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勇者の後始末  作者: ルケア
2章
11/44

10話

OFUSE始めました。

https://ofuse.me/rukea


ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。

https://rukeanote.hatenablog.com/


さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。

https://twitter.com/rukeanote

 東の大山脈のすぐ北を軍務に就いている勇者達が解放し、今は町を作っている。これは辺境伯家では12年ぶりの快挙であり、過去最大の領土獲得となった。


 1年半という期間をかけて行われた今回の作戦は、勇者の活躍もあり、大きく前進し、また辺境伯家の領地が広がったことを意味する。


 当然だが、辺境伯家単独での作戦のため、獲得した領地は無論、辺境伯領へと吸収される。此処に、他の貴族が絡んでいたり王家が絡んでいたりする場合は、新たな領土を辺境伯領にする代わりに、他の貴族へと領土を切り渡さなければならなかった。


 単独で成し遂げたことは大きい。開発を全て辺境伯家で行えば、当然その上がりも辺境伯家で独占できると言うもの。東の大山脈の隣を解放したのも戦略のうちだ。


 当然ながら、東の大山脈からは石材は元より、鉱石が採れる可能性が高い。鉄は勿論の事、石炭やもしかすると金や銀と言った高価な物まで採れる可能性がある。


 過去に東の大山脈を開発してきている我が辺境伯家は色々と金属を得るためのノウハウが培われている。前回も東の大山脈を攻略したのは5年前だったか。その時は多数の貴族の手を借り、王宮の手を借り、成し遂げた成果であったため、一部領地が他の貴族へと流れてしまっている。


 今回は準備を綿密にし、5年前の経験を元に、さらに獲得領土を大きく設定するなど、かなりの計画を持って臨んだ軍事作戦であったのだ。これが成功して喜ばないものはいない。


 軍を預かっている次男のエドワードの功績も大きなものとなり、我が辺境伯家は盤石の地盤を築き上げつつある。作戦の発案はエドワード兄のものだったのだ。


 それを次期辺境伯であるロバート兄に伝え、2人で半年間かけて作り上げた計画を父に持っていき、父であるアンカリアス辺境伯が承認した。それがこの結果だ。私は関与していない。この時はまだ内務次長になっていない頃だったからな。


 だが、喜んでばかりもいられない。解放した土地を町としなければならないのだ。当然だが、軍部の仕事はまだまだある。魔物の調査と開拓だな。特に外壁は急務だ。


 魔物から身を守るためには外壁が必要だ。一般人に魔物と戦えと言っても無理だからな。領民を守るためには外壁を作らねばならない。


 外壁は木製にならざるを得ない。本当であれば石材で作りたいところではあるのだが、石材を切り出すには到底間に合わない。木材であれば、沢山用意出来るからな。


 ここまで何のために木を切りながら進軍したと思っているのか。後々に木材として使うからに決まっているではないか。流石に乾燥させる生活魔法を使って使える木材にしていくのだが、木材を加工するにも時間がかかる。そのため、切り出した木材は、始めから外壁用に加工をしていっていたのだ。


 作戦の一部なのだよ。木を切り倒して道にするのは当然の事。それ以外にも使用する木材をあらかじめ用意しておき、解放後には組み立てるだけにしておくのが良いと判断されたのだ。


 それに従い、現在は外壁を作っている最中だ。門を除いて外壁の8割は完成しており、門も後は扉を付けるだけになっている。工事は順調に進んでいる。


 私はそんな新しく出来る町、テリシニアに赴いて、ただ単純に工事を眺めているわけではない。明日には大事な大事な会議がここで行われるのだ。それの代理として此処に居るのだよ。


 本来であれば、長兄であるロバートが出席すべきなのだが、何と運の悪い事か、このテリシニアの解放をした少し後に、次期王が決定したと言うのだから何ともまあ、こちらの会議は放置だろう。


 そんな訳で、父と長兄は今は王都に向かっている途中である。3か月は帰って来るまい。向こうのパーティーや外交で何かと引っ張られることだろう。


 一応だが、我がアンカリアス辺境伯家は次期王を推してはいなかった。というよりも完全に中立を維持していた。次期王が馬鹿でなければそれでいいと思っていたからだな。


 次期王は現王の長男が何事もなく次期王に選ばれた形だ。長男の評判は悪い訳ではなく、積極的に魔王を討伐していくことを誓っているくらいにはやる気のある方だった。


 ただ、その説明が余りにも抽象的で頑張れば出来るという感じしか受けなかったため、我が辺境伯家では次期王に推さなかった。


 最も、評判の悪い4男が王に推薦されるくらいであれば長男を推すと言った消極的な支持だったのと、4男の悪評が余りにもあり過ぎて、流石に王にはならないだろうという事で放置を決め込んでいた。


 何にせよ、長男が次期王に選ばれたことにより、派閥の関係で色々とあるらしく、出席しないことは不味い。これでも辺境伯家なんだ。派閥の長では無いにしても、重鎮が出ないのは不味い。


 だから現辺境伯である父と次期辺境伯である長兄が出席しなければならないのだが。その間は次男と私で内政を回さないといけない。


 辺境伯家にとって意味のある内政をしなければならない。まずは明日の会議だ。王都から役人がやってくる。これについての対応が一番だろうな。


 王宮が何を考えているのかは知らないが、大した話にはならない……なんてことは無いだろうからな。領土を獲得したのだ。色々と言いたいことはあるだろう。


 まあ、何も悪いことはしていないのだ。むしろ褒められるべきことをしたのだから、お礼をたっぷりと貰おうと思っている。次期王にもお土産が出来たんだ。代金はしっかりと払ってもらおう。

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