6話
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ペインモラン辺境伯は書簡を読み、正直な所切れていた。内容はペインモラン―アンカリアス街道の魔王災についての王都からの報告書だ。まさかこんなことになっているとは思わなかった。
アンカリアス辺境伯との境界手前の話ゆえ、ある程度の格を持ったものが行かなければ、示しが付かないどころか、やり込まれる可能性があったからだ。
あの辺りはペインモラン辺境伯領の一部だ。その魔王災に出遅れていった訳である。何かしら譲歩は必要であると考えるのが普通であろう。
その譲歩を最低限で食い止める為にも次男であるジョセフを向かわせたのだ。多少は格が上の者が行かねば恰好が付かんからな。
そのジョセフが向こうが工事費の5割を負担し、国が5割を負担する。我が辺境伯家は出費無しという成果を持って帰って来た。
「あの、愚か者めが!」
若干ではあるが、怪しいとは思っていたのだ。が、自信満々に話すジョセフにまんまと騙された。これであればまだこちらが5割を支払った方がマシであった。
王都の書簡ではペインモラン―アンカリアス街道の主権を放棄するとの旨が書いてあった。主権を放棄するとは、その領土をアンカリアス辺境伯家に投げ渡したのと同義。
街道なんぞ維持費がかかるだけで必要ないと言う者も一定数いるのは確かだ。確かに維持費はかかるし、長い街道を持っているというだけ不利な事には違いない。
だが、主権を放棄するなど在り得ない。あの辺一帯は我がペインモラン辺境伯領なのだ。それをアンカリアス辺境伯家に投げ渡すなどとんでもないことだ。
確かに街道は麦も育てられなければ、鉄が採れるわけでもない。毎年の様に石材を消費する重荷の様にも思える。だがな、領土というのは持っているだけで価値があるものなのだ。
その証拠に、王都からは各領地貴族に対して補助が出ている。その補助をどのように算出するのかは領土の大きさによって決められている。
森も川も街道も領地に当てはめられる。昔はその地図を作るにもかなりの苦労があり、王家の財産となっている。かなりの広大な領地を計り、描きとめたものが王宮にある。
今回の件で、ジョセフは我が領土の境界を相手に委任してしまったわけだ。街道の主権を渡したとあるが、街道に隣接するのは森だ。その森はヘンミラー子爵領へと続いている。
その森の境界線も動かすことになる。当然だが、街道は森の蓋になる部分だ。街道の主権を放棄したという事は、その森についても主権を放棄したという事になってしまう。
街道で魔物を食い止める筈だからな。そのための街道なのだ。街道だけを投げ渡したのではない。主権の及ぶ範囲とは、守りますと言っている森までも手放しているという事なのだ。
こんなことを見逃すアンカリアス辺境伯家では無いだろう。きっちりと境界線を引いてくるだろうな。それにまだまだ言いたいことはある。これには関所を建てると書いてある。
わざわざアンカリアス辺境伯領内と銘打ってあるという事は、関所までがアンカリアス辺境伯領だと言いたいのであろう。街道のここまでがアンカリアス辺境伯領だと言いたいんだろう。
全部の街道を持っていっても良いのだが、安全の為に関所を作るとある。という事はだ。わざわざ関所で何処までがアンカリアス辺境伯領だと言うのと同時に、ここまでで済ませてやったのだぞと言う譲歩を向こう側が提示してきたという事だ。
全部持っていかれた方がまだ良かった。諦めが付くからな。だが、ここまでやられてはそこまでの街道の面倒はみなければいけない。
アンカリアス辺境伯家側が譲歩してやったというのに、街道の整備も出来ぬのかと言われるのがおちだ。国の補助は切られたのにも関わらず、出費が増えるという事だ。
今まで以上の管理体制が求められる。それを考えると頭が痛い。単純に我が領が不利益を被っているだけに過ぎない。これでは何の得もない。5割負担などと言わせずに、こちらもまだ1割でも負担しておいた方が良かったという結果になる。
ここまでの事をしておいて、ジョセフは何も感じていないというのか? 誰に似たんだ。私では無いのは確かだ。流石にここまで愚か者に育てた覚えは無いぞ。
家庭教師が無能だったのかどうかまでは調べが付かん。既に何年も前の話だ。白を切られて終わりだろう。こんなことであれば、ジョセフに行かせるのでは無かったが、これ以上の事は言っても無駄だな。失点は何とかして取り戻さねばならん。
コンコン
「入れ」
「失礼いたします。アンカリアス辺境伯家から書簡が届いております」
「確認する。置いておけ」
「かしこまりました」
嫌な予感がする。今度はなんの手を打ってきた? 書簡が届いたのは今だろう? 確かここまではどんなに早馬を飛ばしても4日はかかるはず。それ程急がせた内容なのか?
「んな! 最悪だ。これでは商人どもに逃げられるでは無いか! あの無能がぁ!」
アンカリアス辺境伯家からの手紙には、ペインモラン―アンカリアス街道で関税を取ることに決めたそうだ。品物に対して5%の関税を掛けるのだそうだ。
それで終わる訳がない。当然ながら自領の商人に対しては優遇措置を採るだろう。関税分を補助として出すか、関所で何かしらの判別が出来るものを用意するだろう。
そうなれば、大規模な商人は残るにしても、小規模の商人は逃げる可能性がある。中規模の商人に逃げられでもしたら最悪だ。こちらも手を打たねばならなくなった。
多少なりとも関税分を何とかしなければならん。糞が。ジョセフなんぞに任せなければ。あいつには今度しっかりと絞るとして、今は対処をしなければならん。厄介な。