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Mobius  作者: zろu
序異←戦現英縁剣魔神廻
6/6

糸吉t u紘→○City

 第一回「mobius設定資料集」収録後

 

 鍵「ふー疲れた…」ガタ…

 

 ST「……」

 

 鍵「一体なんだったんですか?あの雑の企画は?百歩譲って意図は分かりますが所々の謎のSEとかあれ要りました?どう思いますか?スタッフさん?」

 

 ST 「………」(汗)

 

 鍵「今後もこれ続くなら構成を細かく調整していく必要がありますね、また仕事が増える…」

 

 ST ペラッ(カンペ)

 

 鍵「おや?スタッフさんからカンペが…、なになに?「まだ収録続いてます」!?なんで!?!?いやいや今さっきzろuさんが休憩だって言って出て行きましたけど!?」

 

 ST ペラッ(カンペめくる)

 

 鍵「えーっと…「zろuさんは諸用で帰えられました」!?そんな勝手な!」

 

 ST(汗)ペラッ(もう一枚めくる)

 

 鍵「…「zろuさんからお手紙預かってるんで今回はキーさんのみでオープニングトークお願いします」ですって!?」バンッ(台パン)

 

 ST ビクッ!?

 

 鍵「…それで、手紙は?」

 

 ST スッ…(プルプル)

 

 鍵 ペラッ「………」

 

 zろu(みなさんこんにちはじろうです!串カツ食べて来るんで今回のオープニングトークは鍵ちゃんと収録スタッフでお送りします。異世界で初めて出会った女の子「結」、彼女が暮らす和領にある街「和の街」に向かう事になった紘、そこには様々な個性豊かな人々が暮らしていた。果たしてそこには異世界脱出への手がかりはあるのか?それじゃあエンディングトークくらいには戻るんで鍵ちゃん締めよろしくねそれじゃあーー!!!)

 

 鍵「……」

 

 ST ガタガタ (涙)ペラッ(カンペ)

 

 鍵「……」バンッ!!!(台パン)

 

 ST ビクン!!!(滝涙震)

 

 鍵「…そ、それではエンディングトークでお会いしましょう…、本編も楽しんで行ってにゃんにゃん!」(キャピ)プルプル

 

 STでもやるんだ……ペラ(カンペ)

 

「OKです頂きました」

 

 鍵「スタッフさん、ちょっとお時間よろしいですか?」(鬼の形相)

 

 ST「ッ……!!!」(滝涙)ガタガタガタガタガタガタガタガタ…

 和領、森

 

か、何というかすごくシンプルで分かりやすいな」

 

「ここはゼノビア王国の東に位置している和領わりょうという所で、私の住んでいる街を皆さんはまちと呼んでいます。私は和を出た事はありませんが、和の街は王都や他の地域の街とは全く違う独自の文化があるらしいですよ」

 

「へー、王国…領地…(現代日本ではほぼ聞かないワードだ、いよいよ異世界感が出て来たな、となれば和の次の目的地は王都という事になるか?)」

 

 そんな事を考えながら紘も立ち上がる。

 

「よし、まぁある程度は分かった。よろしく頼むよ結!」

 

「はい!では行きましょう!って言いたい所なのですが…」

 

 結はそのまま元気よく街に向けて歩き出した。

 

(この後に及んでも具体的にやるべき事は皆目見当も付かないが、とりあえずこれで人里には降りれる。しばらくはこの世界のルールや文化について調べることが優先だな、結には日本語が通じる様だが国だ領地だ言ってる以上言葉も違う可能性がある。やる事は山積みだ…)

 

 ピタッ!

