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第30話【 街の制限 】


 音が無く、月が浮かぶ澄んだ夜空に薄っすらと漂う雲。大地では静かに草原の頭をサラリと撫でる様に風が吹いている。


そんな夜とは対象的に、慌ただしく人が行き交うバルコリンの出入口。


「じゃあ行ってくるよ!」


「宜しくお願いします」


ハンター達に挨拶をしているのは、ギルド・ハンター管理局のセレーニだ。

その横には、厳しい眼差しでハンター達の後ろ姿を見つめる、同管理局のゼブロスもいた。


「これで各ギルドによって、捜索場所がカバー出来るな」


「ハイ。全部で12ギルド。待機ギルド数は6です」


ゼブロスとセレーニは、心配そうにギルドメンバーを見送っていた。

夜中に出歩くのは危険が付きまとう。しかし、今回は様子が違っていたのだ。


それは今回発生した………。


“ オレンジゲート ”


どの地域でも、その地域より魔力が強い所と繋がるゲートが発生すると、一部を残して、ほとんどの街の機能が制限される。


何故なら、安全第一だからだ。


ゲート封鎖と、魔物の広範囲捜索が基本となり、その捜索は、7日間続けないといけない決まりがあるのだ。




 暗い街中、横に広い建物が薄っすらと佇んでいる。ギルド・ハンター管理局だ。

その部屋の中に、リッサとデリスの姿があった。


<ガチャッ>


扉を開けて入って来たのは、ギルド・ハンター管理局の局長、グレインカブース。それと、次長のユリメーラ。共にクラスAの実力者だ。


リッサとデリスは、立ち上りお辞儀をした。


「あっいいよ、座ったままで」


にこやかな顔で、座る様促す局長のグレインカブース。白髪が混じるが、高クラスハンターと比べても見劣りしないガッシリした体つきで、風格が漂っている。


「お疲れの所、来てもらってすまないね」


優しい口調で話すグレインカブース。局長と言う立場からか、心の広さが感じ取れる。

それに、管理局員とギルドハンター達は密接に情報交換をしており、よく知る心許せる関係でもあるのだ。


「お気遣い有難う御座います」


とリッサは丁寧に返答した。


「リッサ、デリス君。身体は大丈夫かい?」


当然、局長は今回の魔窟のクレモスの出来事を知っているので、二人を気づかってそう声を掛けたのだ。


「はい、大丈夫です。デリスはまだ骨にひびが入ってますけど、この後、アスクレピオス病院でクラスBの回復魔法士に診てもらうので問題ありません」


リッサはデリスの身体をバンバン叩き、頑丈さをアピールしていた。しかし、当のデリスの表情は、眉を下げ痛さを我慢しているように見える。


「リッサ、いたわってあげなさい」


ユリメーラは、状態異常魔法を使えるので、デリスの状態が手に取るように分かるのだ。

言い聞かす様に、優しい眼差しでリッサを見るユリメーラ。


「は、はい…。すみません……」


「まあまあ、元気で何よりだ。報告は既に調査官から聞いてるよ。大変だったね」


優しさ溢れる表情の局長、グレインカブースは、一呼吸置いて、少し真剣な眼差しになる。


「今回来てもらったのは……」




━━━━━翌日━━━━━



 輝く朝日が、優しくバルコリンの街を照らしている。街中はいつも通り活気があるが、街へ出入りする業者は非常に少ない様だ。


夜中の内に、周辺地域に緊急事態の発生を伝えたので、今の状態がある。


「ふわあ〜〜ぁ」


大きなあくびをしているのは、エルだ。

フカフカなベッドの上で身体を起こし、朝日に照らされた街並みを眩しそうに窓から眺めていた。


昨日の夜、エインセルギルド援助及びオートノミーからの依頼に貢献したとして、ギルド・ハンター管理局から報酬として、1週間程度、宿屋に泊まれる位の資金提供があったのだ。


ボーッと街並みを眺め、ニコッと笑った。


「2度寝しよっ」


再びベッドに入った瞬間、


<バタッ>


部屋のドアが開くと同時に、アルガロスの大きな声が飛んできた。


「エル! いつまで寝てんだ? 飯だぜ、飯!!」


布団に包まったまま身を潜めるエルを前に、アルガロスの目が光る。


<タタタッドン>


「やあー!!」


舞い上がるアルガロスの身体。空中で回転しながらエルのベッドへと大ジャンプだ。


<ドカッ>


「うぎゃー」


エルの大絶叫が宿屋の屋根を貫き、青空に響き渡った。




 ギルド・ハンター管理局のとある部屋。

立派な机の前に座る、局長グレインカブースの姿がある。


真剣な眼差しで何かの資料に目を通しており、時折目頭を指でマッサージしながら読んでいた。


読み終わったのか、資料を持った手を机に置くと、眉を寄せながら軽く深呼吸。


「ふぅ……」



『ブルーモン領には “ シル ” と言う村は無い……か』



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