第5話 岩木山神社
新寺町の『しかないせんべい本店』を出た後は、一路、岩木山神社を目指します。
ここで気を付けなければいけないのは、コース選択です。普段でしたらナビに従っていけば全く問題ないのですが、この日は桜祭り期間中。弘前公園周辺は、細い路地まで含めて大渋滞が発生します。盲目的にナビに従っていると、普段なら20分ぐらいの道が2時間になることだってあり得るのです。
ですから、ここは、多少遠回りになったとしても、弘前公園から離れるルートをとるのが無難ということになります。
今回のケースでは、岩木山方面へのメインルートである岩木橋経由のコースが明らかにヤバいので、弘前南部広域農道を使うことにしました。百沢街道の松並木が見られないのは残念ですが、状況を考えると仕方ありません。
アップルロードは『農道』と名前は付いていますが、路面状態が良く、信号も少ない全線2車線の道路です。そんなこともあって、区間によっては郊外のバイパスとしての役割も果たしています。また、その名の通り、りんご畑が広がるエリアが多く、今回通った際には、あちこちで白いりんごの花を見かけることができました。秋になると、あちこちにりんごの直売所もできますので、興味のある方は通ってみてください。
なお、私の今回の一番のヒットは『畑のベンツ(※注)』が、公道を走っているシーンを見られたことです。アレを見ると、「青森に来たな!」って思いますね。
※注『スピードスプレーヤー』という農業用車両のことです。知らない方は、ぜひググって映像を確認してください。『畑のベンツ』の異名は伊達じゃありません!!
次の目的地である岩木山神社に到着したのは、14時前でした。
『奥の日光』とも称される岩木山神社の御神体は、背後に聳える津軽富士・岩木山そのものです。そんなこともあって、奥宮は山頂にあるのですが、旧暦の8月1日になると、毎年、津軽の各地から集落の代表が集まり、「五穀豊穣」「家内安全」を祈願して集団登拝する『お山参詣』という年中行事が行われます。
この百沢の岩木山神社は、その登拝の起点になる場所であり、神社の駐車場は、鳥居の間から漢字(金石文)の『山』の形をした岩木山が拝める絶景スポットとなっています。特にこの春の時期は、鎮守の森の『緑』の間から、雪残る岩木山の『白』が『青』空を切り取る様を眺めることができますので、時にオススメです。
弘前公園から撮った写真の通り、弘前市街は晴れていても山頂には雲がかかっていましたので、「今日は山頂を拝めないかも?」と危惧していました。
ところが! ここに来て雲が薄れ始め、山頂が拝めるようになってきたのです。ラッキー!
※微妙に雲は残っていますが、山頂は見えてます。
思いがけず山頂も拝めましたので、心も軽く拝殿に向かいます。
なだらかに続く石畳を進んでいくと、木立の間から、巨大な楼門が見えてきました。臙脂色のこの門をくぐれば、拝殿はすぐそこです。
楼門
さあ! と言うところですが、神社に参拝するからには忘れちゃいけないお清めです。楼門の直前を右に曲がり、手水場へ。
これが岩木山神社の手水場です。
比較物が無いので分かりづらいですが、水を吐き出してる竜の首、人間の頭ぐらいのサイズがあります。それがダバダバと絶え間なく水を拭きだしてるんです。コロナ禍以降、手水場の水を抜いたり、吐水を止めたりする寺社が多い中、この潔さ! 流石は岩木山神社です!!(※山からの天然水なので、そもそも『止めることができない』可能性も……)
当然、手、洗い放題。口、漱ぎ放題。水、飲み放題・汲み放題!
脇にかかってる柄杓も柄の長さが1m20cmぐらい、合(※水を入れるところ)の部分も直径が20cmぐらいありますんで、豪快に行けちゃいます。
今後、岩木山神社をお訪ねの際は、存分に御堪能ください。
※とは言え、周囲に迷惑をかけないように『ほどほど』にお願いします。例えば滝行は(多分)想定されていませんので、直接浴びるのはやめましょう。
禊が済んだところで、楼門へ戻り、中門をくぐって拝殿へ。この3つの建物は、江戸初期の造営で、全て国の重要文化財に指定されています。なお、岩木山神社には、さらに本殿・奥門・瑞垣という3つ重要文化財があります。しかし、これらがあるのは、壁に囲まれた神様の住まう『神域』で、普通、一般人が全容を目にすることはありません。
中門と拝殿
普通の参拝者として無料で拝観できる部分を全て拝み、参拝を終えました。
帰りに気付いたのですが、楼門と中門の間には、まだ雪が残っていました。さすがは青森です。その脇には桜が咲いており、『雪と桜』という、なかなか貴重な光景を目にすることができました。
帰り道、授与所に寄って、御神籤を頂いたところ、めでたくも大吉! やった!!
中吉は、たまに引くことがあったのですが、中身を読むと「失物:出ないでしょう」とか、「本当に『吉』なの!?」って思うようなことも書いてありました。「さて、大吉は?」と思って読んだら、本当に良いことしか書いてない!
今まで『御神籤とは、表題と中身が違うものだ』と思い込んでたので、ちょっと意外でした。ごめんなさい!
なお、私は、御神籤をいただくのは、ほぼ岩木山神社のみなのですが、頂いたものは保管しておく習性(?)があります。折角、滅多に出ない『大吉』が出たので、「古いのと間違えないように、過去の御神籤は柵に結んで帰ろう!」と、バックや財布の中を漁ると、色々な場所から計3本出てきました(笑)
※3本とも『中吉』だったのにも、さらに笑いました。