 

「?、どうした?」

 

 意気揚々と出発しようとした矢先、結が急に立ち止まった。

 

「そ、そのですね…街に行くに当たって相談したい事が…」

 

「相談?」

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 和の街

 

「はー!やっと着いた…」

 

 あれから和領の深い森の中を歩き続ける事丸2日、結が辿ってきた狩猟小屋で夜を明かしながらついに和の街に到着した。

 

「とんでもない距離だったな…、あんな道をひたすら歩き続けてあんなところまで山菜取りに行ってたのか!?」

 

「はい!人が簡単に足を踏み入れる事が出来ない場所にこそ本当に美味しい食材があるんです!それを思えばこれくらいへっちゃらです!」

 

 元気はつらつと自慢げに胸を張って語る結の様子からは一切の疲れも感じられなかった。

 

「いやいや限度ってもんがあるでしょ?山菜くらいもっと近くに生えてるんじゃないの?」

 

「まぁ本当を言うとその通りです…、ですが前にも言った通りこの森は凶暴な動物や魔獣がいる危険な森です。さっき歩いていた道には猟師たちが仕掛けた罠があって私もその場所は全て分かってるんです最悪それらに出くわしても対処ができます、ですのでその道から少しでも外れるのは物凄く危険なんです!」

 

「なるほどな……って言いたい所だけどいくら店で出す食材のためとは言え君みたいな子がそんな危険な場所に1人で行くなんてやっぱりオレはダメだと思うよ?」

 

「もー!分かりましたってぇ!無事に帰って来れたから良いじゃないですか!それより早くいきましょう!おばさんたちが心配しているはずなので!」

 

「あ、あぁ…」

 

 駆け出していく結を追って2人歩き出した紘。

 あまりを見回すと多くの人々が行き交い、目の前の関所には列が出来ていた。

 和の街はその名前の通り日本の江戸時代を思わせる古き良き街並みで活気もあるいい街だ。

 自然に囲まれたこの街は、森に住む魔族達や王国から来る冒険者達の憩いの街として食事処や宿屋、武器屋等が多く立ち並び、多くの人々が行き交う場所だと言うが。

 

「魔人族の人達は見当たらないなぁ…」

 

 道中ゆいに聞いた話ではこの世界には人族の他に魔族と言う者達が存在しているらしい。

 魔族は人族以外の種族の総称で、その中には何十種類もの種族が存在しているのだと言う。

 身内同士でのお遊びとは言えこの手のゲームのストーリーを作っていた紘はその魔人族見たさに内心ワクワクしながらやって来たが、残念ながら紘の目に映ったのは人間達だけだった。

 

「こほん…」

 

 すると毛布を被った結が紘の横に立つとこれでもかと喉を絞って…。

 

「今"は"国"の"情"勢が"厳し"く"て"の"ぅ、![#「!」は縦中横]魔"人"さ"ん"達"は"今"は"人"と"会"わ"ん"よ"う"に"よゴホッ!ゴホッ!」

 

「お〜い、大丈夫か…?」

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 1時間程前、和領、森

 

「バレないように帰りたい?」

 

「はい、協力してくれませんか?」

 

 結が言うには、自身の育ての親であるおばさんに黙ってここの森にやって来たためにこのまま帰ればしこたま怒られるとの事。

 多くの人が行き交う街とは言えそこに住んでいる人口自体は少ない和の街では噂話等あっという間に流れる為、怒られたく無い結は何とかして知り合いの誰にも見つかる事なく家に戻らなければならないのだと言う。

 

「黙って抜け出して命の危険もある森の中で1週間近く山菜探し回ってたとかそりゃ怒るよ、そんな回りくどい事せずに素直にちゃんと謝ったらいいんじゃ無いのか?」

 

「いやです」

 

「オレは結のおかげでこうして無事に街へ行けるんだ、怒られるならオレも一緒に怒られてやるから普通に…」

 

「紘さんはおばさんの恐ろしさを分からないからそんなことが言えるんです!おばさんのゲンコツは痛いですよ〜?頭皮の地形が変わってしまうくらい痛いんです!!」

 

「多分おっきなたんこぶが出来るんだろうね、まぁでも森です死ぬよりはマシなんじゃないかな?」

 

 結は駄々っ子の様に両手をブンブン振り回してながら必死に紘に訴えかける。

 

「とーにーかーくー!そんな事になったらお店でお客さんにいじられるの恥ずかしいんです!死活問題なんですー!」

 

「あー分かった分かった…。その代わり力は貸すけど失敗しても責任取らないからな?」

 

「やったー!!」

 

 結が考えた作戦はこうだ。

 

