第4話 予定の変更。温泉とお土産
色々と用事が重なって、投稿が遅れました。
私が駐車場に戻ったのは13時近くでした。
ここに入るまでに使った時間を考えると、この混雑した裏道を抜けるには、最低でも15分はかかりそうです。
当初は、岩木山神社 → 日景温泉 という予定でしたが、今の時間から逆算すると、これを両方達成するのは、かなり厳しい物があります。
そして、二者択一の結果、今回は日景温泉を諦めることにしました。津軽に来てお岩木山を拝まないなど、あり得ませんので、断腸の思い出はありますが致し方ありません。
なお、今回断念した日景温泉は、1889年(明治22年)の開湯で、泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物泉。有効成分が多く、3日入れば諸病が治ると言う意味で「三日一廻りの名湯」とも言われています。秋田杉の美林の中に立つ旅館は情緒たっぷり。そして、総ヒバ造りの浴槽に、源泉掛け流しの湯が注ぎ込まれる大浴場は、それだけで入る人を魅了すること請け合いです。皆さんも近くをお通りの際は、ぜひお立ち寄りください。決して損はさせません。※ただし、外来入浴は15時までに入館する必要がありますので御注意を!
ちょっと話は変わりますが、皆さん、北東北に行く機会があったら、ぜひ温泉に立ち寄ってみてください。特に、山間部を走る道沿いで温泉の看板を見かけたら、聞いたことが無くても、外来入浴で一度立ち寄ってみることをオススメします。
高確率で「なぜ、全国的に知られていないのか?」と首を傾げるような名湯に出会えるでしょう(※しかも、無名なほど安い)。
この辺の山間にある中小の温泉は、基本的に源泉掛け流し、加温無し(※理由『熱すぎる』での加水の可能性はあり)、場合によっては動力揚水すらしておらず、湯船の下から直に湧き出しているような場所すら存在します。中には、『並びの旅館なのに泉質が全く違う』なんてケースも……。
そんな素晴らしい温泉地なんですが、ここ十数年の間に、私の知る限りでもどんどん旅館等が廃業しています。矢立温泉(※元祖)、津刈温泉(※久吉たけのこ温泉)、久吉温泉、光世温泉等々。中でも『津軽湯の沢温泉郷』は、3軒あった旅館(※湯の沢山荘、なりや温泉、秋元温泉)全てで泉質が違うという、真の意味での『湯巡り』が体験できる稀有な場所だったのですが、2008年~2012年の間に、全ての旅館が休業(廃業)してしまい、なんと『温泉郷』自体が消滅してしまいました。
他にも、毎分500リットルという豊富な湧出量を誇り『トド寝』ができることで評判の古遠部温泉も、昨年、経営者の年齢と後継者不在のため廃業の危機に直面しました。幸い一般から後継者を募集し、数か月の休業期間(※外来入浴は実施)を経て、現在は旅館として営業を再開しています。
日景温泉も、同様に2014年に一度創業家が廃業を決断したのですが、現在の経営陣が後を引き継ぎ、2017年に営業を再開したという経緯があります。
ちなみに、古遠部温泉と日景温泉のケースは、はっきり言って『幸運』以外の何者でもありません。確かに、この2軒が他には無い素晴らしい温泉だったのは紛れもない事実です。
しかし、含土類石膏食塩泉という、日本でも希な泉質を誇っていた湯の沢温泉郷の湯の沢山荘も廃業した(※そして、今なお復活していない)ように、中小の温泉宿は、どんなによそ様に誇れるような泉質があったとしても、一切油断はできないのです。「ここ、良いな!」と思った温泉でも、次の年には存在しないかもしれない。まさに一か所一か所が『一期一会』の温泉地なのです。
今回、岩木山神社を優先した私が言うのもなんですが、皆さん、もし、気になった温泉、好きな温泉があるのなら、迷わず入っていくことをオススメいたします。
また語ってしまいました。話を戻します。
変更後の予定はこうなりました。
①弘前公園に向かい桜を堪能する。(達成!)
②『しかないせんべい』本店でお土産を買う。(new!)
③岩木山神社に参拝し、おみくじを引く。
④嶽温泉に入り、『マタギ飯』か『嶽きみ』を食う。(new!)
