第2話 到着までの紆余曲折
素早く新青森駅を出て、高架下の駅レンタカー営業所に着いたのは9時50分過ぎでした。この時点で客は1人もいませんでしたので、どうやらポールポジションを取れたようです。
「なにを慌ててんだ?」と思う方もいらっしゃるでしょうが、実はコレが馬鹿にできない時短に繋がります。実は、田舎のレンタカー営業所って、窓口そのものの数が少ないんです。ですから、時間ぴったりに行っても(※予約済みでも!)、窓口に空きがないせいで、10分程度待たされてしまうことは決して珍しいことではありません。
特に、田舎は列車が30分に1本とかしか来ませんから、ただでさえ電車の到着時間には客が集中するのに、今日は弘前公園の桜祭り目当てで、より客が増えているはずです。
時間が経てば経つほど弘前周辺にも客が増えるでしょうから、ここでの出遅れが、最終的に30分とか1時間の遅れなったとしても、私は全く不思議に思いません。皆さんも有名観光地目当てでレンタカーを借りるときには、速やかな窓口への移動に御注意を!
なお、だいたいのレンタカーは、時間より多少早く手続きを始めても追加料金無しに貸してくれます。また、10分早く手続きをしても「10分早く返せ!」とは言われ(たことはあり)ませんので、予定時刻を待って、人の流れに乗り遅れるくらいなら、早く着いて先に手続きを進めてしまいましょう。
そんなわけで、一番に受付を済ませた私は、10時前に新青森を発つことができました。予定の予約時間が10時でしたから、上々のスタートを切れたと言って良いでしょう。
なお、今日の予定は、こんな感じでした。
①弘前公園に向かい桜を堪能する。
②岩木山神社に参拝し、おみくじを引く。
③南下して県境の矢立峠を越え、日景温泉に入る。
④時間を見て周辺の温泉も入りたいな!
自分でも、かなりの攻めた予定だと思います。これが上手く行けば、復活した古遠部温泉とか、超久しぶりに島田温泉とかにもチャレンジできるかも。この時は、そんなことを考えていました。
さて、これから弘前に向かうわけですが、青森から弘前へのルートはいくつかあります。その中でもメインとなるのは国道7号線と東北自動車道でしょう。
このうち国道7号は走行距離が短いですが、途中、青森市内の鶴ヶ坂から浪岡辺りまで片側1車線のところがあり、渋滞が起きがちです。東北自動車道の方は遠回りになりますし、お金もかかるのですが、通常は、まず混むことはあり得ません。ですから、急ぎの場合、普通なら東北道一択なのですが、今は桜祭り期間。黒石IC出口で混むかもしれませんし、弘前の市街地に入る前でも混むかもしれません。どうせ混むなら安い方が良いか! と、7号線ルートに賭けることにしました。
弘前までは、順調なら1時間程度です。普段から混みがちな鶴ヶ坂辺りからは、今回もお約束の如く断続的に渋滞していました。しかし、その渋滞も藤崎町辺りで解消され、弘前市内に入れたのは11時頃。約1時間での到着ですから、ハイシーズンの休日としては満足のいく結果と言って良いでしょう。
さらに、新青森を出た頃は、時折小雨のぱらつくようなあいにくの天候でしたが、こちらも徐々に晴れ間が見えるようになり、津軽のシンボル岩木山も、そのほとんどの姿を見せてくれるようになっていました。
そして弘前市に入ると国道7号線に沿って『つかの桜街道』という桜並木が現れました。その満開の中を走っていると、嫌が応にも期待が高まっていきます。
ただ、気になるのは、先程までの断続渋滞では全くの無反応だったナビが、盛んに渋滞の警告を鳴らすようになってきたこと。間違いなくこの先にビッグなヤツがありそうです。そして、ナビを広域にすると……。見つけました! 岩木川沿いに数百メートルにわたって赤い渋滞マークが出ています。
分かっているのに渋滞に突っ込むほど馬鹿な真似はありません。信号待ちの際にナビの示す渋滞エリアをエスケープするルートを発見した私は、見事渋滞マークをエスケープして、岩木川の堤防上を走る当初の想定ルートに戻る事に成功したのです。
……そして、そこでナビが示さない未知なる渋滞に突っ込んだのでした(泣)
渋滞してるって分かってたら、もっと違う道もあったのに!! ホ○ダのナビめ!!!!
ちなみに、その渋滞、『ちょっと』したレベル物ではありませんでした。目的地の市民体育館までは1kmちょっと。ところが、10分経っても100mも進みません。しかも車がいるのが堤防上のため、別の道に逃げることもできません。
そんな責め苦を30分ほど受けた後、やっと堤防から下りる路地を発見し、私は未知の住宅街に逃げ込んだのです。
所々農地が広がる住宅街は流石にスムーズに走れましたが、弘前公園まで300mぐらいの位置まで近づくと、やはり混雑してきました。それでも堤防上ほど酷い有様ではありませんでした。
今、思うに、あの堤防上の渋滞は、河川敷の無料駐車場を目指す車の列だったのではないでしょうか? 特に私が通った北側のルートは、右折しないと無料駐車場に入れませんので、より渋滞が酷くなっていたのではないかと。正直なところ『無料』の看板のパワーを甘く見てました。私の完敗です。
その後、『食事をすれば無料』というそば屋の駐車場を発見し、車を停めたのは、結局11時50分のことでした。
ちょうどお昼時、「腹ごしらえもできる!」と喜び勇んで飛び込んだそば屋の門前には、『本日貸切』の看板が!!
でも、この時、もう私は限界でした。トイレを借りなければ!!
そして、駐車料金の1,000円と引き換えに、私は、心と体の安寧を得たのです。
でも、この1,000円、決して高くないです。あ、これはトイレを貸してもらえたから誉めてるわけじゃないですよ。
このおそば屋さん、『野の庵』って言うんですが、公園の西堀まで数歩の位置にあります。そして、西堀に架かる『春陽橋』までも10mぐらいなんです。まさに公園を散策する拠点としてぴったり!
来年も、もし来ることになったら、あらかじめ野の庵で昼食の予約を取ってから訪問しよう。今はこう思っています。
お店の目の前にある桜と西堀 ※左手にちょっとだけ春陽橋も見えてます。
やっと次回は城内に突入します。