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第48話【 洞窟の先の明かり 】


 「クラウディー、この岩だ!」


大きな岩の下に、不安定に並ぶ数個の岩。この岩を爆破して大きな岩で洞窟にフタをしようとしているのだ。


「時間が無い。マイケル下がってろ!」


そう声を掛けた後、即魔法の詠唱モーションに入る。


フレイム()ショット()


<ドフッドフッドフッドフッドフッ>


爆風がマイケルを襲い、身体から煙が立ち上がるが……顔を歪め何とか耐えている。

一方、クラウディーは間近にいた為、自身の放った炎の爆風で岩に叩きつけられ、地面に倒れ込んでしまった。


「うぐっ……」


粉々になる岩。そして……<ズゴゴ>と大岩が洞窟を塞ぐ様に動き出す。


<グオゥッ>


モリンシゴーレムの喉から出る響きが大岩の向こう側から聞こえてくる。


大岩が洞窟を塞ぐ瞬間、隙間からモリンシゴーレムの赤黒い腕がクラウディー目掛けて飛んで来る。


その腕は大岩に押し潰されるが、引きちぎられた腕の飛んでくる勢いは……。


クラウディーは倒れ込んでいた為、避ける事が出来ずにいた。



<バシンッ……>


マイケルが自分の腕で、モリンシゴーレムの腕を弾き飛ばした。

しかし、腕には体液がベトリと……。


マイケルはすかさず体液の付いた袖を引きちぎったが、腕には既に薄っすらと黒いアザが浮かんでいた。


「マ、マイケル。大丈夫か?」


「ああ、問題ない。かすり傷だ!」


腕を伸ばしたり振ったりしてるが、問題はなさそうだ。だがモリンシゴーレムの体液は警戒しておかなければならない。


「気休めだが、合流したらヘルンに防御力増強の魔法をもう一度掛けてもらってくれ」


「分かった」


心配かけまいと笑顔で返答するマイケル。

クラウディーは、そんなマイケルの肩をポンと叩いた。


「よしっ。少しは時間が稼げそうだ。みんなと合流するぞ!」





 狭い洞窟の中、みんなが進む速度が落ちている。

ゴブリンデフォームが湧き出しており、アルガロスやヤブロスが対抗しているが、思うように進めないのだ。


トロールカレットは現れなくなったが、とにかくゴブリンデフォームが細い洞窟の壁となっていたのだ。

アルガロスが剣を握りながら、ゴブリンデフォームを睨んでいる。


「くそっ、何体潜んでやがるんだ?」


双剣を構えるヤブロスは、魔物がうごめくその奥を見つめていた。


<フォッ>


やはり、風が吹いて来る。それにその先が薄っすらと明るくなってる様にも見える。


『外が……近いのか?………』



<タタッ>


後ろから何かが走ってくる音がする。

警戒しながら振り向くと、クラウディーとマイケルが走って来る姿が見えた。

メンバーから笑顔が広がり、不安な思いが少なからず消えていく。


「洞窟の入り口は岩で塞いだから、少しは時間は稼げる」


クラウディーは合流して直ぐ後ろの状況を簡単に説明した。メンバーを少しでも安心させる為だ。

その横でマイケルは、ヘルンに防御力増強の魔法を掛けてもらっていた。


クラウディーは、エルを背負っているダンブールに声を掛ける。


「エルの状態はどうだ?」


「変わらず、意識を失ったままだ……」


<グルル…>


前方の暗闇から魔物の唸り声が聞こえてくる。

クラウディーの目に映るその姿は、ゴブリンデフォーム数体。

鋭い目付きで睨むクラウディー。


「ヤブロス、アルガロス下がってろ!」


そう言いながら詠唱のモーションに入る。


フレイム()ショット()


<ドフッドフッドフッドフッドフッ>


目の前のゴブリンデフォームを炎で蹴散らしている。状況を把握する為に、時間稼ぎをしているのだ。


「どんな状況だ?」


ヤブロスが軽く洞窟の先を指差す。


「ゴブリンデフォームが湧いてるが、倒せない魔物じゃぁない。簡単じゃ無いが突破出来るだろう。それに……出口が近いかもしれない。」


「出口!?」


奥から吹く風が強くなっているのが分かる。

そして、数十メートル先、洞窟の先が明るくなっているのが見える。


「出口……か!?」


洞窟の先から入る淡い光に照らされて、ゴブリンデフォームの影が洞窟内に数体うごめいているのが見える。


「後ろの大岩を砕いて、モリンシゴーレムがいつ迫って来るか分からない。目の前のアイツラを蹴散らして、一気に出るぞ!!」


クラウディーはそう言いながら、両手に炎が灯りだす。


「少々熱いが、俺の後について来い!」


フレイム()ショット()


<ドフッドフッドフッドフッドフッ>


クラウディーが撃つ炎の爆風をくぐりながら、みんなは前へと走り出す。


爆風以外の風が吹いてるのが感じ取れる。洞窟の外の明かりが大きくなるのが実感出来る。

みんなは走りながら、明るくなった洞窟の先(• • • •)へと飛び出して行った。


<ババッ>







<ギィャッギギッ>





<グオゥッ、ギギッギギッ、バフウフウ、ギャオウ、ギギギッ、ゴリゴリジャリッ、グオゥ、グオゥッ、グルルルルー、ブシュッブシュッ、バフガグウ、ギャウッギギャウッ、グオゥグオゥッ、バホウッバホウッ、ブフーブガフー、ギャルルルル、ダホゥッホゥ、ギャギャギャブフー、ヴァググー、グオゥッ、ギギッギギッ、バフウフウ、ギャオウ、ギギギッ、ゴリゴリジャリッ、グオゥ、グオゥッ、グルルルルー、ブシュッブシュッ、バフガグウ、ギャウッギギャウッ、グオゥグオゥッ、バホウッバホウッ、ブフーブガフー、ギャルルルル、ダホゥッホゥ、ギャギャギャブフー、ヴァググー……>




絶句するメンバー達……。

彼等の前には…想像し得なかった光景が広がっていた……。




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