 まず結が持参した毛布をかぶって顔と服を隠し、洞窟の物置にあった木の棒を杖代わりにして老婆に変装する。

 その後紘と2人で行商人のふりをして街へ侵入、人気のない所で分かれ「頼まれた山菜を届けに来た」と言う体で結の店へ向かい、裏口から帰って来た結が何食わぬ顔で出迎えると言うシナリオだ。

 

「どうですか?私の考えた完璧な作戦です!」

 

「結は恩人だから君が言うなら当然付き合うけど、これだけは言っておくよ…」

 

「はい!なんでしょう?」

 

 結はそう言いながら両手を腰に当てて自信満々に胸を張って見せた。

 

「絶対無理だと思うよ」

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 現在、和の街、露店街

 

 露店街を歩くこと5分と少し、結がふと紘に耳打ちをした。

 

(すみません、ちょっとそこの八百屋さんに寄らせて下さい)

 

(えー何で…?)

 

(手ぶらで帰るのは流石に怪しまれますので市場で野菜を買っていたと言う事実を偽装するんです)

 

(…バレるなよ?)

 

(任せてください!)

 

 その自信はどこから湧くのか結は意気揚々と杖を付を突きながら八百屋の出店に歩いて行った。

 

「へいらっしゃい!今日は根菜が安いよ!」

 

 紘も結に続いて出店の前にやってくると、気の良さそうな男性の店主が元気に挨拶をしてくれた。

 

「へー、人参、大根、牛蒡…ほうれん草に葱、蓮根…、どれも美味そうだ」

 

「お!にいちゃん変わったカッコしてるね、冒険者かい?」

 

 八百屋の野菜を眺めていた紘に、店主が紘の姿を見るなり話しかけて来た。

 

「いえ、自分は旅人をやってる紘っていいます」

 

「こりゃご丁寧に、なつだ!よかっらなんか買って行きなよ、いいの揃ってるし安くしとくよ?」

 

 紘は怪しまれない様平静を装いながら口から出まかせをならべる。

  

「いや〜申し訳ない、この間盗賊に襲われて命からがら逃げ出したんですが金も荷物も取られて文無しなんすよ〜。そこである人からコイツを取って来てくれって頼まれましてね。「蕎麦処結そばどころゆい」って店知りません?教えてくれたら貰った報酬で夏さんとこの野菜買いにきますよ」

 

 紘は親指で背負ってる山菜が入ったカゴを指差しながら尋ねた。

 

「結ちゃんねぇ〜、そりゃ災難だったなぁ、兄ちゃんたくましいねぇ!」

 

 つい異世界の勝手なイメージで存在するかどうかも分からない盗賊を出しだがどうやら怪しまれてない様だ。

 

「蕎麦処結ねぇ…、それならお前さんの連れに聞いて見たらいいよ!な、結ちゃん?」

 

「!?」

 

 ギクッ!!?

 

 助はそう言いながら紘の隣に居る結を指差した。

 結は体に電気でも走ったかと思うほどにビクッと飛び上がった。

 

「た"っ、た"わ"け"ぇぇ!!わ"し"ゃあ"結"じ"ゃゴホッ!ゴホッ!!…そ、そ"れ"よ"り"そ"こ"の"蓮"根"と"葱"と"牛"蒡"を"お"く"れ"!?」

 

(あれ?もしかしてここ知り合いの店?)

 

 不意を突かれた結は、慌てて何とか話題を変えに走る。

  変装したはいいものの、その内容はただ毛布を被って杖を付いているだけ、おまけに老婆声のクオリティが絶望的に低く、無理して喉を締めてるせいでずっと咳き込んでいる有様。

 挙げ句の果てに立ち寄った八百屋が知り合いの店と言う地雷原でかけっこするかの如く凡ミスの応酬に紘もかける言葉が見つからない。

 

「あいよ毎度あり!結ちゃんお得意さんだからいつものおまけしとくよ!」

 

「わぁ!ありがとう夏さん!」

 

「ほら、結ちゃんだ」

 

「あ…」

 

「おい」

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 結局呆気なく正体がバレてしまったその後、店主の夏は事情を察してか店先のすだれを下ろして2人の姿を隠してくれた。

 

「何で分かったんですか夏さん…」

 

「いや知り合いだったらオレでも気づいた自信あるぞ?」

 

