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挿絵はカスタムキャストにて作成。

もしかして今回が宮子のイメージ画初出…?

翌日、今日は土曜日。

約束していたデートの日だ。

と言っても半日授業はあるから学校には行かなきゃいけない。

だから教室へ来たのだけれど………


ザワッ


ヒソヒソ…


嫌な空気だ。

俺や宮子を見て何やらヒソヒソと話すクラスメイト達。

一体なんなんだと思っていたら宏が話しかけてきた。



「陸斗、お前昨日篠森さんと一緒に早退しただろ?」


「ああ、そうだな………


「それで、お前が篠森さんと一緒に学校をサボって遊びに行ってたって噂が流れてるんだよ。」


「は?俺達は体調不良で早退したんだし、真っ直ぐ家に帰ったぞ。」


「そりゃあ俺や教師陣はお前らがそんな奴じゃ無いのは分かってるから直帰しただろうとは思ってるが、他の奴らはそうじゃないからな?」


「…それでなんか視線が冷たいのか。」


「そうだな…それと、俺には噂の発信源が分からん。すまん。」


「いや、宏は悪くないだろ?」



そもそも、現実世界での宏は一般学生だ。

ゲーム世界の様な情報通な訳じゃない。


……まぁ、俺には大体の予測は付いてる。



(海斗だろうな………アイツは何故か俺と宮子を敵視しているし。)



そう思って睨むと海斗の方は侮蔑を込めた顔を返して目を逸らし、時雨や最上との会話に戻った。

……一瞬、時雨がコチラを嘲笑する様な顔をした気がする。

考えすぎ…か…?



「大丈夫か?宮子。」


「う、うん…何で皆がわたし達を見てヒソヒソしてるのかは分からないけど………


「はぁ………



厄介だな。

来週には酷くなってそうな予感がする。

火消しに回ろうにも当の俺達が言い訳しても火に油だろうしな…………

現状、打つ手なし、か。



結局、その日は嫌な空気のまま、針のむしろな気分で授業を受けるしか無かった。



学校から帰った俺と宮子は、昼食を済ませてから

気分転換する為にも約束通り近くの遊園地に行く事にした。



「わぁ〜!ココは昔から変わらないねぇ〜♪」


「そうだな。」



もっと小さい頃に遊びに来た時のままの姿の遊園地。

入園料無料(アトラクションは有料)なくらいに小規模でアトラクションも少ないから、高校生になってから来ると物足りない感じもするけどな。

どちらかと言えば小さな子供がいる家族向け、だろうし。



「流石にメリーゴーランドとかは恥ずかしいな……


「あはは……



本当に小さなメリーゴーランドだ。

大人は親が子供の補助の為に乗っているくらい。

流石にコレに乗り込むのは勇気がいる。



後は園内を走る機関車や、サイクリングモノレール、ゴーカート、子供向けのコースターなんかはある。

が、やはりどれも子供向け。

場違い感はするけど子供達が遊んでる姿を見てるだけでも楽しい。

メイン目的は観覧車、といった所だがまだ早い。


となれば………



「植物園の方にでも行ってみるか?」


「うん♪その後で動物さんも見に行きたいなぁ〜」



ここのいい所は

小規模ながら遊園地、植物園、動物園、水族館、公園を兼ね備えているところ。

反面、水族館以外の全てが小規模で器用貧乏な場所なのが欠点だな。

……土地がめちゃくちゃ広いのにそんな配置なのはどうなのか、とは思うが。

なお、海辺の街だからか水族館だけは本格的だったりする……が、今回の目的はあくまで遊園地。

今日は水族館には行かないつもりだ。

………と言うか、ちゃんと恋人同士になってから日を改めて行きたい。



という訳で植物園にやってきた。

と言ってもすごく広い温室程度だが………俺には充分だな。



「わぁ〜可愛いお花〜♪これ、なんて名前なのかなぁ…?」



宮子も楽しそうだし。


…………。


頭に一瞬過ぎる、クラスの不穏な空気。


だが………今は…………



「陸くん…?」


「ん?どうした宮子。」


「何だかお顔が怖いよ?もしかして、今日の学校のこと?」



幼馴染み特有の勘なのか、鋭いな宮子。

宮子も当事者だから隠す気もないけど。



「ああ…誰かが俺達を陥れようとしてるんだろうな。」



前世でもそうやって俺の評判は地に堕とされた。

何も瑕疵は無いのに性犯罪者扱いされ、ゴミの様に暴力と誹謗中傷の的にされた。


俺だけなら良い。

だが、コレで宮子までもが暴力や誹謗中傷される様な事があったら嫌だ。


ただ、前世と違うのは、陸斗の幼馴染みである宮子は心の支えになる様な人格者である事、友人である宏が居る事、そして教師陣からの信頼が厚く、この程度では揺るがない事だな。



「ーだから、犯人探しはするつもりは無いが………俺と宮子に嫌がらせをしてきた事を後悔させてやりたいな。」


探すまでもなく犯人は海斗だろうしな。

だったら海斗の恋愛(ゲーム)を破壊してやるだけだ。

俺にはゲーム世界での知識があるしな。


俺がそう考えていた事に気づいたのか、不安そうな上目遣いで俺を見てくる宮子。

おいバカ止めろ俺が死ぬ可愛い好き。


「復讐はダメだよ…際限がなくなっちゃう。」


「かわっ……ん"ん"ッッ…………しないよ。

……宮子が無事な限りはな。」


「(!)ならわたしも気を付けるよ…!」



狙ってやってんのか?

