が戻ってきた!」

ヤストはスマホを手にして、大げさなくらいガッツポーズをする。


「……そんなに大事?」

ノアが真剣に尋ねる。


「大事も大事、文明の利器だぞ。俺にとっては命より大事かもしれん。1日10時間使うときもある。」

ヤストは胸を張って言うが、次の瞬間ハッと気づく。


「……あ、命より……って、今、不死の人に言うのは失礼だったか?」


ノアは一瞬だけ驚いた顔をしたが、くすりと笑った。

「ふふ……ううん、大丈夫。別に、気にしてない。」


——その笑顔は、今まで見たどんな表情よりも柔らかく、どこか寂しげだった。


ヤストは自分の目的を思い出した。

「そうだ、魔法を覚えたいんだけど、なにか方法は無いか?」


ノアが自分の顎に手を当てながら言う

「うーん.......あんまり魔法使ったこと無いからわかんないんだけど....本を買って覚えたり、人にならったり......かな」


この世界のお金は生憎1銭も持ってないし、人に習う方向でいくか。

「さっきの話聞いたあとに聞くのも何だけどさ、知り合いに魔法教えてくれそうな人とかいる?」


「1人だけ心当たりは.....ある」






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