「その毛布、結ちゃんが赤ん坊の頃からお気に入りでよく被って走り回ってたやつだろ?一目でわかったよ」

 

「お前何でよりによってここに来たんだよ…」

 

「それで結ちゃん、また食材取りに森へ行ったんだろ?見ない顔だけどこの兄ちゃんと言ったのかい?」

 

「いや私は…」

 

「いや、オレは森で遭難してるのを結に助けてもらいました。水と食料を分けてもらったんでお礼に彼女を手伝ってここに来たんです」

 

「あれ?ってことは結ちゃん1人で森に行ったのかい!?」

 

 結は俯きながらコクリと頷いた。

 

「そりゃあダメじゃないか!魔獣が居なくとも熊や猪は普通に出るんだぞ?せめてししの爺さんと一緒に行けってのぶさん言ってただろ?」

 

「腰やっちゃって、山菜が足りなくって…」

 

「何!?そりゃ本当か?どうりで最近見ないと思ったら…こりゃ後で見舞いいってやらねぇとなぁ、けどなぁ?だからってまだお前みたいなチビッ子がうろつける程安全な場所でもねぇんだ、爺さんに教わったろう?」

 

「だって…明日山菜蕎麦作るって皆んなに言っちゃったんだもん…」

 

「「爺さんが腰やって動けないから山菜手に入らなかった」って一言言やぁ皆んな納得すんだろ?」

 

「でも…、皆んなあんなに楽しみに…」

 

「ハァ…、ホントに誰に似たのやらなぁ」

 

 結は口を尖らせながらブツクサと独り言を呟く様に言い訳を並べる。

 夏は叱りながらも穏やかな目で見守る様に結を諭している。

 するとふと助は紘にも話しかけた。

 

「いや〜にいちゃんにも苦労かけたなぁ、結ちゃんも普段はこんなことする子じゃないんだけどなぁ。見ての通り料理へのこだわりが強すぎるもんで、市場で食材が手に入らない時はこうして森に直接取りに行ったりするのよ」

 

「いえ、オレは別に何とも思って無いですよ」

 

 すると結は頭の上で手の平を合わせると夏に懇願した。

 

「夏さんお願い!ここで見たことは皆んなには内緒にしといて!」

  

「まぁ…俺は別にわざわざ言いふらしたりはしねぇけどよ…」

 

 すると紘が結の頭にポンと手を置いた。

 

「紘さん?」

 

「なぁ結、ここに来る前に絶対無理だって言った意味、これで分かっただろ?」

 

「…」

 

「もういい加減素直に謝ったらどうだ?」 

 

「…それは」

 

「みんなのためにやった事だ、謝れば許してくれるさ。オレも行くからさ、な?」

 

「……」

 

「兄いちゃんの言う通りだぜ結ちゃん、愚痴ならまた今度いくらでも聞いてやるからさ」

 

「うー…、分かり…ました…」

 

 紘と助さんに説得された結は渋々このまま帰っておばさんに謝る事となった。

 そうと決まった紘は真っ先にすだれをあげて店を出た。

 

「さぁ行こう結」

 

「……」

 

 トボトボと重い足取りで結衣も店を出た、すると通りの奥から人をかき分けながら血相を変えてこちらに走ってくる1人の女性が見えた。

 

「ん?あの人…」

 

「あ!はるじゃないか?」

 

 結の背後からくっついて出てきた夏がその女性を見つけてこう言った。

 

「多分結ちゃんが帰って来たのを聞きつけてきたんだな?こりゃ丁度良かった」

 

「おばさん…」

 

 すると紘は側で少し気まずそうにしている結に気づいた。

 紘はそんな結の背中を優しく押し出して言った。

 

「なぁ結。オレもお前に言えるほど清廉潔白に生きてはこなかったが、それでも心配してくれる人がいるなら大切にしてやらないとな。間違うことはあってもちゃんと謝って許して貰えばきっと後にわだかまりなんて残らないさ。だから行ってやれよ、オレも居るから」

 

「う、うん…」

 

 背中を押された結は一歩、また一歩キヨさんの方へ歩みを進めた。

 そして走ってきたサヨが結の頭に思い切り愛の拳を振り下ろした。

 

「このバカ娘ェェェ!!!」

 

 ゴチーーーーーーン!