両手を握って気合いたっぷりの顔をしている宮子が可愛すぎる。


挿絵(By みてみん)



しばらく植物園を見て回った俺達は、約束通り次は動物園に向かった。



「相変わらず種類少ないな……


「あはは〜無料だもんね〜。」



動物園、ってレベルじゃないんだよなぁこれ。

まぁ、正確には動物舎っていうらしいし。

………これ、世話にかかる金はどっから出てるんだろ?



「………エサは売ってるみたいだが。」


「ん…?陸くん?」


「エサ買うか?宮子。」


「うん♪野菜スティックにしよ〜♪」


「んじゃ俺は固形フードにでもしとくか。」



ケース代わりにモナカの中に固形フードタイプのエサが入ってるヤツだ。

このモナカ自体もエサに出来るから良いと思う。

ちなみにガチャの様な販売方式だ。


野菜スティックはお金を払うと開くケース棚に置いてある。

コチラのケースはプラスチック製の使い捨てコップだ。


他には鳥用のエサなんかもあるな。



「…馬と鹿。

この並びに悪意を感じるのは俺だけか?」


「んぅ?なんで??可愛いから良いと思うなぁ〜♪」


「くっ…!宮子が純粋過ぎて辛い…!!」



俺が穢れてるみたいじゃねぇか!

いや穢れてるか………



流石に肉食獣はここには居ない。

ここに居るのは鳥系はフラミンゴやクジャク、何故かニワトリ。

獣は(ポニー)、鹿、兎、モルモット、そして何故か(ホルスタイン)、ヤギ、羊、ミニブタ。

オイ、何気に畜産してないか?


乳絞り体験出来ます(有料)とか書いてあるぞ??


兎やモルモットのふれあいコーナーもあるからそれとかで利益を得てるのか…?

っても安いから違うか。



「ふふっ…可愛い♪」



そんな事を考えてる俺をよそに、

早速野菜スティックを馬にあげてる宮子。

おまかわ。って奴だな。



「って、俺もエサあげないとな。」



モナカを割ってエサを取り出した俺は、それをふれあいコーナーにいる兎に差し出してみた。



「………おー、よく食うなコイツら。」



群がる群がる。

あっという間に無くなったな。

残りを取り出して今度はモルモットにあげてみる。

こっちもすぐ群がってきた。



「……がっつくなぁ…?」



普段エサ食ってんのかコイツら。

いや、それなりにエサをあげてる客は居るから大丈夫なんだろうけど。


…………檻の向こうに居るとはいえ、鹿がコチラをじ〜っと見てくるのが気になる。

なんだ?モナカが欲しいのか??



「………ほれ。」



差し出したら直ぐに食べた鹿。

まぁ足りないよな。

ってもおやつなんだろうけど。



「キミも食べるぅ〜?」


「宮子。」



そう思っていたら宮子が手元にまだある野菜スティックから人参を取り出して鹿に差し出した。



「…それ、鹿に食わせていいのか?」



奈良のイメージのせいか、鹿は鹿せんべいか草しか食べないイメージがあるんだが。



「うーん…?

食べさせちゃダメなものは置いてないと思うよ?

流石に鳥さんのエサをあげるのはおかしいけど。」


「……………それもそうか。」



…………あ、よく見たら〖動物のおやつです〗って書いてあった。

だから販売してる数が少ないのかこれ。



「あー…えさが無くなっちゃった…


(………可愛い。)



しょんぼりする宮子が可愛い。

あー!!抱きしめてキスしたい!!

が、まだだ。

今の俺達は一応まだただの幼馴染み。

多分宮子なら受け入れてくれるとは思うがそれとこれとは話が別。

何とか理性で欲望を押さえ付けて手洗い場へ宮子を連れていく。



「さて、手は洗ったし次は何処に行こうか。」


「んぅ〜…?水族館、は今からだと微妙だよね?」


「そうだな、そもそもあそこだけはかなり広くて充実してるし、入場料もしっかり取ってるから朝から行かないと全部回りきれなくて勿体無い。」



水族館だけで他の施設全てより広いからな。

なんならペンギンショーやらイルカショーやらやってて丸1日かけても足りないまであるかもしれない。

マジでアンバランスだな。他の施設は水族館のオマケか?

まぁ、次に来る時はちゃんと恋人同士になってからだな。



「じゃあ公園に行こっか?」

「なら公園に行くか?」


「「……ぷっ!あはは♪」」



息ぴったりかよ。

好きだ。

俺は笑いで出てきた涙を拭って宮子に手を差し出した。



「決まりだな、んじゃ行くか。」


「うん♪」




春に来れば桜並木であっただろう歩道を歩き、公園へ向かう。

ここの公園は広く、遊具の数が豊富だ。

到着した公園では子供達が楽しげな声を上げながら遊んでいる。

芝生広場の方は犬の散歩に来てる人や犬と戯れる人、カップルや夫婦がのんびりベンチや芝生に座っていたりとのんびりした雰囲気だ。



「ここでのんびりするのも悪くないねぇ〜?」


「そうだな。」



俺と宮子は他の人の邪魔にならない様に木陰のそばにあるベンチに座る。



「…………。」



さわさわと風で葉が擦れる音が心地いい。

と、しばらく目を閉じて音に耳を傾けていると、肩に寄りかかる重さが。

目を開けて隣を見ると、案の定宮子が眠っていた。



「……いくら俺相手だからって無防備過ぎるだろ。」



と言うか寝るの早すぎ。

疲れてたのか…?



(まぁ、そうゆうのも悪くないな………)



元々、のんびりするために来たんだ。

俺は寄りかかる宮子の体温を感じながらしばらくの間、ぼーっと公園を眺めていた………





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