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第15章『やっべ、忘れてた』

誕生日と聞いて印象に残っているのは、今から6年前に長期の出張先で、元請けの親方から焼肉を奢って頂いたことです。


こんな役立たずでゴミクズみたいな下請けのガキでも、ちゃんと祝ってくれる親方が今でも忘れられません。


さらに上の元請けの番頭からは、なんとゴディバの菓子箱を頂きました。

寮の一室で、一粒一粒感謝と共に噛み締めたことを覚えてます。


お酒に関してですが、かなり弱いです。

中学の同窓会で、中ジョッキ4杯ほどイッキ飲みしてトイレに駆け込んだと思います。

今ならスーパードライのレギュラー缶1本ですぐ酔っ払います笑


ちなみに8月19日は、私の誕生日です。

元々モデルが私自身でもあるので、涼介の誕生日も同じにしました。


そんな作者とは何もかも正反対な主人公の誕生日回、第15話をどうぞ!

8月19日。


久々に早朝に目覚めたオレは、とりあえずゲームを起動した。


いつもの狩りゲーをオンラインで始める。

早朝だからか、あまり枠を開いてる人はいなかった。


「マスターランク26…よし、今朝はこの人だな」


高難度ルーキーの枠にお邪魔し、クエ同行を申し出る。

相手は快くOKしてくれた。


序盤からふざける訳にもいかないので、とりあえず得意の大剣で行くことにした。




ルーキーの割には、動きに無駄がなかった。

回避行動を最小限に抑えつつ、モンスターの頭に乗ってスラッシュアックスの強烈な一撃を叩き込んでいく。


「やるな、この人」


モンスターがコケたところで、オレは素早く真溜め斬りをぶつけた。


ものの10分足らずでモンスターは討伐できた。


「おっ、炉心殼来た」


軽くガッツポーズをし、素材をアイテムボックスに預けると、集会所に戻った。


次のクエストを待っていると、来島さんがログインして来た。


ボイスチャットのリクエストを承認する。


『おはよー』

「おざーす」


寝起きなのか、まだ少し眠そうな声だった。


「今起きました?」

『んー…そんなとこ』


来島さんは大きな欠伸をした。


『徹夜?』

「いや、さっき起きました」

『珍しいわね。あ、次何行くの?』

「激昂ラージャンッス」

『じゃあライボで行くわ』

「へーい」


来島さんは装備を整えると、クエストに参加した。


『ア●ロ、行っきまーす』

「いやガン●ムかよ」




まぁなんと早いこと。

二大廃人ゲーマーが加わることで、クエストはものの5分程度で終わった。


『この人の立ち回り、けっこう上手いね』

「オレも思ったッス。サブ垢ですかね」

『ワンチャンソロで行けそうな気もするけど…もう少し手伝ってみる?』

「そうしますか」




かれこれ1時間はプレイしただろうか、枠主は徹夜だったのか、


『そろそろ眠くなったので落ちますね』

『ご協力ありがとうございました』


とチャット文を残してログアウトした。


「オレ達はどうします?」

『私は全然いいよ。ただ、あと1時間ぐらいしかできないけど』

「何か用事あるんスか?」

『そんなとこ。あ、修吾と静香もだから。ごめんね、私が落ちたら、あとはソロで頑張って』

「うーす」


マジか、とオレは思いながら、適当なクエストを受注した。




昼過ぎからは、中学時代のツレが3人ログインして来た。


『藤田!おめでとう!!』

「え?…あっ、そっか」


中原(なかはら)に突然言われて思い出した。

オレはすっかり忘れていた。

今日はオレの誕生日だった。


『何だよ藤田!お前誕生日忘れてたのかよ!』

「やっべ、忘れてた。だからか…」

『ん?何かあったのか?』


赤澤(あかざわ)が訊いてきた。


「修吾達が『用事がある』つって、今日いねーんだよ。そーゆー事か」

『誕生日祝いだな絶対。いいじゃん、今年は彼女や来島にも祝ってもらえるし。楽しみだな』

「まあな。やっべ、緊張してきた」

『頼むぞ。お前いねーと、狩りが進まねーんだし』

「ソロで頑張れよ」


オレはケラケラ笑うと、歴戦個体5体同時狩猟のクエストを貼った。


『『『鬼畜か!!』』』


中原、赤澤、難波(なんば)の3人が同時につっこんだ。




玄関のチャイムがなったのは、夕方5時過ぎだった。


「悪ぃ、落ちるわ。ありがとな」

『『『おつ!!』』』


3人とのボイスチャットを切ると、オレはいそいそと玄関へ下りた。


「へーい、どちら様…」


ドアを開けた直後、オレに向かって幾つもの破裂音が響いた。


「「「「誕生日、おめでとう!!」」」」


静香、修吾、来島さん、優人さんの4人が、沢山のクラッカーをオレに向けて言った。


「いや、ビビるわ!!」


腰が抜けたオレは、尻もちをついてシャウトした。


「涼くーーーーーん!!ごめんね、今日なかなか会えなくて。いーーーーーっぱいお祝いしてあげるね!」


静香は思い切り抱き締め、頭をワシャワシャと撫でた。


「はいはい、イチャつくのは部屋入ってから。お邪魔しまーす」

「あーん、菜月の意地悪ー」


来島さんは片手で静香の襟元をむんずと掴み、華奢な体とは思えない力でひっぺがした。




晩飯は優人さんがテイクアウトした、ピザやフライドチキンなどをテーブルいっぱいに広げ、みんなで頬張った。


「ねえねえ、涼くん。プレゼント買ってきたの」

「マジ?ありがと」

「私達3人で、藤田くんに似合いそうなの選んだのよ」

「受け取れ、涼介」


修吾が差し出したのは、大きな包み紙だった。

ビリビリと破いて開けると、途端にオレの心が踊った。

最新式のゲーミングヘッドホンだった。


「おっ、すげ!そろそろ買い替えようと思ったんだよ、ありがと!」

「良かった。やっぱゲーマーの涼くんには必須だもんね!」


静香はニッコリ笑った。


「涼介、俺からのプレゼントだ」


優人さんが差し出したのは、紙コップに注がれたビールだった。


「ちょっ、兄貴!涼くんはまだ未成年だよ!!」

「何やってるんですかお兄さん!」

「ンだよ真面目ぶってよォ」


優人さんが口を尖らす。


「いただきまーす」

「えっ!?り、涼くん!?」

「ちょっ、飲んじゃダメ!!」

「お前バカか!!」


オレは躊躇いなく紙コップを受け取り、一気に飲み干した。

麦の苦味と炭酸の刺激が喉を突き抜けた。


「おー、いい飲みっぷり」

「もう一杯いいスか?」

「「「ダメ!!」」」


3人が口を揃えて叫んだ。


「よーし、ハイボールいってみるか」

「なんでもどうぞ」

「涼くん、もうその辺にしときなって!」


ハラハラする静香に構わず、オレはハイボール、ワイン、挙句の果てにはウィスキーまで次々に口に運んだ。




30分後。


「なんれ…なんれお前、顔変わんねーら…」


頭はフワフワするものの、なぜかオレは平気だった。

対照的に優人さんは、真っ赤な顔で呂律が回っていなかった。


「涼くん…強すぎ…」

「どんな胃袋しているんだお前…」

「もしかして…ザル?」

「かもな」


そう言ってオレは、またウィスキーを一口煽った。

3人は青ざめて、信じられないとばかりにオレを見ていた。


オレはどうやら、相当酒に強いらしい。



続く

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