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第23章『オレが見たかった笑顔』

文化祭まであと2週間に迫った金曜日。

再び教室で練習できるようになった涼介達は、ダンスのレベルが上がってきた。

そこへ、1件のLINEが涼介に届く。

送り主はなんと、約1ヶ月学校を休んでいた静香だった─。


どうなる第24話!

文化祭まで、残り2週間に迫った週末だった。

鈴木との和解(という名の一時休戦)を果たし、再び教室で練習できるようになった。


オレ達のダンスは鈴木の指導の下、かなり仕上がってきた。


日頃からダンス動画を投稿している、プロ志望の鈴木の教えは的確だった。

鈴木は、以前とは比べ物にならないぐらい穏やかになり、嘲ることも怒鳴ることもしなくなった。


「よし、このままさらにキレを良くすれば、本番は大成功に間違いない」

「ホントに?あともう少しね、みんな頑張ろ!」


グループメンバーが奮起する。


突然、オレのスマホから通知音が鳴った。


画面を開いた途端、オレは心が踊った。


「佐久間さん!!」

「え、なになに?何事?」


佐久間さんが駆け寄ってきた。


「これ…」


なんと、静香からのLINEだった。

実に1ヶ月ぶりだった。


毎日LINEありがとう

迷惑掛けてごめんね

今から学校行くから待ってて


「うそっ!!静香来るの!?」

「マジか!?」


佐久間さんと鈴木は目を丸くした。

佐久間さんの声を聞いたメンバーが、次々に騒ぎ出した。


「ハイみんな静かに!!静香が来るまで、もう何回かやるよ!!」


辛うじて冷静さを取り戻した佐久間さんは、手を叩きながらメンバーをまとめ直した。


「じゃあいくよ。鈴木、音楽スタート!」

「よっしゃ!」


鈴木はラジカセのスイッチを押し、音楽を流した。




静香が来たのは、LINEが来て20分後の事だった。


「遅くなって…すみません…」


恐る恐る入ってきた静香は、すぐさまオレを見つけた。


静香と目が合った。


「静香…」

「涼…くん…」


教室がシンと静まり返る。


いつの間にかクラスメートの視線は、オレ達2人に注がれていた。


「静香!!」

「涼くん!!」


言うが早いか、オレと静香は駆け出し、抱き合った。


「ずっと待ってた…いつか来るって信じてた…良かった…」

「ごめんね、心配掛けて…ホントにごめんね…」


嬉しすぎて涙が止まらなかった。

お互い離さず、ただただ泣き続けた。


「静香」


佐久間さんと鈴木がやってきた。


「おかえり、静香」

「…ただいま、ひろみ」


静香はオレから離れると、今度は佐久間さんと抱き合った。


「もう大丈夫?」

「うん」

「よしよし」


佐久間さんは静香の背中をポンポン叩いた。


「滝…本当にすまなかった」


鈴木は静香に土下座した。


「お前も休んだと聞いて、自分がどれほど酷い事をしたか、ようやっと気づいた。俺はお前に何て事を…」

「いいわよ、もう」


静香は意に介さず言った。


「練習は兄貴に付き合ってもらったから。あと、オープニングパフォーマンスがあるって聞いたんだけど…」

「練習はしたのか?」

「うん。急だったから、あまり上手くできないかもだけど」

「なら俺が教え─」

「いいや、オレが教える」


オレは鈴木と静香の間に割り込んだ。


「静香と約束したんだ。お前はみんなの指導に当たれ」

「…分かった」


鈴木は立ち上がり、オレ達に背を向けてメンバーのもとへ戻った。


「ちょっと2人で踊ってみる?」


佐久間さんは教壇を指差しながら、オレと静香に問いかけた。


「はい!」

「やってみる」


久々に静香の隣に立つ。

心臓がバクバク言って、上手く踊れるか不安だった。


「緊張してる?」

「ああ」

「大丈夫。あたしは大丈夫だからさ。さあ、いこう!」


佐久間さんがラジカセの再生ボタンを押した。

音楽が始まった─。




踊り終わると、みんな口をポカンと開けていた。


「…シンクロ率、1000%」

「いやエヴァじゃないから」

「いてっ」


佐久間さんは、ゲンドウポーズを決める鈴木にゲンコツした。


「にしてもすごいわ…合わせるの今日が初めてだったんでしょ?」

「うん」

「2人とも息ピッタリ。さすがカップル…」

「オレもビックリッスよ」


まばらな拍手が、一気に沸いた。


「すっごい!!これなら100%、いや、もう評価の必要無いわ!!」

「これならいけるぞ!!よくやった2人とも!!」


佐久間さんも鈴木も、夢中で拍手した。


「よーし、じゃあ3曲続けてみんなでやろう!!」

「っしゃあ!!」


オレは静香を振り返った。


静香はオレの視線に気づくと、笑いかけた。


一瞬見えた静香の瞳が、キラキラしていた。


葛藤も迷いもない、満面の笑顔だった。




久々に静香と2人で帰り道を歩いた。

静香は夢中で、1ヶ月間の出来事を話した。


「…でね、兄貴に『練習する』って言ったら、『任せろ。これでもオレも、高校時代によく踊ってたんだ』って言って、昨日まで教えてくれたの」


今までにないぐらい、静香はイキイキとしていた。

オレはそれが嬉しかった。

思わず笑みがこぼれた。


「どうしたの?」

「いや…静香がまた笑顔になれて、良かったって思って…」

「ありがとね。毎日LINE送ってくれて」


静香はオレの肩を抱いた。


「菜月と大西くんにも感謝しなきゃ。あの2人もLINEくれたの」

「『オレ達で毎日送ろう』って決めたんだ」

「そっか…大きな借りができちゃったなぁ」

「ちげーよ」


静香は首を傾げた。


「大きな借りがあったのはオレ達だよ。静香がいてくれたから、オレも修吾も、そして来島さんも、一歩踏み出せたんだ。

オレは静香の為に体張れるようになったし、修吾は恋に目覚めて、来島さんと付き合えた。来島さんは修吾にまた出会えて、しかも告白してもらえた。全部静香のお陰なんだよ。

だから今度はオレ達の手で、静香が一歩踏み出せるように計画したんだよ。これはいわゆる、静香への恩返しだ」

「涼くん…」

「なぁ静香」


オレは言葉を続けた。


「文化祭終わったら、デートしようよ。遊園地や動物園、水族館。勿論街中でもいいから、2人でゆっくり楽しもうぜ」

「うん…ありがと。楽しみにしてる」


静香は頬を赤く染めた。

それ以上に、また嬉しそうな笑顔をしていた。




続く

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