⑤時間を見て周辺の温泉を攻める。
ちなみに、『周辺の温泉』は、秋田・青森県境付近から、岩木山麓~弘前市郊外へと位置が変更されていることはお断りしておきます。
さて、お土産を買いに行くことにした『しかないせんべい』。青森県内ではメジャーな、お土産お菓子メーカーです。
なお、店名に『せんべい』と名は付いていますが、皆さんが想像するような『米菓』は製造していません。小麦粉を主体とした焼き菓子(※いわゆる『南部せんべい』)を主として生産していたため、店名に『せんべい』の文字が残っているのです。現在でも『こあき』という『せんべい』の主力商品を持ってはいますが、どちらかと言うと、原料である小麦粉を使った甘味の製造が中心となっており、『せんべい色』はさほど濃くはありません。
今回の目当ては『桜の小径』という、桜餡を用いたお菓子を買うことでした。
ここの『小径』シリーズ、控え目に言って絶品です。
『しっとり』を超えて『ねっとり』と言って良いくらいの、柔らかく滑らかな生地で包まれている半生菓子。それを、ひとたび口に入れれば、中から現れる風味高い餡が、ミルキーな生地と口の中で渾然一体となって溶けていく。
もう10年以上前になってしまいますが、最初に発売された『抹茶の小径』を初めて口にしたときの衝撃は、今でも忘れられません。
残念ながら『青森=抹茶』のイメージは薄かったのでしょう(※私自身「『せんべい店』が抹茶!?」というチャレンジングな意図が無ければ買うつもりはありませんでした)。いつしか元祖である『抹茶の小径』は定番商品から消え、『桜の小径』も春の季節限定商品となってしまいました。
先ほど述べた『こあき』や、ざく切りのリンゴ餡をしっとりしたせんべい生地で包んで焼いた『らぷる』という主力商品は、るるぶやマップルなどの旅行ガイドに取り上げられることも多く、青森県内の駅やデパートの売店のみならず、通販でも普通に入手することが可能です。
しかし『青森=りんご』のイメージを完全に外した『小径』シリーズは、そうはいきません。置いていないケースも多く、例え売っていたとしても、大概が『らぷる』などとの抱き合わせ販売。『小径』シリーズだけがほしい私としては、いつも歯がゆい思いをしてきました。
そんな歯がゆい思いを払拭できる絶好の機会がやってきたのです。日景温泉に行けずに下がったテンションも、幾分か回復させることができました。
さて、普段なら5分で着くような距離を、15分以上かけて移動し、到着しました『しかないせんべい』本店。
県内あちこちにお菓子を卸している会社です。どれだけ大きいお店かと思ったら、新しく小洒落た建物ではありますが、人が15人入ったら身動きが難しくなるような、こぢんまりとした店構えでした。
残念ながら『抹茶の小径』は販売していませんでしたが、『桜の小径』はたくさんありましたので、職場の人数分と、この後すぐに自分が食べる分を購入。また、これだけだと『青森』を認識してもらえない可能性があるので、併せて『らぷる』も購入し、店を出たのでした。
「車中で数年ぶりに食べる『桜の小径』はやっぱり最高だった」とだけ、お伝えしておきます。
ちなみに、これを読んで食べたくなった方、口に入れるときは、裏返して上部の曲面が舌に当たるようにすることをオススメします。そうすることで、特徴である滑らかな食感をより強く感じることができることでしょう。
ついでですので、その他の筆者オススメ『津軽のお土産お菓子』を紹介しておきます。
これらを選んでおけば、「青森・津軽に行ってきた」ってすぐに理解してもらえる上、貰った人が味覚的にも喜んでくれるのではないかと。
前述の『らぷる』も含めて、新青森駅1Fの『あおもり旬味館』で入手できますし、常温でそれなりに日持ちもしますんで、何を買おうか迷ってしまう方や、お土産は帰る直前に買うという方は、参考になさってください。
①『薄紅百顆』:翁屋
※あの『美味し○ぼ』でも紹介されたりんごグラッセ。材料はりんご(※紅玉)と砂糖のみ。上品な甘みとほのかな酸味が絶品です。より高級な『薄紅』も存在するのですが、こちらはりんごを輪切りにしているせいで、芯の部分にある固い皮(?)が残っていて、歯に挟まることがあります。過去に被害を受けた者としては、あまりオススメできません。
②『パティシエのりんごスティック』:ラグノオささき
※「青森のおみやげお菓子と言えば『ラグノオ』を選んでおけば間違いが無い」というぐらい、手広く、かつ、ポイントを押さえたお菓子を生産しています。こちらの商品はスティックタイプのアップルパイで、見た目からも贈った相手に喜ばれること請け合いです。当然、味も納得の完成度。流石です。ちなみにラグノオには『気になるりんご』というりんごを丸ごとパイ生地で包んだ商品もあります。インパクトは間違いなく上ですが、切り分けるのが面倒ですので選外といたしました。でも、自宅用にはこっちの方が良いかも!?
③『いのち』:ラグノオささき
※過去に放送された朝ドラから名前を貰ったロングセラー商品です。イメージは『萩の月』。ただし、萩の月ほど濃厚ではなく、しっとりもしていません。色々な味が出されていますが、最初はやはり、定番のりんご味をオススメします。こちら、封を切った瞬間に、「ふわっ」と、芳しいりんごの香りが立つんです。『香りで津軽を感じさせる商品』と言ってよいでしょう。