 

「痛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!」

 

 結の絶叫が市場に響き渡った。

 

「えぇ……!?」

 

「あっちゃ〜今のは痛ったいぞ?」

 

 すると春はすかさず結の肩を掴んだ。

 

「アンタ一体どこで何してたんだ!?5日間も姿を眩ませて一体どれだけの人が心配したと思ってるんだ!!?」


「うう…、お、おばさん…ごめんなさいぃ…」

 

 春の剣幕に結は目に涙を浮かべながら謝罪した、その様子を見た春は両手で結の頬に手を添えて今度は優しく声をかけた。

 

「大丈夫?何処も怪我してない?」

 

「頭が痛い…」

 

「そう、良かったわ…」

 

 春がそのまま結の体を優しく抱きしめた、その様子を店から出てきた夏が2人の様子を眺めながら声をかけてきた。

 

「相変わらず大袈裟だなぁ春、結ちゃんはあの獅の爺さんに鍛えられたんだぞ?そう簡単に…」

 

 すると春は夏が言い切るよりも早く夏の顔に飛びついて両頬を思い切りつねった。

 

 ギリギリギリ…!

 

「アンタ達がそうやって甘やかすからこの子はこんな怖いもの知らずに育ったんじゃないか!分かってんのかいアンタ等は!」

 

「痛だい痛だいはだしでーーー!!!」

 

「…」

 

 なんとなく想像してはいたが結の育ての親である春はやはり強烈な人だった、がしかし彼女の拳には確かな愛情も感じ取れた。

 結はきっと彼女の拳に守られて育ってきたのだろう。

 するとふと春の視線が珍しい格好をしている紘の方に向けられた。

 

「おや?アンタは?」

 

「いてて…おばさん、この人は山菜採りを手伝ってくれた紘さんだよ」

 

「あー!みんなが言ってた噂してた帰ってきた結と一緒にいた変な格好の若者はアンタだね?」

 

「あぁ…ハハ、どうも(街に入った段階でもうバレてたのか…結、お前なんでこの作戦で行けると思ったんだ!?)」

 

「ありがとう、結を無事に返してくれて!」

 

「あ!いやぁ、むしろ助けられたのはオレの方ですよ」

 

「これも何かの縁だ。結、店に案内しておやり?」

 

「え?良いんですか?」

 

「うん!紘さん!こっちです!」

 

 こうして紘は結が営んでいる「蕎麦処結」に案内される事となった。

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 蕎麦処結

 

「よいしょ…よいしょ…」

 

 結が水が入った寸胴鍋を一生懸命運んでいる、頭には先ほどのゲンコツで出来た大きなたんこぶが出来ていた。

 ヒリヒリする頭をさすりながら結は黙々と採って来た山菜の下処理をしている。

 そんな彼女を春と紘は店の隅にあるテーブル席から眺めていた。

 

「改めてウチの結が世話になったねぇ。アタシは春、結の…里親、と言ったところかな?」

 

「紘です、こちらこそ危ないところを助けていただきました。こんな所にまで招いてもらって改めて2人に感謝を」

 

 2人が挨拶を済ませると、紘は再び結の方を見た。

 

「それにしてもすごいですねあの年齢で、春さんがこの店を?」

 

「いや、この店は元々結の両親が2人で切り盛りする筈だったものでね。しかしそれが叶う事は無く結の母親は旅立っちまったんだ。ここも曰く付きになっちまったが売りに出すのも忍びなくて、ある日幼い結が料理に興味があったみたいでねぇ、アタシに出来る料理を教えたらみるみる上達して今ではこの通りさ」

 

「そうなんですか」

 

「あの子の両親の事は聞いたのかい?」

 

「はい、聞くつもりはありませんでしたが…」

 

「あの子は何か言っていたかい?」

 

「父親に、帰って来て欲しいと…」

 

「そうか…」

 

 するとサヨは紘に向き直ると重苦しい表情で語り始めた。

 

「あの子の母親はセカンドスタンピードで亡くなったんだ」

 

「セカンドスタンピード?」

 

「知らないのかい?」

 

「あー…、(やべ…、これもしかして誰もが知ってる一般常識的な奴かな?どうしよう…事実だけを説明しても混乱させちまうかな…?)」

 

