表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

104/170

第104話【 暗黒の地へ 】



【 マヴロス・オーブもろとも無へと遷移させます 】


世界樹シルの重い言葉が、エルの心を締め付ける。


“ 無へと遷移 “


衝撃的な言葉………。


今までは自身に課せられた言葉だったはずだが、それがアルガロスにまで広がり、命を…生きた証を掛けた状態にまでなってしまっている事に………焦りと罪悪感が込み上げてくる………。


「ち、ちょっと待ってくれよ。無へと遷移ってあまりにも酷すぎるじゃないか…」


【 アルガロスが悪魔に呑み込まれたら、何が起こるか想像できませんか!? 】


世界樹シルの言葉は……誰もが想像出来る簡単な事。

しかし、エルにとっては……やはり受け入れられない衝撃的な言葉……。


吹き荒れる魔力と霊力は既に無く、穏やかな時が流れながら世界樹の草原にゆるりと霊力の風が吹く。




「……シル………」


思えば思う程、願えば願う程崩れ去る負の連鎖に、エルの心は迷路から抜け出せない状況で……。


逃れる事が出来ない状況なのは分かっているが…、分かってはいるが………、エルはどうしても納得出来ないのだ。


納得出来ないが……、何か出来る事はないかと考えた結果……。

エルの思いが言葉となってこぼれ出る。


「…時間が欲しい………」


「アルガロスの魔力を……訓練して出来るだけ上げたいんだ…」


「どれくらい時間があるかが分かれば…」


エルの悲痛な思い……。


時間を稼いで、アルガロスのさらなる魔力UPをはかる。少しでも悪魔のマヴロス・オーブに呑み込まれない様に。

それと……他に方法が無いか考える時間も欲しかったのだ。


しかし……、世界樹シルから返って来た言葉は無情なものだった……。


【 猶予はありません 】


切り捨てられる様な言葉に大きく膨らむエルの瞳。

その瞳は…耐え難い苦悩に震えていた。



【 だから…… 】


<ブオ━━━━━━━ン>


突然、エル達が立つ地面にグレイゲートが出現する。

世界樹シルが創り出したグレイゲートだが、その表情は不安気だった。


【 ……私はあなた達の力を、未来を見てみたい 】


このグレイ(灰色)が意味するのは……。



【 漂う大陸、ドラの所へ行ってもらいます 】



「えっ…!!?」


アルガロスとカルディアが驚いている。

エルから聞いた空に浮かぶ大陸。

下界とは比べようが無い程、遥かに魔力濃度が濃い場所。


そして……魔物との激戦を永遠と繰り返している危険な大陸で……暗く閉ざされた……魔力が渦巻く暗黒の地………。


エルは……世界樹シルの方を見てはにかんだ笑顔を作り……、小さく呟いた。


「ありがと、シル」


優しく暖かな霊力の風が、エル達を包む。

身体がほんのり輝き、生命力が満ちてくる。

ほんの一瞬…短い時間だが、それは彼等にとって平穏な落ち着きを感じとれた時間だった。



これから先は…………………………………………。



<バシュンッ>



グレイゲートに呑み込まれたのはエル、アルガロス、カルディア、モサミスケール………それと、スルトも一緒に。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