14話
OFUSE始めました。
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ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
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さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
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さて、とりあえずは待ちの時間だ。向こう側が話を切り出さない限りはこちらとしては話すことがない。向こうが何やらこそこそと話をしているが、こちらには聞こえてこない。
と言うか、馬車の中でやって来れば良いものを。まあ場所に関しての不満を言っているだけだろうからな。別段問題はない。場所に関しては指定したのが問題なのだよ。
何かと不満を言い連ねたのかは知らんが、向こう側がこちらに向かってきた。漸く会議が始まるのか。会議を始める前に色々と言いたいこともあるのだが、まあそれは良しとしよう。
「アンカリアス辺境伯家には、此度の領土奪還作戦の成果は大変喜ばしいことである。次期王である王太子殿下もお喜びである」
「そこにつきましてはありがとうございます。我が辺境伯家の総力を上げての作戦でしたが、成功して、まずは良かったと思われます」
「ふむ、それでだ。此度の奪還作戦の成果については、王太子殿下の助言の元に行われた作戦であると広める事とする。それを承認せよ」
「それは在り得ませんな。此度の作戦は辺境伯家の独断で行ったこと。王都からの介入は何一つもありませんでしたからな。そんな訳にはいかんでしょう」
いきなり何を言い出したのかと思えば、次期王である王太子の実績作りが目的か。そんな事を簡単に許すわけが無いだろう。こちらの戦果を横取りするのはまかりならん訳だな。
何処までのラインなのかが明確ではない上に、承認せよと言われても困るのだ。何処から何処までを譲り渡せば良いのかが全く解らん状態ではいとは言えんだろう。
そもそもだ。王太子が助言したと言うが、その助言の対価は何かを示さないまま、話を進めることは駄目だろう。まずは適当に話を聞きつつ、要求を蹴るところから始めなければならないのか。
「次期王である王太子殿下が助言をしたのだ。民にはそう説明をする。それによって王太子殿下の地盤が盤石となり、国が安定するのだ。承認せよ」
「話になりませんな。何をどう認めるのかは何も仰ってはいないでしょう? そんな要求をこちらが飲むと思いでか? こちらが危険を冒してまで得た成果を何も無しで手放す訳は無いでしょうに」
「何事も無い訳ではなかろう。次期王である王太子殿下に対して実績を与えられる名誉である。それに勝るものは無いと考えられるが?」
「それは我が辺境伯家の利にあらず。王宮側の利でございましょう? それだけでは納得がいかないと申しておるのですよ」
王太子殿下の実績が欲しいからくれ。対価は名誉である。そんな話に誰が乗ると言うのか。こいつらは馬鹿なんだろうな。王宮で腐りきっているだけの連中だろうと決めつける。
こちらが王太子の後見人であれば、話は違ってくるのだろうが、我が辺境伯家は四男以外ならば誰でも良いというスタンスをとっていたのだから、話にならんな。
そう言う要求をするのであれば、こちらにも利のある話を持ってこなければ何一つ決まらんと言うのが解らんのだろうか。解らんのだろうな。解らんから此処に来ているわけだしな。
この要求では何一つ譲ることは出来んな。譲れる範囲は私に一任されている。多少の成果であれば渡しても良いとは思っているが、これでは私が納得できない。さて、どう出てくるのか。
「名誉が要らんと申すか。何とも野蛮な。仕方がない。かかった費用の1割を負担しよう。それで、此度の実績をこちらに渡せ」
「何の冗談で言っているのかが解りませんな。此度の魔王の討伐の成果が欲しければ、かかった費用の8割は負担をしてもらわないと譲れませんな」
「何とも欲深い要求か。名誉も与えられると言うのにも関わらず、それだけの金銭を要求してくるとは、恥ずかしいとは思わんのか」
「仰っている意味がよく解りませんな。名誉ならば既に得ているもの。それを勝手に押し付けようとしているだけであろう? であればその位の負担は必要であろうよ」
魔王の討伐の実績が欲しいのであれば、その位負担してもらわなければ割に合わん。魔王の討伐のみの実績でな。討伐の実績ならばこのくらいは負担してもらわないと困るな。
まあ向こうが言ってきているのはそう言う事では無いんだがね。魔王の討伐の実績、及びに町の開発の実績、及びそれに伴う鉱石等の得られた物に対する実績と言っているのだろうが。
だからわざわざ魔王の討伐の実績と言い直しているのだよ。向こうもそれに気が付いているから欲深いと言ってきているわけだが、関係ないな。
欲深くて結構。そんな包括した実績を与えたら鉱石などの権利もそちらに譲り渡さなくてはならなくなるではないか。そんな事はさせんよ。簡単に譲り渡して堪るかと言いたいな。
要求がデカすぎるのだよ。もう少し慎ましい要求であれば、簡単に通してやるものを。要求がデカすぎるのが問題だな。それでは辺境伯家の利益が無くなってしまう。
ここまで来たら徹底抗戦しかあるまい。こちらの要求を通すことにシフトする。向こうの要求もある程度までは受け入れるが、それ以上の成果は貰っていこう。
なに、難しいことは無い。長兄の成果が少しばかり目減りするだけだ。辺境伯家としての利益は得る方向に考える。長兄には悪いとは思うが、仕方があるまい。
最終的には切り札を切ればいい。こちらは切り札を持っているのだよ。始めのやり取りで確信した。切り札はある。スペードのエースが残っている。
後は、何処までこちらの要求を飲ませられるのかにかかっている。契約書も準備しなければならないが、白紙の契約書は準備出来ている。問題はない。
何方にしても切り札は切るのだがね。切らないで温存する意味が解らない。手元に戻ってくる切り札を使わない理由は無い。さあ、こちらの要求を叩き付ける番だな。