「?、どうかしたか?」

 

「(…少しだけ改竄するか)実はオレ、森で川に流されるより以前の記憶が無いんです。(あ!やべ夏さんにした盗賊の話…!?)盗賊に襲われて有金取られたまではなんとか思いだせたんですけど…、どっかに頭でもぶつけたのかなぁ!ハハ」

 

 紘は皆に話した内容同士が矛盾しないよう瞬時に言葉を選びながら話した。

 正直少しぎこちなかったが…。

 

「そうだったのか!?それは大変だったな」

 

 特に怪しまれなかったようだ。

 

「いえ、気にしないで下さい。(危ねぇ…何かの間違いで辻褄が合わなくなると面倒だからな。やっぱ嘘は付くもんじゃ無ぇな…)」

 

 すると春が改まって真面目なトーンで紘に過去の出来事である〈セカンドスタンピード〉について話し始めた。

 

「一言で言えばセカンドスタンピードは9年前、人族が魔族と決別した日だ」

 

「決別?」

 

「昔は元々人族と魔族はお互いに手を取り合って共生の道を歩んで来たんだ。だが15年ほど前になるか、ファーストスタンピードを皮切りに人間側の魔族に対する疑念が募り、ゼノビア王国の国王が魔族の掃討を命じたのさ。これによって王国全体で大混乱と大虐殺が起こり人間と魔族を含めた大勢の者達が命を落とした事件、それがセカンドスタンピードだ」

 

「そのファーストスタンピードと言うのは何があったんですか?」

 

「ファーストスタンピードの時はここにはほとんど影響がなかったから風の噂程度でしか知らないが、なんでも王都で不特定多数の魔族が暴走して人間を大量に虐殺した事件だって話だ」

 

「なるほど、この国にはそんな歴史が…その魔族ってそんな危険な種族なんですか?」

 

「良いや全く」

 

「え?」

 

「そもそも元々は共存してた訳だしね。この和の街も、王国そのものだって魔族達が人間と手を取り合ってくれたお陰で今の姿がある。大きな声では言えないけどね、アタシはこの二つの事件は人間側が魔族を滅ぼすために企てた陰謀だと思ってるのさ」

 

「い、陰謀?」

 

「ここ和では魔族との交流は特に深くてね、ここで暮らしていた魔族も大勢居たんだ。だけど人間側が一方的に魔族を目の敵にして滅亡させようと企てたのさ」

 

「それって確たる証拠みたいなものがあるんですか?」

 

「そう言われると証拠は無いが、ファーストの時から不自然だったんだ。普段は温厚だった者達がまるで狂った様に暴れ回ってたって…これは人間側が魔族滅亡の口実を作ったんじゃ無いかって、そう思うんだ」

 

「なるほど…」

 

「王都では魔族との関わりは一切禁止になっているがここ和は領主の意向で中立を貫いている、だから和では未だに魔族との交流があるんだ。あまり大っぴらには会わないけどね」

 

「その人間と魔族の対立の中、中立でいると言うのは国は認めているんですか?」

 

「一応公認さ、良くは思って無いだろうがね」

 

「なぜ王国側は和の中立を認めたんですか?」

 

「和の先代の領主が昔王国に高い功績を立てた人だったから彼の意見は簡単には無下に出来なかったのさ、ファーストが起こって魔族への疑念が深まったあの当時でさえその権威のお陰で堂々と中立を宣言してもお咎め無しだったから」

 

「そんなに凄い人が居たんですね」

 

「変わったおっさんだったよ。王都や彼の功績の事をアタシはよく知らないから信じて無かったが、あの時ばかりは初めて彼の凄さが分かったよ。彼も9年前セカンドで亡くなったが惜しい人を亡くしたもんだ」

 

「なるほど、この国にそんな歴史が…。(この国の戦争の歴史か、今も続いてるならオレ自身の身の安全ももっと慎重に考えて行かないとな…)」

 

「ところでアンタ、これからどうするんだい?」

 

「えっと…とりあえず今日は寝床を探して明日は日雇いの仕事でも探そうかと思ってます」

 

「そうか、だってよ結」

 

「はい!分っかりました!」

 

