序章『あーあ、またか』
pixivで投稿していた作品をこちらでも投稿することにしました。
素人の書いた作品ですが、どうぞお付き合い下さい。
「ごめんなさい。私、他に好きな人がいるの…」
またフラれた。
コレで何人目だよ通算。
あ、6人か…。
『オレ』こと藤田涼介は、卒業式後の校舎裏にて傷心中だった。
「話は終わったか?」
物陰から現れたのは、10年以上の付き合いとなる腐れ縁の大西修吾だ。
「終わったよ…2つの意味でな」
足早に去っていく先ほどの女子生徒を見送りながら、オレはぼやいた。
「だから言っただろう、『自分の話しかしないヤツが、異性と付き合えると思うな』と」
「分かってるけどさ…でも─」
「でもじゃない」
修吾はピシャリと言った。
「そんなに自己アピールが大事なのか?少しは相手に興味を持て」
「っせーなぁ…」
センチメンタルな気分が、修吾の説教で台無しになった。
「高校で、今度こそ彼女作れりゃあな…」
「今のお前じゃ無理だ」
「うっせ」
俺は吐き捨てるように言うと、木の根元に置いていたカバンを肩に引っ掛けた。
「帰ろーぜ」
「まったく…」
呆れつつも、修吾は俺に続いた。
修吾とオレは、2軒隣り同士の幼なじみという関係だった。
まだ幼稚園に通う前に知り合い、以来ずっと共に行動してきた。
小学校の高学年時代からは、恋愛のアドバイスをしてもらっていた。
修吾は往年のキ〇タクのような豊かな髪に、端正な顔立ち。でもって高身長。
頭もよく、運動能力も高い。それでいて、決して驕らず、誰に対しても丁寧に接する。
絵に書いたようなモテ男だった。
対してオレは、ボサボサのツンツンヘアに童顔。それに比例して低身長。
修吾とは実に35センチもの差だ。
インドア派でゲーマーな為、運動能力はそんなに高くなく、勉強も中の下程度。
モテる要素が1つも無かった。
実際、修吾はモテていた。
中学時代には、ファンクラブまでできてたぐらいだ。
でも、修吾はそういうのを快く思わなかった。
おまけに、今までオレが告白した回数の5倍は告白されたらしいが、全部断った。
理由を問い詰めると、
「涼介に妬まれたくないし、むしろ涼介の不器用さの方が見ていられないから」
と修吾は言っていた。
今でも半信半疑だが、実際オレが誰に惚れても、相談する度献身的にアドバイスをしてくれた。
まぁ、オレはそのアドバイスをことごとく台無しにしちゃったけどな。
4月から、俺達はいよいよ高校生。
どんな出会いが待ってるのか、ワクワクしてきた。
続く