16話
OFUSE始めました。
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ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
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さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
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話はひたすらに平行線を辿っていった。向こうが一部負担を1割、こちらは全部負担を7割と言っているだけの会議だ。早く終わらせたいと思うのは私だけでは無いのだよ。
向こう側も早く終わらせて帰りたいのだよ。実績を手に入れてきました。これで出世をさせてくれと言いたいんだろう。でなければ、こんな無理筋の所に売れと言いに来ないと言う事なんだ。
費用を押さえたいと言うのは解る話ではある。こちらも財務状況はさほど良くない。辺境伯家を維持していくのにも相当の金がかかるのだよ。
金がかかるから、こんな作戦も毎年のように建てられないのだよ。金が関係ないのであれば、もう少し魔物の領域は減らせているだろう。そう上手くはいかないと言う事だ。
何をするにも金がかかるのだよ。軍を動かせば金がかかる。魔王災が来れば金がかかる。来て欲しくない時に魔王災がやってくるのだからな。
「辺境伯家の利益は王国の利益。であれば還元するのが当然だろう? 強欲にも金を集るのが辺境伯家では無い筈だ。名誉の為に譲り渡せと言っている」
「何度も言いますが、そのような王国法など無いと申しているのですよ。それに辺境伯家を維持するのに、どれだけの規模の金がかかると思っているのか。これくらいの負担は王家にとってはそれ程重くはないでしょうに」
「王家を維持するのにも金がかかるのだ。それだというのに、辺境伯にそれだけの金を払う訳にはいかんのだよ。名誉の為に身銭を切れと言っているのだ」
「既に名誉は頂いておりますのでね。これ以上は身銭を切る必要は無いと思う訳ですな。それに王家も無能な官僚を大量に抱えているだけでしょう? 少しは整理しないと無駄金が減りませんよ。減った分で辺境伯家に金を出せば良いんですよ」
お前の様な無能を飼っているだけの余裕が王家にあるのであれば、もっと開発費を寄こせと言っているのですよ。何度も同じことを言っているんですけどね。解っていないのか。
王家に金があっても意味がない。王家は何方にしても通貨を発行できるのだから、金はどれだけ使っても構わんのです。担保さえしっかりとしていれば、無限に金を生み出せるのだから。
辺境伯家は通貨発行権などない。それがあるのは王宮だけだ。それなのに、王都で金が足りんと言うのはあり得んだろう。何処にどんな金が流れているのか知りませんが、一度整理しないといかんのでしょうなあ。腐敗の温床になっているんだろう。
さて、どうするか。かれこれ1時間くらい言い合いをしているんですが、そろそろ切り札を切る時期でしょうか。向こうも相当焦ってきているようですしね。ここらで切り札を使いましょうか。
「少なくともそんな余裕は王宮には無い。今後を良くしていくためにも次期王に実績が必要なのだ。早くそちらが折れて実績を差し出せ」
「では、交渉は決裂ですな。これ以上は言い合っていても仕方がないでしょう。そちらには実績を売りません。別の所に実績を買い取って貰います」
「何を言っている。これは交渉ではない。次期王からの命である。次期王には辺境伯家をよろしく言っておいてやる。だから実績を寄こせと言っている」
「こちらは交渉だと思っていると言う事ですよ。誰か、誰かある!」
「ユースタニス様。どうなされましたか?」
「王都まで早馬を飛ばしなさい。そして、第二王子へ取り継いで貰いなさい。実績を売ると伝えれば解ります」
「ま、待て! それだけはならん!」
切り札とはそう言う事です。実績を売るのを第二王子にするだけでいい。次期王では無く、第二王子に。それの言いたいことが、解るだろうか。
現王の否定をしているのと同じになってくるわけです。此度の辺境伯の出兵には第二王子が関わっていた。それが表になったと言うだけでいい。
第一王子はどうなるであろうか。実績で負けているのにも関わらず、王になった者と言われ続けるのだよ。政治が進むはずもない。
混乱は一時のものだ。現王と次期王の時世だけで済む。その位の被害で済んでくれるのだよ。それに第二王子は何処かの公爵家に迎え入れられるはず。そうなれば、もっと面白い。
まあ勿論の事、こちらの派閥の公爵家に入って貰うのだがね。それが取引の内容の一部になる。まあ王家は面白くも何ともないだろうな。色々と後ろ指を指される事になる。
この官僚の首くらいは飛ぶんだろうな。それくらいは調べるさ。当然だな。今回の件でこうなったのはこちらからも情報を流すからな。生きていれば御の字だろう。
「ならんと言われても困りますな。実績が売れると解った以上、高く買い取ってくれるところに売るのが常道。そちら側は実績を要らないと言っている。それでは第二王子に売った方がマシだ」
「何を言っている。こちらは1割で買ってやろうと言っているのだ。第二王子に実績を売るのはまかりならん。こちらが買い取る。1割で買い取ると言っているのだ!」
「何を言っているのか解りませんな。こちらは全部の費用の8割で売ると言っているのですよ。そんなはした金で売るとは誰も言っておりませんが」
「値が上がったではないか。何故だ。解った。7割で買ってやる。買ってやるから第二王子に実績を売るのは駄目だ。それだけは駄目だ」
「何を言っているのか解りませんな。こちらは第二王子に全部の費用の8割で売ると言っているのです。それ以下の金額で買うと言われても困りますな」
「解った。そちらの要求を飲む。だから第二王子に実績を売るのは止めろ」
言質は取りましたよ。では契約書を取り交わしましょう。勿論控えも作っておくのを忘れない。2部同じ契約書を作る。そして、双方が契約書を持つ。これで良い。
片方が失くしても、もう一方が残っているのであれば、効力は発生する。これで、永久的に鉱山でかかる費用の8割が王宮から補填される契約となる。
まあもしも反故にするのであれば、本当に第二王子に売るだけなんだがね。契約書を失くした方が悪いと言う奴だ。これで良し。読み返しても不自然な所は無いな。
結局は全部費用の8割で実績のみを買ってくれた。さて、向こうに帰って冷静になって見てから、その契約書を読み返した時にどうなるのか。楽しみではある。
最も、実績を購入した件を次期王に報告をしないといけないんだが、生きていられるのだろうか。物理的に切られそうではあるんだが、まあそれは私には関係の無い話だからな。