「!?」

 

 すると結がいつも間にか2人の席の前で両手を腰に当てて立っていた。

 

「仕込みはもう終わったのかい??」

 

「まだ山菜を仕分けて洗っただけ、あく抜きに時間がかかるものもあるから本格的な仕込みは後でやるよ。それより紘さん、お仕事を探してるんですって?」

 

「ああ、何をするかは分からないけど」

 

「だったらしばらくウチで住み込みで働きませんか?」

 

「え!?良いの?」

 

 突然の結の願っても無い提案に紘は目を丸くして固まった。

 そしてそのままチラリと春の顔を見た。

 

「ここは結の店だ、何処の誰を雇おうが結に任せるさ。余程の奴じゃない限りはね」

 

「お給金は働いてくれた日に出します。仕事内容は買い物の手伝い、店の掃除、皿洗いとかになると思うので大した額は出せないと思いますが2.3月も働いたら行商人の元手位にはなると思います。おまけに寝床にまかない付き、どうです〜?お得でしょ?」

 

 なんと願っても無い結達の提案に紘は迷わず食いついた、なんと運がいい事だろう。

 

「あぁ!もちろんやらせてもらうよ!ありがとう結!」

 

「いえいえ!お互い助けて助けられての仲なので。これくらいの事しか出来ませんがどうぞよろしくお願いします」

 

「はい!よろしくお願いします女将さん!」

「mobius設定資料集ーー!!!」

 

 キャー!イェーイ!

  

 鍵(台本)「どんどんぱふぱふ〜」

 

 z「改めまして皆さんこんにちはzろuじろうです」

 

 鍵「こんにちはキーです」

 

 z「このコーナーでは本作、「mobius」の各登場人物の情報や裏設定などを紹介し、各キャラクターのことをもっと知ってもらおうと言う企画です」

 

 鍵(台本)「さーてこんかいしょうかいするきゃらくたーは?」

 

 z「こちら!!!」

 

 コトッ(フリップ)

 

 [ ゆい ]

 

 鍵(台本)「と言うわけで今回紹介するのは紘が異世界で初めて出会った女の子、結です」

 

 z「7月15日生まれの9歳、自分を捨てて出て行った父の帰る場所を作るために一心に料理の腕を磨き続けている健気な女の子です。可愛いですねぇ〜」

 

 鍵(台本)「えー、初めて包丁を握ったのはなんと4才で、育ての親である春に教わりながら近所の人達を集め両親の残した店で料理を振る舞ったのが「蕎麦処結」の始まりだそうです。蕎麦処なので基本うどん、蕎麦、丼ものを提供していますが彼女の得意料理は和食、齢9歳にして他の料理人とは一線を画すレベルなのだとか」

 

 z「彼女が使う包丁は業物「月桂樹げっけいじゅ」刀匠 げんが打った一年通して葉が落ちない (刃が落ちない)事で名付けられたこの包丁は彼女の料理人としての格を表しているかの様ですね!そんな彼女にもとーっておきの情報が、あ⤴︎ーるんです!!」

  

  ざわざわざわ…

 

 z「メビウスポイーンツ!」(強エコー)

 

 ババン!

 

 z「大きな声では言えませんが、実は結ちゃんには彼氏がいます…」

 

 えーーー!!!ぶーぶー!!!

 

 鍵「なんのブーイングなんですかいいでしょ別に?」

 

 z「まぁ過激派のファンってこう言うとこあるからね、あー嫌だ嫌だ」

 

 鍵「まぁこれもただのSEなんですけどね」カチッ

 

 SE「zろu、くたばれ」(スタッフボイス)

 

 z「え?ちょ何これ?いつこんなの録ったの…?」

 

 鍵 カチッ

 

 SE「じ…地獄に、おzろu」(スタッフボイス)

 

 z「え?これスタッフちゃんの声だよね」

 

 ST(滝涙)ガタガタガタガタガタ…

 

 鍵「というわけで以上「mobius設定資料集」のコーナーでした。もしよろしければ次回のお話もお楽しみ下さい」

 

 z「いや勝手に終わらせないでねぇ鍵ちゃん!?ねぇこれどういう…」

 

 鍵「またねー!」

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